週刊 ニュース深読み「内戦・テロ・迫害… 急増する“難民”はどこへ」 2015.05.09


おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
まずは火山活動が活発な状態が続いている、神奈川県の箱根山です。
私もきのう、現地で取材してきたんですが、ちょっとこちらにまとめました。
模型ですが、気象庁は、この大涌谷周辺で小規模な噴火が起きるおそれがあるとして、今週水曜日に火口周辺警報を出しました。
車で、この箱根湯本の駅。
っていうのはこれ、登山鉄道のある所ですよね?そのここから。
ここから、大涌谷の方向に上りながら、取材をしてきました。
こちらをご覧ください。
ここは箱根湯本です。
温泉宿ですとか、土産物店が立ち並んでいます。
私もたびたび訪れる所なんですが、大きな変化というのは見られませんね。
この箱根湯本、小規模な噴火のおそれが指摘された大涌谷から、およそ7キロ離れています。
ここから大涌谷に向かって、さらに車を進めていきました。
こちらは強羅の駅前ですね。
ここも土産物店が開いていたり、観光客の方の姿があったり、ふだんと変わらない様子です。
こちら、箱根登山鉄道も、平常どおり運行していました。
一方で、強羅駅から2キロほど進んだ所にあるロープウェイ乗り場、箱根ロープウェイの運休が続いていました。
かなり山を上ってきました。
ここを左に曲がると大涌谷なんですが、ここですね。
通行止めになっています。
この先、進めません。
浅い場所を震源とする規模の小さな火山性の地震が増え、温泉の設備から蒸気が勢いよく噴き出しているのが確認されている大涌谷。
気象庁は水曜日、大涌谷周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が起きる可能性があるとして、火口周辺警報を発表。
噴火警戒レベルをレベル1からレベル2に引き上げました。
地元の箱根町は、大涌谷の半径およそ300メートルの範囲に、避難指示を出しました。
大涌谷に続く県道をおよそ1キロ手前で通行止めに。
さらに周辺のハイキングコースなども閉鎖しました。
きのうも100回を超える火山性地震が観測され、火山活動が活発な状態は今も続いています。
また国土地理院が、衛星によるレーダー解析を行った結果、大涌谷周辺の半径100メートル程度の範囲で、地面が最近になって隆起し、中央付近では最大で6センチほど隆起していると見られることが分かりました。
大涌谷付近の地下では何が起きているんでしょうか。
火山噴火予知連絡会の会長に聞きました。
噴火警戒レベルがレベル2に上がったことについては。
改めてこちらの模型で見てみたいんですが、今回、避難指示が出されたのは、この赤い丸の部分、大涌谷の半径およそ300メートルの範囲です。
現地で取材しますと、この避難指示の範囲というのは、ごく限られているんですが、箱根全体がね、危険という印象を持たれているのではないかという、地元の方の懸念の声を多く聞きました。
今回、この範囲から離れた大体この辺りですね、芦之湯温泉という場所があるんですが、そこの旅館に取材をしてきました。
訪ねたのは、芦ノ湖に程近い、芦之湯温泉の旅館です。
NHKの高井と申します。
老舗旅館の副支配人、秦真理さんです。
こちらの旅館は創業350年余り。
源泉掛け流しのお湯が大きな魅力の一つだといいます。
気持ちよさそうですね。
それだけに、秦さんは火山性の地震が増えたことを受け、今週火曜日、源泉に変化がないかを改めて確認したといいます。
ですが、旅館には問い合わせが相次いだといいます。
対応を続けるうちに、観光客に正確な情報が伝わらず、誤解を生んでいるのではないかと感じるようになったといいます。
旅館では宿泊キャンセルも出ましたが、秦さんは、事実を一つ一つ伝えることで、観光客の不安を取り除いていくことが大切だと考えています。
専門家は、今の箱根の状況を過度に恐れる必要はないと指摘します。
活動が活発な状態はいつまで続くんでしょうか。
次はイギリスの総選挙です。
開票の結果、与党・保守党が単独で過半数の議席を獲得。
激戦という事前の予想があったんですが、これが覆りまして、現地では驚きをもって受け止められています。
有権者は。
激戦が予想されていた総選挙。
結果は保守党が圧勝。
単独で過半数の議席を獲得し、キャメロン首相が続投することになりました。
イギリス議会下院が解散したのは、ことし3月。
ロンドンの金融街シティでは、王室の使者が解散を告げる、伝統の儀式が行われました。
資産家や企業経営者の支持者が多い与党・保守党。
最大野党・労働党は、労働者が支持基盤です。
イギリスでは長い間、保守党、労働党のいずれかが政権を獲得してきました。
第2次世界大戦中、内閣を率いたチャーチル元首相。
鉄の女と称されたサッチャー元首相。
いずれも保守党の党首でした。
一方の労働党は、揺りかごから墓場までという社会保障制度を推し進めたアトリー元首相。
ブレア元首相は、10年に及ぶ長期政権を築きました。
そして前回、5年前の総選挙で保守党が政権を奪還。
キャメロン首相が就任しました。
イギリス議会の議場は、二大政党が意見を戦わせることを前提とした作りになっています。
座席は対面式。
左側が与党、右側が野党席と決まっています。
しかし、座席は437人分のみ。
議員は650人いるので、当然、座れない議員も。
解散前の議会の様子です。
立ったままの人もいて、議場はぎゅうぎゅう詰めです。
白熱した討論は、二大政党を中心に交わされてきました。
しかし選挙戦では、二大政党の低迷が指摘されました。
直前の世論調査では、保守党も労働党もきっ抗し、いずれも単独での過半数獲得は困難だと見られていました。
選挙戦で注目を集めたのが、スコットランドの独立を掲げるスコットランド民族党でした。
開票の結果、保守党は過半数の331議席を獲得。
一方、労働党は議席を大きく減らし、232議席にとどまりました。
そして、スコットランド民族党は、議席数を6から56まで、一気に増やしました。
今後、注目されるのは、イギリスがEUとの関係を見直すことになるかどうかです。
キャメロン首相は2017年末までに、EUからの離脱の賛否を、国民投票で問う方針を示していますが、実際に投票の実施に踏み切れるのか、議論の行方に注目が集まっています。
また、議席数を大幅に増やしたスコットランド民族党に対し、新政権がどう向き合うのかについても、関心が高まっています。
世論調査が外れたんですね。
ということもあるんですね。
さあ、ここからはロンドンで取材している佐々記者に聞きます。
佐々さん、今回の保守党の大勝ですが、理由はなんですか?
