日本の話芸 落語「一人酒盛」 2015.05.09


自己負担ですから活用しないともったいないですもんね。
どうもありがとうございました。

(テーマ音楽)
(出囃子)
(拍手)
(拍手)
(柳家小さん)しばらくの間おつきあいのほどを願っておきますが。
いい陽気になって参りまして。
何がいい陽気か分からないんですけどもね。
まぁどちらにしてもね酒を飲むにはねいい陽気かもしれませんね。
酒を飲むのに陽気があるんですかね〜?我々この社会というのはですね仲間と飲みに行きますとね先輩がねご馳走してくれるというねそういう世界でございましてね随分いろんな先輩にご馳走になりました。
しかしこのごろねその先輩がどんどんどんどんいなくなりましてね上の立場になってくるとね「なるほどこらぁね〜ご馳走するってぇのは大変な事だな」ってぇのが分かりますね。
第一師匠にも随分とご馳走になりましたね。
元はね柳家の一門でございますからもう前座の時からねいろいろ面倒見てもらってご馳走にもなりました。
大体ねあの方がご馳走してくれるというのは銀座のバーでございましてねそこでご馳走になるんでございますけどもねまぁあの方というのはねどちらかと申しますってぇとね意外とねしみったれな方でございましてね…。
(笑い)あんまりつまみはね頼まないんですよ。
ええ。
それで時期になりますってぇとね銀座ですからねどこか道端で拾ってくるんでしょうね銀杏をこうやってね。
(笑い)でバーテンに銀杏炒らせてねそれでもって「アッチアチッア〜ッチアチッア〜ッチアチャ」食べてますよ。
ええ。
随分食べるんですよ。
「あんなに食べてねいいのかよ?」と思ってね一度聞いた事ある。
「師匠。
それはあれですか?体にいいんですか?」。
「胃腸
(銀杏)に良くなる」ってましたけどね。
(笑い)分からない話ってぇのは随分あるもんでございましてね。
「お前さん行くのかい?」。
「うん。
行ってくるよ」。
「行ってくるよったってさぁええ?だってお前さん熊さん所へ行くってぇとねいつも不機嫌な顔して帰ってくるんだからさぁ」。
「だってしょうがねえじゃねえかよええ?かみさんが来てさ『暇ならちょいと顔出してくれ』ってそうやって来たんだからさ」。
「何言ってんだいこの人は。
『暇ならちょいと顔を出してくれ』ったってお前さん暇じゃないんだよ。
忙しいんだよ。
明日の昼までに納めなきゃならない品物だってあるんだからさ」。
「分かってる分かってるよ。
ええ?だからちょいと…」。
「だからさぁ行くのはいいの。
行くのはいいんだけどもさね?嫌なら嫌で帰ってくるんだよ」。
「あ〜分かった分かった。
行ってくるよ」。
「こんちは」。
「お〜盛さん来た?あ〜さぁさぁさぁお〜こっちこっちこっち。
あの〜なんだいかみさん行ったろ?」。
「オ〜オ〜来た来た。
なんでもね『暇ならばちょいと顔を出してくれ』って」。
「そうそうそうなんだよ。
ええっ?暇かい?」。
「ウウ〜ン。
暇じゃねえんだよ忙しいんだよ。
うん。
明日の昼までにねどうしても納めなきゃならねえってそれがあってね忙しいんだよ」。
「何だよ。
それじゃしょうがねえじゃねえか忙しいんじゃ。
ええ?じゃあいいよ帰んなよ。
うん」。
「何なの?」。
「えっ?いや何なのったって別に何なのって事じゃねえんだけどもよいや実はね酒もらったんだよ」。
「酒?」。
「うん。
そうなんだよ。
俺がちょいとね面倒見た男がいてねそれがねしばらくね大阪行ったんだ。
ああ。
それが帰ってきたんだよ。
でねまぁ向こうのね造り酒屋と仲よくなったんだろうね。
『こっちじゃねちょっとやそっとじゃね手に入るような代物じゃねえんだ』なんてんでねうん自慢してね酒持ってきてくれたんだよ。
ええ?『なにしろこれはうめえ酒だ』って言ってねそれでね1升持ってきたんだけどもね『ちょいと脇に一軒行きたい所がある』ってんでね半分の5合だけ置いてったんだよ。
うん。
『なにしろいい酒だ』ってんだよ。
俺ねその酒もらった時にねすぐ盛さんのことああすぐ頭に浮かんだよ。
『そうだ。
これは一人で飲んじゃいけねえ。
