ラスクが美味しいと評判のパン屋さんが奈良県生駒市にあります
人気の秘密は驚きのバリエーション
その数なんと５０種類以上
ラスクにほれ込んだパン職人が日々新しい商品の開発に挑戦し続けています
そんな彼は全国のイベントに出店しラスクの魅力を多くの人にアピールしています
今回は奈良から全国へ新しい味のラスクを届けるパン職人の夢のカタチ
奈良県生駒市にある近鉄萩の台駅
この駅を降りてすぐ目の前に１軒のパン屋さんがあります
お店の名は夢飛行
店内にはさまざまなパンがズラリ
無添加にこだわって作られた素朴な味が人気のお店です
（女性）やわらかさそれとふんわりしてて美味しいですね大好きです
（男性）ほかの店のやつと比べてもすごいフワフワしてておいしいです
そんな人気のパンを作っているのがオーナーシェフの竹田雅彦さん
（竹田）お店でこんなにたくさんいらないです
とりわけ評判を呼んでいるのが「ゆめらすく」と名付けられたラスクの数々
種類の豊富さには目をみはります
ラスクは店頭に並んだパンを材料にしている店が多いそうですが夢飛行ではラスクを作るためだけにパンを焼いているのです
人気ナンバーワンはフランスパンで作る程よい甘さのキャラメル風味
続いて好評なのがチョコブレッドで作るマーブル模様のラスク
お酒のつまみにもなる塩味系の「くるみチーズ」も人気
どれほどの種類のラスクがあるのでしょう？
季節限定のラスクにはこんな珍しいものも
桜の葉の塩漬けが使われています
こちらはネーミングがユニークな「なごり雪」
（竹田）ブラックココアのねパンにミルクと砂糖の上がけをしてあるラスクになります味全然関係ないんですけどイメージで名前付けました
これは最もやわらかいラスク
使っているパンはなんと…
メロンパンまでラスクに
生地に加える卵を卵黄のみにすることでフワフワの食感に仕上げたメロンパンのラスクです
ほかにも趣向を凝らしたさまざまなラスクが
使っているパンはおよそ２０種類
味も形もかたさも違う多彩なラスクを生み出しています
それにはある思いが込められていました
早朝午前３時
竹田さんの一日はパンの仕込みから始まります
平均睡眠時間は３時間という竹田さん
黙々とパン作りに励みます
・
（パチパチ…）・いい音してるでしょ焼き上がったらこんな音するんですよパチパチいうてるでしょ焼きたてしかこの音しないからお客さんは知らんと思うフフフ…
開店１時間前になると２人の女性が
妻の敦子さんとスタッフ歴１６年という井上さん
お２人に竹田さんの人柄について聞いてみました
午後からはいよいよラスク作り
これは「キャラメルラスク」の仕込み作業
フランスパンをカットし大きな袋の中へ
キャラメル風味をつけた溶かしバターを注ぎまんべんなく味が行き渡るように袋を振って味付けします
さらに砂糖をプラス
（スタッフ）この方法は昔からですか？はい…ハァハァ…ここでしゃべるの無理…
味付けしたパンをオーブンで焼き上げます
（竹田）温度は１１０℃ですね２時間
こうして「キャラメルラスク」が完成
（竹田）ラスクってもともとねロスクっていって二度焼いたっていう意味の語源なんですけどパンで１回・ラスクで１回っていうのが普通のやり方ですね
これは３度焼きで作るラスク
カットしたいちご味の食パンをまずはオーブンで空焼きに
そして水・粉糖・生クリーム・ラズベリーのピューレと濃縮果汁をパンに絡めて味付けします
いわゆる糖衣っていうやつなんですけど表面にねこう薄くねお砂糖の膜ができる状態
ここから低温でもう一度焼き上げると３度焼きのラスクのできあがり
（竹田）和菓子でね糖衣を使ってるのを見てこれラスクに応用できないかなと思ってやったのが始まりですこういう方法でやってるのはたぶんうちだけじゃないかなと思うんですけど確認はしてないですけど
この糖衣の手法を編み出したことで今やラスクは５０種類以上に
その中にはちょっと変わった食材で作る珍しいラスクも
竹田さんはお店の隣にあるこちらのカフェでその食材を仕入れています
それはコーヒー豆
ひきたてのすごい香りのいい豆をすぐ使えるのでラスク用に特別に細かくひいてもらって…
その豆で作るのが「コーヒー豆ラスク」
口に入れた時にちょっとあれ？苦いなと思ったんやけどそのあとにコーヒーの香りがフワッと口ん中に広がってうちのコーヒー豆がラスクになるっていうのはすごくほんとにうれしいですねまぁね
（竹田）そうなんですよ…でよしあしをそれで判断するって聞いたからねそうそう…甘いって言わはったからほなそれそのままラスクになるやんと思ってびっくりしますよね研究熱心真面目やし
奈良市出身の竹田さんはお菓子作りが好きな少年でした
高校行く頃にはもうひととおりできるぐらいはやってたんですお菓子はねよく差し入れとか持っていってましたよバスケずっとやってたんですけどお菓子作って持っていってました