世論調査の数字に一喜一憂してきたイギリスでは、予想しなかった結果に驚きが広がっていまして、世論調査がなぜ外れたのか、調べることになりました。
民意の分析は難しいですが、保守党の勝利には、いくつかの要因が重なったといえます。
1つは選挙戦略です。
保守党は労働党が政権の座に就けば、イギリスからの独立を目指すスコットランド民族党と協力するおそれがあるという、ネガティブキャンペーンを展開し、国の分裂を恐れる有権者の気持ちに訴えました。
また政権与党として経済政策などの実績も強調しましたが、これに対して労働党は、保守党との違いを打ち出せませんでした。
サッチャー元首相はかつてわれわれは大声を上げないイギリスの静かな良識に支えられていると話しました。
私も選挙後、市民に話を聞きましたが、連立よりも1つの党で安定したほうがいいという声もあり、元首相が言うところの、静かな民意の大きなうねりのようなものを感じました。
とはいえですね、スコットランドにEU、キャメロン政権、引き続き課題が残りますね。
やはり、EUとどう向き合うかが大きな課題になると思います。
キャメロン首相自身は、EUから離脱すべきではないという立場ですが、足元の保守党内、そして世論の中にもりだつをもとめるこえは根強く、国を二分するような議論になることが予想されます。
そしてスコットランド問題も多くのしかかります。
多くの政策で保守党と対立するスコットランド民族党が、キャメロン政権と対立を深めれば、スコットランドで反発が強まり、独立機運を高めかねません。
キャメロン首相は、単独過半数を得た以上、すべての政策を実行できると話しましたが、実際には過半数を僅かに上回っただけです。
政策基盤をしっかりと固め、山積する課題にどう取り組んでいくのか。
指導力が試されるのはこれからです。
ここまで佐々記者でした。
次です。
登録に向けて、大きな前進です。
吉田松陰の指導の下、数多くの人材を輩出した松下村塾。
軍艦島の通称で知られる長崎市の端島炭坑。
北九州市の官営・八幡製鐵所。
今週、ユネスコの諮問機関・イコモスは、23の資産からなる明治日本の産業革命遺産について、世界遺産に登録することがふさわしいと勧告を行いました。
今回、明治日本の産業革命遺産、製鉄、鉄鋼、造船、石炭産業として世界遺産に登録されるのがふさわしいと勧告されたのは、こちら、岩手県から九州まで、実に23に上ります。
この番組でも以前、お伝えしたこともありますし、観光地としても人気が高い所が多い気がしますね。
そうですね。
こちらの松下村塾とか、よく知られている所がある一方で、まだまだあるんですよ、こちら。
岩手県釜石市の橋野鉄鉱山・高炉跡なんですが、これ、私もですね、初任地、岩手県だったんですが、10年ほど前に行ったとき、実は恥ずかしながら知りませんでした。
地元でも知られてないような所なんですか?
どういう場所なのか、取材してきました。
東北新幹線の北上駅から車で現地を目指した私たち。
結構、山道に入ってきましたね。
この先に、橋野鉄鉱山があるということなんですが、なかなかたどりつきません。
1時間半余り走ってようやく。
あっ、見えてきましたね。
この辺りが橋野鉄鉱山です。
ようやく到着しました。
山あいの谷に突然姿を現したこちらが、橋野鉄鉱山・高炉跡。
連休明けの平日だったんですが、観光客の姿も。
ずいぶん遠くからいらしたんですね。
そして岩手県内の方もいらっしゃるんです。
地元の方ならよく知っているのかと思いきや。
地元の方も詳しく知らないというこの場所を、早速案内してもらうことに。
釜石市世界遺産登録推進室の森一欽さんです。
作ったのは、近代製鉄の父と呼ばれる、盛岡藩士の大島高任。
江戸時代末期、1858年に建設されました。
でも小野さん、なんで製鉄所が山の奥深くにあるんでしょうか。
そうですね、そういえば。
鉄を作り出した炉の一部が今も残されていました。
これが、橋野鉄鉱山で使われていた高炉の一つ。
中には、鉄鉱石と木炭が入れられました。
そうすると?
日本で古くから行われていた、たたら製鉄と比べますと、この高炉では高温にすることができるために、中でしっかりと鉄が溶けて、外に流れ出てきます。
この外に流れ出ることが、鉄の大量生産を可能にしたんだと、森さんは説明してくれました。
ん?