盛さんと二人で飲もう』ってねフフフ。
で嬶やらせたんだよ。
俺さお前と飲んでるのが一番いいんだようん。
ばかっ話しながらねで飲もうかと思ったんだけどもさ。
あっそうか。
じゃあしょうがねえな忙しいんじゃなじゃあいいよいいよいいようん。
だから帰って仕事しなああ。
いいよ帰って」。
「ウ〜ン。
それいつやるの?」。
「いやだからいつやるったってさ今だよ。
ええ?いや嬶はさ買い物行っちゃったんだよ。
帰ってくるまで待ってるって訳にいかねえじゃねえかよ酒を目の前にしてよ。
だからこれからやろうってんだよ」。
「それ俺つきあうよ」。
「えっ?」。
「つきあう」。
「何だよお前ええ?忙しいんだろ?」。
「まぁそりゃそうだけどもねあの〜まぁどうにか夜なべすりゃね間に合うような仕事だからさそれ俺つきあうよ」。
「本当に?つきあってくれる?いやそりゃありがてえんだけどもよそれが一番いいんだけどもさぁいやあとでもってさぁええ?『何だよ本当熊さんがあんな事言わなけりゃどうだとかこうだとか』そんな事言われねえかな?お前のかみさんに」。
「ウルル〜ッ大丈夫大丈夫。
まぁ大丈夫だよ」。
「本当に?いいね〜それが一番いいんだよフフフ。
じゃあやろうじゃねえか。
そうそうそうあのね盛さんの前だけどもねよくね『口八丁手八丁』なんて事を言うけども俺は口は立つ口は立つんだけどもどうもねこの手のほうが駄目なんだよ。
えっ?いやというのはねいい酒だからそりゃ冷やでもうまいんだろうけどもねどうしても俺はねお燗しなきゃ駄目なんだよええ?そのさお燗番だよね?いや嬶が居りゃ嬶にみんなやらせんだけどもさどうも俺はそのお燗するってぇのは…」。
「いいよ俺がやるよ」。
「えっ?」。
「俺がやる」。
「何だよ?ええ?盛さんやってくれるの?」。
「やるよ〜うんお燗ぐらいどうって事はねえやな。
ええ?そんなお前いい酒ご馳走になるんだから大丈夫だよ俺お燗やるよ」。
「そう?やってくれる?悪いな〜。
ええ?いや嬶が居りゃみんな嬶がやるんだけどもさそれじゃなんだよ頼んじゃっていいか?あっそうか?じゃあやってもらおうかね。
そこのさ台所のああ上げ蓋上げてようんそれで消し壺が入ってんだろ?うんそこから炭出してさ七輪の…うんそれ入れて。
えっ?うんうんそんなのすぐつくよ新聞紙捻ってそこへ突っ込んでさ。
そうそうそう。
それでねそこに薬缶があるだろ?うん。
さっきまで何か嬶がやってたよええ?ぬるま湯が入ってると思うからさ。
それでもってね徳利はねそこの上の所開けてごらん。
ほらそこに2つ入ってんだろ?徳利が。
うん。
それお前ちょうど1合入るっていい徳利なんだよ。
あっ酒はおっほらええ?これだよ。
ね?一升瓶にうんあれしたんだけどもよどうだよ?いい色してるだろ?頼むよ。
それでね2本一遍に入るからねその徳利は。
大丈夫大丈夫大丈夫なんだ。
俺はいつもやってるんだからうん。
ちょいと横にすりゃ入るから。
うん。
こぼさねえようにねええ?こぼしちゃ駄目だようん。
なんてったって自慢してたんだから。
もうね『ちょっとやそっとじゃね手に入らねえんだから』なんて自慢してたんだ。
ええ?ね〜どんな酒だかさちょいと本当にやってみようじゃねえかよ。
ええ?アハハ〜しかしなお前とこうやってね飲むってぇのは俺は一番好きなんだよ。
うん。
ウウ〜ッよ〜どうだよ?ええ?お燗。
えっ?まだ早い?そう?いいよいいよちょっといい早くてもいいからちょいと1本1本1本出してくれいいから出してみてくれ。
えっ?何が?うん猪口。
あ〜猪口なんか要らねえんだ。
ここにねおっ湯呑みがあるんだうん。
この湯呑みがちょうど1合入るってやつなんだよ。
うん。
え〜そっち…。
えっ?あ〜そうかうん。
じゃあいいうん注いでくれ。
えっ?大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫なんだよちゃんと入るんだから。
ほらほらほ〜らどうだい?ね?キッチリ1合入るんだよ。
ええ?エヘヘじゃあねひとつねうんどういうやつだか…。
ね〜」。
「よ〜ええ〜?うまいかい?」。