もともとフレンチのお店で働いていた竹田さん
お店で出すフランスパンを自分で焼きたいと思いフレンチと平行してパン専門店でも働き始めました
それがパン職人になるきっかけでした
料理ってね最後に味付けし直すでしょパンって一番最初に味付けしてあとはもう…できあがるまで味付けなんか直さないので一発勝負なんですよパンおもしろいなと思って
そして１６年前に夢飛行をオープンしたのです
平日はパン職人として働く竹田さん
定休日の土曜・日曜・祝日にはゆめらすくのブランド名で関西を中心に全国のイベントや百貨店の催事に出店しています
その数は年間およそ１５０日になることも
そのためほとんど休みを取っていないのだとか
サイクルにはまってしまうと休むほうがしんどくなってきたりとかね新商品とかもこんなんしたらどう？あんなんしたらどう？とかお客さんも結構言ってくれはるんで出てていいことはたくさんあるんでね
竹田さんは妻の敦子さんと中学１年生になる翔太くんとの３人家族
翔太が焼いたらしいです
翔太くんは竹田さんの影響で料理に興味があるのだそう
幼稚園の時にだってもう２人でケーキ作ってた自分の誕生日自分で手作り…２人で手作りしてたしてた？してたしてたおいしいよまぁパン大変やもんな
仕事が忙しく翔太くんと触れ合う時間もなかなか取れません
ほんとにもう１時間とかでも時間あったら結構すごい向き合ってくれるから子どもにねそれは私は感謝してますね一緒にいる時間少なかったら父親に懐かないでしょってすごい言われるんですよ全然それがないから「パパパパパパ」
そんな翔太くんがイベントへの出店を手伝ってくれる時も
京都・梅小路公園で毎月１回開かれる「手づくり市」
このイベントに竹田さんと翔太くんの姿が
貴重な親子の触れ合いの時間です
これ何ですか？これゆずですウソやん！ウソやん！ウソやん！食べてみこれバナナやそうやハハハハハ…今３点で９００円ですけど４つで１０００円ですけど…あぁ上手ですねじゃあ４つ
（長男）４つ
（竹田）最初は１人でほっとくのんがあれやから連れてってったんかもしれないけど手伝うっていうからねうれしいですけどフフフ…
（スタッフ）お父さんとおれるのうれしい？ふだんあんまり会わないんでねハハハ…
竹田さんが本格的にラスクを作り始めたのはあるイベントへの出店がきっかけでした
（竹田）地元のねイベントにちょっと出店してくれないかってお願いされてパン屋が５軒並んでるっていうんでほなもううちラスクだけでいこっかってラスクだけ持っていったんですお昼にもう完売してしまってもうすごい人だかりやったんですよすごいラスクってこんなに人気があるんやと思ってその時初めて知りました僕もラスク作ってましたけどちょっとラスクに対する考え方は変わりましたよね
そんな竹田さんがイベントへの参加に力を入れるようになったのは異業種の作家たちとの出会いがあったからでした
宮崎さんはステンドグラスを使った作品を生み出している工芸作家
６年前にイベントで知り合い出店に関するさまざまなアドバイスをくれた恩人です
僕は結構あちこち行ってたんでそれをここどうやここどうやって紹介したのは最初やな売り方とかねお店の造りとかいろいろ教わったんで
異業種の作家たちから刺激を受け自分も作家だという意識が芽生えたと竹田さんは言います
この日竹田さんはある手仕事作家の工房へ
こんにちは
訪ねたのは大阪・茨木市にあるクアトロガッツ
小さな財布を中心に革製品を製造・販売する工房です
中さんもイベントで知り合った作家の１人
「世界でひとつだけ」というコンセプトの作品に感銘を受けたんだそう
世界で１個ってすごいなと思て色んな種類ね作ってますけどその影響はすごく大きいですね
この日竹田さんは新たなラスクの試作に取りかかっていました
新作発表がコンセプトのイベントに出店するためです
奈良のアピールっていうのをねできたらなぁと思うので
選んだ食材は奈良の名産品・干し柿
ラスクに使うのは干し柿を練り込んだフランスパン
砂糖で味付けし温度は１００℃で時間は６０分と焼き時間を短めにしました
柿がかたくなったら嫌やなと思って
妻の敦子さんとスタッフの井上さんに試食してもらいます
新作を発表するイベントの初日を迎えました
ブースにはなんとか完成させた「奈良のラスク」が並んでいました
奈良っぽいでしょ
こちらが新作・干し柿のラスク
柿の皮の粉末を砂糖と共に表面にまぶすことで柿の風味がより一層感じられるように改良したのです
竹田さんはもう１つ新作を用意しました
柿の葉茶を使ったラスクです
甘さを控えたセミハードのパンに柿の葉茶の粉末と砂糖で味付け
お茶の苦みを生かし趣のあるラスクに仕上げました
ほんとに今ドキドキしてます「おいしい」って言ってもらえるそのひと言が欲しいです
いよいよイベントがスタート
まずは干し柿のラスクを試食してもらいます