高炉の中には、作られた鉄が今も残っていて、明治27年に役割を終えた橋野鉄鉱山の面影を今に伝えています。
これ、鉄です。
森さんは、交通アクセスの不便な場所ではあるけれど、訪れる人には、そのことさえも魅力として味わってもらいたいと話していました。
明治日本の産業革命遺産は、ユネスコの世界遺産委員会で、ことし7月に審査されることになっています。
一方、世界遺産委員会の21の委員国のうち韓国は、朝鮮半島の人々が強制徴用された場所が含まれており、世界遺産の理念には合わないなどとして、登録に反対しています。
政府は、日本による韓国併合以前に当たる1850年代からの半世紀の間に、急速な産業化が日本で進んだことを示すものであることなど、遺産の歴史的な位置づけを説明し、韓国側の理解を求めたいとしています。
次です。
テニスの錦織圭選手。
スペインのマドリードで開かれている男子ツアーの大会で準々決勝に勝ち、ベスト4に進みました。
世界ランキング5位の錦織。
相手のフェレールは世界8位。
ラリー戦が得意の実力者です。
錦織は、長いラリーに持ち込みたくないと臨みます。
力をつけたサーブが有効でした。
ストローク戦でも、前に出る積極的な仕掛け。
戦術が成功し、第1セットを奪います。
第2セット、攻めのショットが次々と決まります。
不調だったバックハンドのダウンザライン。
そして得意のリターンエース。
フェレールを圧倒した錦織。
ストレート勝ちでベスト4進出です。
今週はこんなニュースもありました。
こどもの日でにぎわう、名古屋市の東山動物園。
クマが塀によじ登り、来場者がいるスペースに近づく騒ぎがありました。
高さ5メートルの塀をよじ登ったのは、3歳のオスのマレーグマ、マーチンです。
来場者に危険が及ぶおそれがあるため、職員が長い棒のようなもので追い立てます。
落ちそうで落ちないマーチン。
しばらくすると、塀から下りて、施設に戻っていきました。
マーチンは塀の角にしがみつくようにして、登っていったとみられるということです。
動物園では、クマが登っていった部分をコンクリートで埋めるなどして、再発防止を図ることにしています。
続いては、深読みのコーナー。
大型連休中に行った人もいるかもしれないあの海で、今…。
まるで船が宙に浮いているみたい。
そんな不思議な写真が撮れるほど絶景が広がる地中海。
ところが今…この海で大変なことが起きています。
粗末な船で次々やってきているのが難民など、中東やアフリカから逃げてきた人たちです。
今月に入って、すでに6700人が救助されました。
先月には、大惨事も。
船の転覆事故で800人以上が犠牲になりました。
中東やアフリカなどで深刻化する内戦やテロそして政治的迫害。
こうして住む場所を追われた人は世界で5000万人以上に上り国際的に大きな問題になっています。
実はここ、日本にも助けを求めてやってくる方急増しているんです。
難民の支援するNPOには、連日さまざまな国の人が訪れています。
世界で増え続ける難民。
いったい何が起こっているの?受け入れる国は、どうすれば?きょうは、とことん深読みします。
きょうもメール、ツイッターでのご参加、お待ちしています。
この数字、去年、日本に難民申請をした人の数です。
このうち何人が難民として認められたか。
そんななかなか認められないんですか?
どのくらいそれが難しいかというと、二村さん。
11人です。
えー!そんなに少ないんですか?
どおりで私たち、難民といわれてもちょっとぴんとこないはずですよね。
そうですね。
なんか遠い国のお話だというふうに聞こえる理由はここにあるのかもしれません。
でも世界では大変なことになっているようです。
中山アナウンサーのプレゼンです。
おはようございます。
その難民って、街で聞いてもですね、多くの方、やっぱりちょっとこう、なんなのか分からないということで、まずこれ、どんな人たちなのかからいきますね。
これ、定義があって、難民です、困難の難の字、付いてますけれども、どんな困難が背景にあるのかといえば、もともとはこうした政治的な迫害、そのときの政権に反するようなことをして、追われる、自国にいられなくなってしまうような人たちが、今や、武力紛争などで自国にいられなかったり、人権侵害、同性愛者の人たちが迫害を受けるなんていうこともあって、自国にいられず、ほかの国に守られたり、かばわれたりすることが必要な人たちが難民といわれています。
世界を見れば、こうした背景、迫害を受けているような人たちっていうのは、今、非常に多くって、こうしたことから、自国に住めない、自分の住む所がないっていうような方々が、先ほどもあった5000万人以上になっているということ。
この中でも、急増している地域、場所があるんですね。
どこだと思います?
どこだろう。
シリアじゃないですかね。
中東のシリアなんですね。
ここってもともとは非常に豊かな土地、古代文明も発達したような所、古代遺跡もたくさんある。
農作業なども非常に行われているような所なんですけれども、ここ最近、難民の数、400万人。
この3年で66倍。
400万人ってわれわれ、分かりやすく、日本のどこか地域ないかなって探したら、四国で暮らしている皆さん以上が難民になっているぐらいの人数なんです。
ここ数年で。
シリアの国民の5人に1人が難民になっているという現実があるんです。
どうしてそんなに増えているのかというのが、取材で分かってきた部分、模型にしてます。
皆さんにきょう、知っていただきましょう。
シリアといえば、去年ぐらいから、名前聞いたことあると思います。
過激派組織IS・イスラミックステートが入ってきていて、市民が処刑されるなんていうニュースも最近ありました。
で、ここって内戦状態、実は、この4年以上続いているんです。
分かってらっしゃる方、いらっしゃるかもしれませんが、政府軍と、その独裁政権に反対する反政府勢力の争い、内戦も続いている中で、三つ巴の争いになっちゃってる。
ここで22万人以上の方が亡くなっているという所。
となるとですね、暮らしている人たちからすれば、もうシリア好きなんだけど、もう出ていかざるをえないということで、周辺国に行く。
これで難民になっていっているわけです。
どれぐらいの数の方がいるか、周辺国見てみましょう。
こうなっています。
最新のデータですけれども、これ特にこの隣国の、海側にあるレバノン、これ、レバノンに暮らす人たちの、実に4人に1人がシリアの難民になっているそうです。
そんなに?
もうこれ限界にきていますとレバノンは言っていると。
トルコもこれ以上来てもらったら困ります、もうちょっとここは、トルコには来ないでくださいっていうようなことも言い始めていて、イラクは戦闘状態になっている。
シリア、難民の人たち、行く所が今、ここ、ヨルダン、南側のこのヨルダンに行く人たちが増えているんです。
ここで難民が、まさにテントの暮らし、難民キャンプという所に入ったり、空き部屋などがあるマンションやアパートなどの、こうした部屋に入って、もうぎゅうぎゅう詰めの中で暮らしている方が今、増えているといわれています。
この辺りって砂漠地帯なんですね。
非常に劣悪な環境なんだそうです。
気温、夏は45度、冬は氷点下5度まで下がる中で、テント暮らしであったり、電気、水道などもしっかりしていないような所で、こういう衛生状況の中で生きていると。
水も足りない。
お風呂も入れない。
シラミがわく、病気になる人も増えている。
でも医療体制はしっかりしていない。
薬も足りないんだそうです。
亡くなる方も増えている。
さらには、学校の教育なんかも受けられない方がほとんど多くて、将来を悲観する人たちも非常に多くなってしまっているという。
そういう所には大体どのくらいの期間、いるんですか?
これもう、だから長いと、ずっと4年。
紛争が始まってから、もう4年以上の人もいるわけですよね。
紛争始まってからずっとそこに?