「なんか言っちゃいけないよなんか言っちゃいけませんよ。
今味わってんだから〜。
うまいよ〜。
ヘエ〜ッなるほどねあの野郎がね自慢するだけあるようん。
本当まあ〜いい酒だよ。
ほらええ?酒がこうやって盛り上がってんだろ?いい酒じゃなきゃこうはいかないよ。
ええ?」。
「ハア〜ッこくがあるんだね〜。
ぬる燗でこいだけうめえんだからさぁ。
ヘエ〜ッなるほどねいい酒だよ。
ツ〜ッと下りてくるんだよね?悪い酒はそうはいかないよ。
ああこらぁいいやこらぁ」。
「ヘエ〜ッ結構なもんだねええ?いいね。
今日はなんだよ盛さんよやろうやろうね?やろうじゃねえかよ。
ええ?しかしねこのねいい酒ってぇのはねこの飲み口がなんとも言えねえんだよ。
ね?それで酔った時のこのねこの酔った時の気分がなんとも言えねえんだ。
ああ。
しかしね悪い酒はねなかなかそうはいかねえんだようん。
もうなんてったって飲み口は悪いしねもう酔った時はすぐ頭へくるしね。
そういう酒そういう酒じゃねえんだよこれは。
ええ?ヘエ〜ッなるほどこらぁねうんいい物いい物もらったよ」。
「ハア〜ッ結構だね〜。
ええ?昔はね大坂からええ?酒運ぶのに舟で運んでくんだよね?それでもって途中でもってク〜ック〜ッてさもまれてさそれでこの江戸へ着く頃にはねちょうど熟れたないい酒なんだってさこれがね『富士見の酒』ってんだよ。
ええ?まさにこれこれがそうですよ。
ヘエ〜ッ驚いたこれ。
うん」。
「もういいだろ?お燗の…。
うん?うんうんこっち…。
えっ?いやいいいい〜自分自分で自分でやる自分でやるからいい。
ヘヘヘヘ〜ッ」。
「ほらほらね?ちょうど1合入るってやつなんだ。
じゃあまたこれ入れといてくれ。
ええ?しかしなんだねええ?酒なんてぇなぁさね〜そらぁねどうどう飲んだっていいんだどう飲んだっていいんだけどもさやっぱりね何かあるだろ?『そんな飲み方して酒に失礼だ』とかなんか。
うん。
家の親父ええ?飲んだ。
飲んだんだけども駄目だね俺に言わせたらね家の親父の酒ってぇのはねあらぁあらぁあらぁいけませんよ。
うん」。
「あのね食い物がね無いとね飲めないのええ?つがいやザ〜ッと食い物並べてねそれでもってそれムシャムシャ食ってさでその間にね酒飲もうってんだよ。
ええ?冗談言っちゃいけないってんだよそらぁねそらぁいいだけどもさね〜酒飲みからねそりゃ見りゃねそりゃ失礼だよ酒に対してね。
うん」。
「アア〜ッしかしなんだねええ?こういううまい酒飲むとさなんか『七十五日寿命が延びる』なんて事を言うけどもそんな事ないね5年は延びたねええ?本当だよ。
ね〜。
だからさぁ盛さんも分かると思うんだけどもさやっぱりそうそう何か物を食いながらってぇのはそりゃないやね?うんいいんだよええ?酒がうまかったらねそのうまい酒が酒のつまみになるってやつだよええ?本当本当本当。
うん。
フフフ」。
「そりゃさそりゃいいんだよどんな飲み方したってどんな飲み方したってそりゃその当人がさね〜そりゃ好きで飲んでんだからさ文句は言えねえけどもさね?そりゃだってみんなね〜?人それぞれだよね〜?一人で静かに飲みたいって奴がさいるよ。
でまた逆にさ何かこう宴会みたいにクククっていっぱい人がいてガチャガチャガチャガチャやってねえとね飲んだ気がしねえなんてさそんな奴もいるんだよ。
いいんだいいんだどんなどんな飲み方したっていいんだけどもさね〜そりゃうまけりゃうまけりゃいいんだけどもね。
うん」。
「アア〜ッハハハハうまい。
ええ?ヘヘヘヘ本当に本当にうまいよ。
うん。
エヘヘもう一つうんあの〜ウ〜ン徳利出してくんねえかな?フフフ。
俺もさぁまぁ酒は好きで飲むんだけどもさええ?嬶がうるせえんだようん。
なんかね『そんな遅くまで飲んでるとね明日の仕事がどうだ』とかねウ〜ッ『体にどうだ』とかさ全くうるせえんだようん。
うるさいうるさいよ〜。
そりゃね家の嬶だってうるさいよええ?『何だかんだ』ってよく言うよ。
うん。
それで『表で飲んでるってぇなそんな高い金出して飲む事はない。
家で飲みゃいいじゃないか』なんてそういう事を言うんだよ。