（竹田）干し柿がかたくならんように程よく焼くのが結構難しくてちょっとホッとしましたけど
続いて柿の葉茶のラスク
あぁ…
（竹田）ありがとうございます
新作への反応は上々
多くのお客さんが買い求めてくれました
予想外に反応よかったんで
奈良のラスクへの思いを新たにした竹田さんに願ってもない依頼が舞い込みました
訪ねたのは創業１６０年を誇る増尾商店
砂糖菓子も扱う老舗の砂糖専門店です
日頃砂糖の仕入れでお世話になっている池本さんからある依頼を受けたのです
これですこの米飴っていうものなんですけど
この「御門米飴」でラスクを作ってほしいという依頼です
米飴とは米に含まれるでんぷんを麦芽で糖化しろ過・濃縮を経てできたこはく色の水飴
日本最古の安産祈願寺として知られている帯解寺
「御門米飴」はかつてここで出産後の母親の体をいたわるために配られていました
米飴は昔から奈良の人たちになじみのあるものなのです
中は全然食べてなくてたぶん嫁さんが全部食べたんやと思うんですけど蜂蜜に似た形状やけど蜂蜜ほど甘くない香ばしい感じがしてこれだけで食べれます感じが似てるっていうのはみたらしだんごのですねあのタレを香ばしくしたような味ですね
竹田さんは早速試作を開始
まず試してみたのは同じ水飴状である蜂蜜のラスクと同じ製法
水と粉糖に米飴を加えたものを空焼きした食パンに絡め３度焼きにしてみます
ちょっと不安は不安ですあぁやっぱりちょっと色付いてるなもっとね白くあがるかなと思ったんですけど
（竹田）まぁまぁ米飴の風味はよう出てますけど
さらに試作を重ねます
（竹田）よく料理でちょっとひとつまみの塩とか入れる…ほな甘くなったりとか
甘さを引き立たせるため隠し味にさんしょうを加えます
果たして効果はあるのでしょうか？
（竹田）ムラが出てるんで食べてみておいしかったらあとは水分だけの問題なんですけど
スタッフの井上さんが試食
（竹田）入れすぎ？
（スタッフ）うんさんしょうのラスクうん山椒！
新たな奈良のラスクを生み出すことができるのでしょうか？
米飴のラスクがついに完成
この日京都で行われる手づくり市でお披露目することになりました
朝までやってましたもうバタバタで基本的に考え方を変えて優しい味にしようと思って
そこで考えたのは醤油
奈良県産の「イゲタ醤油」を使い米飴の甘さを引き立たせました
手づくり市にはたくさんのお客さんが
果たして新作「米飴のラスク」への反応は？
（竹田）新しい新作のラスク食べてみてください奈良のね米飴を使ったラスクなんです
（竹田）ありがとうございますそれを目指して作りましたもらっとこうかなこの「米飴」と…
（竹田）はい売れたのもうれしいんですけど「優しい味や」言うてもうたんでよかったホッとしましたうん美味しいお願いしますありがとうございます
その後もお客さんの反応は上々
そして依頼主である池本さんもブースへやって来ました
苦心の末また新たなラスクを生み出した竹田さん
夢のツヅキは？
奈良の食材もね僕知らないんたくさんあると思うのでまた新しい挑戦どんどんしていきたいと思ってます…で奈良だけじゃなくてね全国のねもっとおいしいもん・いいもん使ったラスクをねどんどん作っていってね全国制覇したいなと思ってます
多種多彩なラスクで人々を楽しませる夢飛行
土曜・日曜・祝日はさまざまなイベント会場を飛び回っています
あなたの街で出会うかもしれません
2015/05/09(土) 11:00〜11:30
ＡＢＣテレビ１
ＬＩＦＥ〜夢のカタチ〜[字]／佐々木蔵之介 「奈良・元フレンチシェフの絶品ラスク！」
人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を佐々木蔵之介の語りで描きます。
今回は「奈良・元フレンチシェフの絶品ラスク！」です。
詳細情報
◇番組内容
生駒市にある大人気のパン屋さん「夢飛行」。無添加にこだわったパンも評判ですが、何といっても人気なのが「ゆめらすく」と名付けられた創作ラスクの数々。その数50種類以上というから驚き。店主の竹田雅彦さんが、寝る間を惜しんで作る絶品ラスクにはある思いが込められていました…。
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – ドキュメンタリー全般
情報／ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味／教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード（ステレオ）
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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