そうなってくるとですね、将来、もう本当に悲観的に考える。
絶望的の中で、一筋の光となるような、あるうわさ、口コミが今、流れてきているんです。
そのうわさとは、あちらのほう。
あの光り輝くEUに渡れれば、昔のような豊かな生活ができるらしい。
あのEUには、地中海を挟んだこのリビアに行けば、どうやら渡れるらしいといううわさが流れ始めた。
そのうわさ、一筋の光を目指して、今、人たちが、出ていく人たちがいるんです。
エジプトに潜入してですね、歩いて2000キロ以上の旅らしいんですけれども、もう着のみ着のままなんとかリビアに到着すると。
でもここって、海が100キロ、陸地まで最も近くでもあるといわれております。
泳いで渡るわけにもいかない、でもこのシリアの人たち、どうするかっていう、この人たちに目を付けた人たちがいました。
うちの船、乗っていいよ。
うちの船貸すから、この船でヨーロッパ行こうぜ。
ただね、お金はしっかり払ってねと。
密航業者、このビジネスをするような人たちが今、このリビアに集まってきているんですね。
こういう人たちになけなしのお金を払って、船に乗り込んでいると。
この船も非常に、先ほど映像ありましたけど、ぎゅうぎゅう詰め。
隙間という隙間に人が乗せられていて、これ漁船だったりすると、冷凍庫、冷蔵庫の中にも人が入っているような状況なんだそうです。
その中であのヨーロッパを目指し、出航。
これ、3日ほどの旅で飲まず食わず、身動き取れないような状況です。
ようやく見えてきました。
あのEUの陸地、イタリアもうすぐ、となると、この人たちがいます。
イタリアの海軍ですとか、警備隊。
こうした人たちが見ている。
で、この人たちに捕まると、また返されてしまう。
となると、密航業者、こんな手口をしているんです。
えっ?どうしたの?
わざと沈めて、人々を溺れさせる。
溺れた人たちをこの人たちが見れば助けざるをえない。
助けられて上陸を果たすということなんです。
じゃあその船や、その船を航行してきた密航業者はどうなるんですか?
操縦してた人たちはゴムボートなどで脱出して、これまた戻って、船あるよ、船あるよ、また乗んない、乗んないということで、またお金くれたら運ぶよということをやっていると。
でも、それでもいまや、なけなしのお金を払いながら、どんどん出航する人たちが増えているんです。
こうして地中海に今、難民を乗せた船が多くなっている。
中には、この船って沈んでそのまま、人々溺れて助けられないっていうことも起きていて、ことしに入ってからの人数です、死の航海と呼ばれていて、亡くなった方、4月までの間で1800人近いということなんです。
これはまずいでしょうと。
こんなビジネス許せんということで、言っているのが、EUでもあるんです。
先月の4月の末に会議を開いて、もうこの密航ビジネス、船、見つけたらこれもう、破壊します。
密航業者だって、こんなのはもう捕まえちゃいますよ、場合によってはということを言い出した。
それでもシリアからは難民たちがやってきますよね。
ここで行こうとしても今、行けなくなるという状況になってきた。
この人たちは難民キャンプ、劣悪な環境の中戻るのも、うーんとなる。
ましてや、内戦の行われているシリアになんては戻れない。
行き場所がなくなっている。
で、シリアの内戦で国内を見てみれば、今も人々、外に出たいという人たちが増えていて、難民が1日3500人のペースで増えているのが現状なんですね。
こうしてあふれ返るシリアの難民に対して、何かせねば、何かせねばと言っているのが国連の難民問題を扱っている、UNHCRという機関です。
ここがこんな声明を出しています。
どうか世界各国の皆さん、せめて10万人、ことしと来年、この2年間のうちで受け入れてくれませんか?呼びかけました。
さあ、どうします?受け入れますか?
そういわれても、でも、これですよね。
5000人申請されて、11人しか難民を認めていないのに、どうしますか?と言われても、どうしてそもそも日本はこんなに難民を受け入れていないんですか?
ひと言でいうと、悪循環、悪循環ですね。
もともと日本は難民の皆さん、例えばシリアからの難民の皆さんにとっては、そんなに人気のある国じゃないんですね。
日本が?
距離もありますし、ことばも違いますし、難民として来てからも生活が苦しいですよね。
そういう点であまり人気がないという点があります。
2番目には、日本の法務省が、難民に対して非常に厳しいチェックをするんですね。
あなた本当に難民なの?ということをチェックします。
3番目には、それと関係するんですけれども、最近メディアで話題を呼んでいる偽装難民っていう人たちが増えているということがあります。
つまり。
偽装難民ってどんな人たちなんですか?
何をしたいんですか?
本当の難民ではない、例えばシリアから来て、紛争に追われてきた人というよりは、どちらかというと、日本で働いて、本国、自分の国の自分の家族にお金を送るといった人たちですね、本当は働きたいんだけれども、難民制度を利用して働く、そういう人たちがいる。
こういう問題があって、結果的には難民として認められる人、500人に1人です。
0.2%、ほとんど無理ですね。
すると、外から見て、日本に行っても難民として認められるのは500人に1人ということで、人気が下がるという形で、悪循環が続いているんですね。
それが現状ですね。
考えようによっては、人気がないなら、まあいいかっていう感じもするんですけど。
それだとやっぱり困ってしまっていて、日本の中で見ると、日本に来て助けを求める、難民申請をする方というのは増えているんですね。
シリアの方に人気がない、距離的にも非常に遠いですから、人気がないといっても今までに60人以上の方が、日本に来て助けてくださいといって、難民申請をされています。
その本当に戻れない、シリアであっても、60人中、認定されたのは3人。
ほかのほとんどの方は不認定ですという決定を受けています。
今お持ちになっているそのボードは。
これは日本の難民申請者の方の数と、認定を受けた方の数ですね。
減ってないですか?
認定を受けた方が、5年前は39人いらっしゃったんですが、一昨年が6人、昨年が11人と、どんどん減ってきてしまっている。
反比例して、助けてほしいといって、保護を求めてやって来る方は、シリアも含めて増えているというのが現状です。
石川さんは外国人の方が日本に助けを求めてこられたときの支援を行ってらっしゃるじゃないですか。
偽装難民ということについてはどういうふうに感じてらっしゃるんですか?
偽装を、本当にされる方がいたらそれは問題だと思います。
ただ、偽装を取り締まるあまり、今、ただでさえ少ない11人という難民認定の数が、さらに低くなってしまう、シリアの方ですら認められていない、こちらも非常に大きな問題だと思っています。
偽装難民の人は実際いるんですか?
私たちは全員の方に会っているわけではないので、報道のとおりであれば、少なくともいらっしゃるんだと思います。
ただ、その定義、じゃあ、偽装は誰なのかって分かっていないですし、あまり明らかになっていない部分が多いと思っています。
また何より、働きたいというだけでは、働きたいということ、シリアから内戦で逃れてきた方が働きたいということも十分にありえることなので、そういう意味でも偽装かどうかということを見分けるのも非常に難しいですし、やはり適正な認定制度というのが、より必要になっていると思っています。
情緒的には非常に理解できるんですけど、どうなんでしょう、日本の今までの文化といいますかね、そのの中で、そういう皆さんを受け入れるような土壌が出来上がってないんじゃないかというような思いがございますね。
例えば、観光客が外国のお客様、円安でどーっと来るだけでも、こんなに戸惑っているような国が、果たしてできるんだろうかというような気持ちがございますんですが。
その点なんですけど、実は、難民にかす条約があるんですね。
難民というのはどういう人たちか、最初に説明がありましたけれども、この条約でも、人種だとか宗教、あるいは国家、それから政治的な意見、こういった違いから迫害を受けるおそれのある人たち、あるいは迫害を受けている人たち、そういう人たちをこの条約では守る、保護する義務があるとしているわけですね。
日本はこの条約に入っているわけです。
ですので、日本に保護を求めてきた人たちを日本は守らなくてはならない。
これ、国際的な、国際社会の一員としての責任でもあるというわけなんですね。
受け入れる土壌が今あるかどうかに関わらず、受け入れなければならないと。
そうですね。
そこにひとつ新しい問題がありまして、先ほどの難民認定数が少ないということと関係するんですけど、日本の場合、1951年に出来たこの難民条約、きちんといえば守っているんです。
ところが、これは古典的な難民といいますか、政治亡命者みたいな人を対象にしてるんですね。
人種、宗教…。
特にこの政治的な意見というところね。
そういう人を対象にした難民条約は、今の現在の例えばシリアから逃れてくる、いわゆる紛争難民みたいな人にぴったしと合ってないんですね。
例えばISに、このままいたら命を奪われてしまうかもしれないということは、これだと当てはまらないんですか?
当てはまる場合もありますね。
他国では、例えばイギリス、アメリカ、オーストラリアなどは、そういう方に関しても難民条約を元に認定という形をしていらっしゃいまして、9割以上の方が申請をして、シリアの方も認定を受けていらっしゃるんですね。
じゃあ、この難民条約自体はどこの国も批准しているけれども、解釈が違う?
解釈が違ってくるんですね。
ただ、できるだけ統一していきましょうということになっているので、日本だけ狭い、小さな解釈をしているというところは、やはり改善の余地があると思いますし、やはり私たちは現場で4000人以上の方を支援させていただいてきましたけれども、現場で見てると、すごく温かく受け入れられているなという一面を多く感じます。
シリアで受け入れられた方がご家族を呼ぶことになって、先般、呼び寄せができたんですけれども、政府の方にも非常に尽力していただきました。
また、ご家族が住まわれている、関東の地域なんですけれども、やはりベールをかぶった人が来たということで、大家さんの方が、近所の方に、こういう人が来ましたよ、でも逃れてきて、日本社会で住んでいきたいんですよというふうに皆さんにごあいさつしてくださったというようなお話も聞きまして、非常に日本社会の中で、私たちが思ってる以上に、受け入れの目はあるなと思っています。
こんなツイートが来てるんです。
難民受け入れをしたフランスでは今、国家としての最大の問題の一つが難民だよって。
この人は難民と移民を置き違えていらっしゃるような気がするんですけれども、難民と移民って、そもそもどこがどう違うと考えれば?
難民は先ほどから何度も出てきてますね。
この政治的な迫害、あるいは人権侵害、武力紛争、そういった危険から逃れて、国外に逃れた人ですね。
移民の場合なんですけれども、貧困などから逃れて、生きるために国外に逃れた人たちなんですね。
ですので、フランスなどの場合ですと、例えば北アフリカなどからよりよい生活を求めて、あるいは貧困から逃れてきた人たちが多いというわけなんですね。
ただ、そうはいっても、非常に貧困というのは紛争もあれば、いろんな地域ですよね。
ですので、厳密に難民と移民を区別するっていうのは、非常に難しくなってきているわけですね。
日本に住んでると実感湧かないねという声。
難民を受け入れてしまうと、さらに難民が増えるというスパイラルに陥ってしまうんだろうかという心配の声。
そしてこんなメールも来ています。
埼玉県70代の男性から。
治安へのご不安への声も来ています。
日本はお金、結構出してるんですか?
はい。
日本は世界の難民問題のためには、外務省がたくさんのお金を出しています。
例えばUNHCRに対しては、年間200億円から300億円。
さらにほかの国際機関もありますので、300億円ぐらいのお金を出しているわけですね。
それによって世界の300万人、350万人の人というのが救われているという事実はあります。
ただ、あまりに日本の難民の受け入れの数が少ないものですから、日本はお金だけ出して、つらい仕事はしたがらないんだなというふうに、お金を出すことの価値が減ってきてしまっています。
そこで政府も、今までの難民認定による受け入れがあまりに少ないので、新しい方向で改正をしようということになりました。
それで具体的には、今まではこの政治的な亡命者を難民として考えてたんですけれども、今後は、例えばシリアから来るような紛争を逃れてくる人たちも、なんらかの形で日本で救うことができるような、そういう制度を考えています。
ただ一方で、さっき偽装難民の心配もあるから、難民認定が厳しいっていうご意見、お話ありましたよね。
そこは乗り越えられそうなんですか?
確かにこの偽装難民っていう問題はありますよ。
難民制度が利用されてるんですね。
というのは、日本で外国人が働くというのが非常に難しいんです。
必ず在留資格というものがなければならないんですね。
そこで入ってきて日本で働くのは難しい中で、実は難民の認定の中に、日本に行って申請すれば、6か月たったら働いてもいいよ、そういう取り扱いが出来たのね。
そこにみんなが注意をして、あっ、じゃあ、難民申請すれば働けるんだっていうことで、たくさんの人が難民申請する。
それがこのところに表れているんですね。
その新しい取り扱い、2010年に出来ました。
そのあと、非常に増えてる、かなりの部分は日本で働くっていうことを考えた人であろうと思われます。
ここでちょっとツイート、ご紹介させていただきますが。
直ちに難民を受け入れるべき、わが国にとっても近い将来にやって来る、人口減少の歯止めになる。
困難なこともあると思うが乗り越えないといけない。
それから、難民を受け入れることは簡単ではない。
偽難民を見極めることが難しい。
やみくもに受け入れるのは反対。
移住した人も幸せになれないのではないか。
やっぱりどうしても移民と難民がちょっとごっちゃになりがちのようですが。
もとを断たないことにはどうしようもないというね、ずーっと増え続けるわけでしょうから、すると国家が安定をする方向へ導いていくというか、力添えをしていくというようなことも必要になってくるのかなと思いますよね。
また難民を受け入れないといけないという時代になるんだろうなと思うんですが、どうなんでしょうね、親戚の人でも、法事で3日泊まられたら嫌なんですけどね。
そういう人間の持っているいいかげんな部分っていいますかね、そういうところと、どう、教育だとか、知識だとかですね、これから日本はどうすればいいんだろうというような、そんなところですよね。
そこでちょっと見ていただきたいところがあるんですけれど、実は日本、偽装難民の話もありましたけれども、こんな受け入れ方ができるんじゃないかっていう、こんな奥の手の制度ということで、ご紹介したいものがあります。
これもうすでに行われているものなんです。
その名も、第三国定住制度。
これどういったものかといえばですよ、自国に住めなくなって、他国に行って、難民になった人を、さらに別の第三国に行ってもらって、そこで受け入れてもらおうというものなんですね。
もうすでに、アフリカでいえばスーダンですとか、アフガニスタンとかいう所で行われていて、最近増えているのが、このミャンマーなんです。
ミャンマーって軍事政権、長らく続いて、少数民族のカレン族など、11万人の人たちが、国境を挟んだタイの所の難民キャンプに行って、難民となっているんです。
でも、タイにずっと長く暮らしていくことができるわけではない。
タイ政府、それを認めていない。
この人たち、今後どうするのかというところで、また出てまいります。
国連の機関、UNHCR。
国連の難民問題を扱っている機関なんですが、ここが呼びかけたんです。
どうかほかの国の人たちで、ミャンマー難民を受け入れてください。
その難民、私たちがしっかり難民と認めて人たちですから、どうぞ、その人たちを受け入れてっていったら、世界で12か国、手を挙げた。
日本も手を挙げた。
8万5000人世界で手を挙げたうちの、日本、2010年からもうすでに受け入れをアジアで初めて手を挙げた。
この5年ですけれども、人数、
86人。
少ない。
いやいや1桁だけじゃなくてよかった。
えー、でも、まだまだいるのに。
ささやかですけど。
でもまだまだいるんだ。
受け入れているんです。
で、この難民がどのようにして日本にやって来るのか。
自分の国では、国内で難民認定するのはできなくても、他国ですでに難民認定された人をこういう形で受け入れることはできるということですね。
その形を取って日本、受け入れていると。
どう手続きをしているのかというと、まずUNHCRが、このタイにいるミャンマー難民の中で、助けてもらいたいと思ってる、保護が必要な人っていうリストを作って、日本に送ります。
日本の国の担当者は書類を見て、実際に現地に行く。
難民に面接をします。
直接面接をして、この人だったら大丈夫、この人たちだったら、日本で暮らすこともできていくだろうということで、日本に渡り、受け入れるんですね。
先ほど、文珍さんおっしゃった。
実際、教育とかどうするのよと。
ここからは実は国がサポートする部分があるんです。
この難民の家族は6か月間、東京の研修所で日本語を学んでもらいます。
スーパー、買い物の仕方とか、電車の乗り方とか、日本の生活のいろは、研修を受けていくんですね。
6か月過ぎたら、次は地方自治体、受け入れるんですね。
公営団地などに住んでもらって、職業の訓練を受けてもらいます。
6か月間働いてもらう。
で、6か月たって、6か月、1年たつと、2年目になると、そうすると、会社と雇用契約を結んでですね、給料も出て、出せるようになると。
給料をもらえる、これで定住することができるようになって、一人立ちと。
これでしっかりと自立して子どもも学校に行って、生活していくようになると。
これ、5年で今、86人、実際にいて、われわれ今回、この86人の皆さんに、なんとか合おうとして、何人かの方にお会いできました。
お話聞いてきました。
こちらの方、ご紹介します。
三重県の鈴鹿市で、定住している、マオニュンさん夫妻。
実際お会いできて、お話聞いたんですけれども、きのこ栽培の農場で今働いていらっしゃる。
この定住制度についていろいろ聞いてく中で、正直、日本語、6か月じゃ学べません。
その後が大変です。
5年住んでる中でも、もう最初、日本語全然分からなかったし、あと日本の文化、風習も全く分からない。
不安だらけです。
困ってたんです。
でも私たち、今生きています。
この人たちがいたからと言っておりました。
地域の支えがやっぱりあったというんですね。
お父さんなんかは日本語、地域の人たちが年がら年中、朝から晩まで付きっきりでいろいろ、分かんないこと聞いて教えてくれたそうです。
お子さんも学校で勉強ついていけなくなんないようにって、地域の人たちやって来てですね、休み返上で教えてくれた。
お母さんなんかは、遠足のときにお弁当作りなさいって言われたけど、でもお弁当の作り方なんか分からないとなったときに、近所のお母さんがやって来て、早朝から一緒にお弁当を作ってくれたと。
こうしていろいろな支えがあって、今、生きています。
まさに私たち、地域の力に支えられていますということをおっしゃっていたんです。
でもね、この確かに研修制度があって、この第三国定住制度であるわけですが、最終的にはここ。
地方で生活をしていく、定住するわけですから、私たちがどう受け入れるべきなのかっていうことを、考えていかないと。
今、文珍さんがおっしゃった、難民を受け入れるなんて非常に心配だという懸念は分かりますけれども、今のストーリー、実はこの方たち私、2011年にタイのキャンプに行ったときにお会いしたんですけれども、地域の皆さんが一生懸命支えるという形で、きちんと定住をしてると。
これは今後の日本が、いやおうなしに外国人と向き合っていかなきゃならない、一つの成功例になると思うんですね。
こういう地道な経験をつなげていって、もっと外国人が、また難民も、日本に行きたいと。
日本に行けば自治体もいろんなところで支えてくれる、…も支えてくれる。
そういうイメージができればですね、もっと難民が来る。
最初に私が申し上げた、悪いサイクルのですね、それが止まって、いずれは逆転するだろうと、そんなふうに考えています。
ーこの鈴鹿市に、私も取材に行ってきたんですけども、やっぱり自治体が非常に熱心であるということと、それからやっぱり受け入れる人たちですよね、地域の人たち、それから例えば、この場合はきのこの栽培の農家なんですけれども、そこのご主人と奥さん、本当に熱心に、困ったことはありますかと、いろいろ相談に乗ってる。
学校でも先生、それから子どもたちが、みんなで助けているというところなんですけれども、その鈴鹿の場合ですと、もともと外国人が工場で働く人が多かったんですね。
ですので、ある程度ノウハウが、外国人を受け入れるノウハウがある。
ただ日本ではまだ、いろんな自治体、どうやって外国人を受け入れたらいいのかなという所、非常にノウハウがある所、少ないんですね。
それが日本のいろんな所で広がっていくというのは、これからの課題ですよね。
韓国も同じですね。
日本と第三国定住をやるということが決まりまして、先月、同じようにミャンマーからの難民の方々を3年間で30人ずつ、パイロットとして受け入れるということが先月、決まったんですね。
そういった形で、アジアに先駆けて日本が始めた第三国定住というのが、韓国ですとか、ほかの国にも広がっていくことになる。
日本がそこに先べんをつけていく。
そういった波及効果というのも、日本のみならず、他国にも広がっていく部分は大きくあると思います。
この第三国定住、日本がアジアで始めて開始したんですね。
難民に対しては非常に冷たい地域、冷たい日本が積極的に手を挙げて、わざわざ難民キャンプに行って、難民を連れてきたっていうことは、非常に国際的には評価をされました。
日本のイメージも改善したというところがありますね。
地域っていうか、地方の話が出ましたんですけど、例えば、大阪のミナミの小学校なんか見てると、もう国際色、これはどこの国なのっていうぐらいに、みんなが共生、共存をしているというか、せざるをえない状況になって、試行錯誤している最中なんですね。
どうやってこれからやっていけばいいのか。
経験値がないもんですから、おろおろしてるっていうのが日本人の今の状況じゃないんですかね。
そのへんは石川さんからやっぱり具体的なアドバイスが頂けるでしょうか。
本当に学校でも試行錯誤しながらやってらっしゃると思うんですが、すでに日本は経験もある程度あって、80年代にさかのぼってインドシナ難民の方々、ベトナム、ラオス、カンボジアの方々を1万1000人以上、日本に受け入れてきた歴史があるんですね。
そのことですね、今、ツイートでも、かつてカンボジアからの難民を日本では受け入れてましたっけ?という質問、それから30年前、新潟県に住んでたけど、近所にたくさんカンボジア難民いらしたけどねというご指摘がきていて。
まさにそういう方々が、日本で1万1000人以上定住されてきたという、すでに実績もあるので、そういった地域に眠っている、もしくは地域が積み上げてきた資源というのを生かしていくということも大いに考えられると思います。
私も鈴鹿の小学校、行かせていただいたんですけれども、まず入り口にですね、5カ国語ぐらいのあいさつが貼ってあるんですね。
ポルトガル語ですとか、スペイン語、日本語、英語などに並んで、カレン語のあいさつも先生たちの手書きで、おはようはなんて言うんだよ、こんにちははなんていうんだよというのが手書きで書かれていて、かたかなもふっている、みんながあいさつをできるようになっていたり、カレンの子どもたちが戦争の体験を伝えたり、もしくはカレンの料理をご紹介したりという形で、すごく地域の中で交流が深まっているなというのをすごくうれしく拝見しました。
そういった事例というのが全国で掘り起こすと出てくるんじゃないかと思います。
そういう助けるだけじゃなくて、子どもたちとか地域の人たちも逆に学ぶんですね。
いろいろな日本とは違う文化があるんだとか、そういった外国のこと、本当に学こともできるっていうことがありますね。
難民というのは、来ることで、われわれが新しいものの見方といいますか、世界ってこんな大変なとこだったっていうのが分かるんですね。
そういう点では、日本社会、日本の人たちが世界のことを知る、同時にそれを通して日本の社会をもう一度振り返る、そういう意味がありますね。
ただまあ、賛否両論ありますね、ツイートは。
人道的というけれど、受け入れたあとのことをしっかりと考えないとだめ。
あなたは自分のうちに来た人を簡単にうちに上がらせますか?それからすでにある制度を使って緊急性のある難民の受け入れを増やすほうが、法律を改正して戦争できるようにするよりよっぽど役立つ国際貢献だという声もきていますし。
難民を受け入れ過ぎてしまうと、難民が増えすぎてしまう。
日本はどうするのか。
一方、どんどん受け入れてどこがいけないんだろうという声。
本当に真っ二つですね。
ただ、現状ではほとんど来てませんので、来ないのに恐れている、そういう感じがありますね。
ヨーロッパ等は10万単位でいますので、現実の問題ですけど、日本の場合、ほとんど入れてこなかったから、問題っていうよりは、むしろ問題があるんじゃないかという不安感ですね。
そういう不安感をいかにただしていくかということが今の課題でしょうね。
実は難民の方を雇用して売り上げが上がったという企業さんもあるんですね。
八王子市にあるさかえ鋳造所さんっていうものづくりの工場さんなんですけど、やはり日本の市場はもっと細っていく。
その中で海外展開しないといけない。
そういうときに難民の方を雇用して、社員も英語が話せるようになり、そしてその方がその製品に、進んだ日本の技術を販路を開いていくというところに活躍されまして、実際に売り上げも上がったということがあります。
この企業が先般、経済産業省のグローバル経営企業100選にも選ばれまして、やはりダイバーシティ経営企業100選ですね。
選ばれまして、やはり難民受け入れを力に変えていく、メリットに変えていく、そういった取り組みというのは、どんどん進んできているんではないかと、現場では思っています。
そういう難民の方たちというのは、一回日本に長期間住むことにした人って、もうずっといらっしゃるんですか?それとも。
できれば平和になった故郷に帰れるのが一番いいとされていて、ミャンマーの方の難民なんかは、すでに帰られ始めている方もいらっしゃるんですね。
例えばミャンマーで起業して、今、日本企業のミャンマー進出を助けているという、元難民の方もいらっしゃいますし、逆に2世の方ですね、2世の方が日本語を勉強して、ミャンマー語も話せて、バイリンガル人材になって、障害者に就職して、彼も日本企業のミャンマー進出を助けてると聞いています。
これから民主化がどんどん期待されるミャンマーですので、そういった形で日本とミャンマーの橋渡しになったり、皆さん、日本で本当に平和だ、安全だ、ここにきてようやく安全が得られたという方もいらっしゃって、そういった日本の安心な面ですとか、治安のいい面ですとか、いい面をたくさん吸収して、平和になった故郷に帰って、すごく日本のファンが増えて、そして日本の技術ですとか学んだことをもとに、また復興していかれる、そういったことによって、難民を生み出さない国を作っていく、そういったことも非常に重要なんではないかと考えています。
そうですね、メリットもあるじゃないかというふうに期待もできるとおっしゃってるんですよね。
確かに自国に利益のない、国民の不満が高まる分、むしろ不利益な人たちを受け入れ続けるというのには限界があるよてという声や、見返りがなけりゃ受け入れるのはおかしいという声がある一方で、誰も好きで難民になっているんじゃないというふうにおっしゃる方もおられます。
どうでしょうね?日本というこの国はですね、国はですねって、そんなたいそうにいうことはないんですけど、宗教観的に割りとやおよろずの神々、あらゆるものに神が存在するというような共生をしようというような、気持ちが育みやすいんでしょうか、どうなんでしょうかね。
すごく皆さん、寛容に地域社会の中に受け入れられているなと思うんですね。
例えば私たちのところに、この人をなんとかしてくださいって、難民の方の、例えばお友達になった人、職場で出会った人、例えば本当に道路で迷ってたから連れてきてあげましたっていうような、あと一緒に近所で会って、どうしたのって聞いてたら、泊まる所がないんですって言って、連れてきてくださる方というのが、数多くいらっしゃって、本当に地域社会の中で、人知れず、多くの方が接点を持ったり、支えてくださっている方がいらっしゃる、そういうのを見ていると、本当に寛容さっていうのは日本社会の中に大きくあるんだなというのは、現場で感じられるところです。
私もそう思いますね。
日本の人たちは、基本的には優しい人なんですね。
ただちょっと、シャイなところがある。
知らない人に声かけるとか、そういったところが苦手なところがありますけれども、その最初の敷居を越えると、非常に熱心ですね。
献身的に助けてあげることができるんですね。
でもまあ、今身近に、難民の方がいらっしゃらなければ、何をどうするということもないんですけれども、私たちがこの問題についてできることってあるんですか?
ぜひ知るってことは非常に大きなことなので、ぜひ知って、皆さんの中にある関心のスイッチを押していただきたいと思うんですね。
グローバル化ということばはなんか、耳触りはいいんですけれども、たくさんの問題を抱えていて、解決していかざるをえないというようなことを、再確認しますよね。
摩擦は避けられないですね。
でもその摩擦を超えないかぎりは、日本はいつまでたっても外に閉ざされた内向きの社会で続くだろう、そういう感じがしますね。
これ、難民問題だけでないんですね。
外国人を受け入れるかどうかという、その日本が開かれた国になるかどうか、そういった議論をまずしていかなくてはいけないというように思うんですね。
仮に難民を受け入れようという人、絶対反対という人、それぞれ何をしたらいいんですか?今。
ぜひ知って、知らせていっていただきたいと思います。
日本にやはり、これだけの人がすでに来ていること、助けが必要なことというのはぜひ知っていただきたいと思いますし、やはり大きな形での議論が必要だと思っています。
日本は本当に難民に対してもっと開いていくのか、そういったことはオープンの場で議論して、そして皆さんが参画して、そして納得できる形で決められていくというのが必要だと思っていて、今は本当に限られた知っている人たちだけが話しているという形だと思うんですけど、もっと議論を開いてですね、多くの人に参加をしていただいて、賛成の方も反対の方も懸念を出し合って、そしてみんなで、納得はいかないかもしれないですけど、方向性を決めていくのは大切だと思いますね。
あとは日本の難民政策といったものがきちんとする必要があると思うんですね。
2015/05/09(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「内戦・テロ・迫害… 急増する“難民”はどこへ」[字]

先月地中海で難民などを乗せた船が転覆し800人以上が犠牲に。UNHCRによると難民など国内外に避難する人は世界で5000万人以上。難民はなぜ増加?日本の対応は?

詳細情報
番組内容
先月、地中海で難民や移民を乗せた船が転覆し800人以上が犠牲になった。いま、紛争やテロ、貧困から国を逃れようと中東・アフリカからヨーロッパをめざす人が急増している。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、世界各地の紛争の影響で難民などとして住む家を追われた人の数が、第二次大戦後はじめて5000万人を超える事態となっている。なぜ難民が増えている?日本にできることは?深読みする。
出演者
【ゲスト】桂文珍,藤本美貴,【解説】東洋英和女学院大学教授…滝澤三郎,NPO難民支援協会代表理事…石川えり,NHK解説委員…二村伸,【キャスター】小野文恵,高井正智,【気象キャスター】南利幸ほか

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