ええ?いやそりゃさ俺だってお前そらぁ分かってるよ。
ね〜。
でもさ家で飲むったってさいや別にねなにも並んでウウ〜若い女の子がどうのこうのじゃねえけどもよ今更さぁ家のかみさん目の前に置いてお前酒飲んだってしょうがねえじゃねえかよ。
ええ?いやそりゃなんだよあの〜家のかみさんだってそりゃ家で飲む時はつまみでも何でもさこしらえてはくれるようんこしらえちゃくれるけどもさ…。
ええ?」。
「そうやってお前家でばっかり飲んじゃいられないよ。
うん。
この間はなんだい仲間とみんなで飲みに行ったんだよ。
それで『もう一軒行こうじゃねえかもう一軒行こうじゃねえか』って何軒行ったかねええ?それでみんなで電車で帰ってきた。
俺が最後だよ。
ええ?とうとう寝込んじゃったんだよ。
そしたらウウ〜ッ起こされてね車掌に。
ウウ〜ッ『もう終点ですよ』ってんだよ。
ええ?何だか分からねえんだ。
なんか知らねえ駅でさそれで戻ろうと思ったら『もう電車無え』ってんだよ。
ね?全くいまいましいけどもさまぁどっちにしたって帰ったほうがいいだろうと思って車で帰ったんだよね?それでもって『もう寝てるかな』と思ってヒョイと覗いたらね寝ちゃいないねええ?目を皿のようにして起きてるね。
それでこっちが『ただいま〜』って言おうかなと思った時だよ目と目が合った途端に『こんな時間までどこで飲んでやがったんだ〜』。
アハハハハハハハすごいねええ?『どこで飲んでやがった』ってんだよ?ええ?だから『実はこうこうこういう訳で車で帰ってきた』ったら『何でそんな無駄な金使うんだ。
そんな無駄な金使うなら駅のベンチで寝てりゃいいじゃないか』って。
ひどいね。
『お前は亭主の体よりも金のほうが大事なのか?』って聞いたら『当たり前でしょう。
金だよ〜』ってひどいね〜。
ええ?ハハハハハハハハ本当本当だよねええ?亭主がさぁどいだけもてるってんだよ。
ね?しかしなんだね盛さんお前はあれだねおお燗うまいねお前はね。
ええ?やっぱり飲むからだな。
うん。
飲まねえ奴はなかなかこんなねいいお燗はできないよ本当だよ全くな〜。
それであのさ〜あ〜そのあのさ〜あの…」。
「いやちょっとよ熊さんよぅ俺もやっていいかな〜?あの〜湯呑みでよぅ」。
「やんなよやんなよ。
駄目だよ遠慮してちゃ。
ええ?駄目だよ。
俺今日お前と二人で飲むんだからさ駄目だよ遠慮しちゃどんどんどんどんやってくれって…。
おうそれじゃあお俺がお酌してやるお酌してやる。
うん。
駄目だ駄目だええ?そんなものそんなもの遠慮しちゃいけねえ。
どんどんどんどんやって…本当やって…。
あっチョイチョイちょいと聞いて…いやそうじゃねえあのねあのね慌てちゃ…あわ慌てちゃいけない。
ゆっくりゆっくりやるんだからさええ?いやいやいやあのさね〜俺たちは酒飲みはさね〜つまみなんか要らねえなんてぇ事を言うけどもさウ〜ンそうでもないねヘヘヘ。
何かちょっとさこう口に何かちょこっとこう何かほ放り込みたいねええ?ちょいとさそのあの〜茶箪笥の上開けてごらんよ?ええ?何か無い?えっ?何も無い?何か。
醤油?醤油は駄目だよおい。
なんか醤油なめながら飲むってぇのは無えやなええ?何かさぁ…。
あっ盛さんいいのがあった。
ええ?あのさちょっとそのあの〜お勝手のその上げ蓋上げてさそれで糠味噌の樽が入ってんだろう?うんそれちょいと蓋取ってよこうあの〜かき回してみてくれよ。
何かこう下のほうに何か何か無い?下のほうに。
ええ?あ〜キュウリ?お〜キュウリの古漬け?アハハハいいねキュウリの古漬けは。
えっ?うんナスもある?おっ上等上等。
ええ?それからショウガあるだろ?ショウガうんたくさん放り込んであるんだよ。
うん。
じゃあその小桶でさちょいと洗ってさええ?悪いんだけどもさそれをあの〜うんかくやに切ってもらおうじゃねえか香こをよ。
ええ?悪いね悪いね。
え〜盛さんにそんな事をさせちゃって本当に悪いね。
いや嬶が居りゃ嬶に全部やらすんだけどもさ嬶使いに行っちゃって帰ってこねえんだからさウ〜ッ頼むよね?やってくれ。
うんうん。
あっそれからあの〜おお銚子お銚子お銚子。
えっ?何が?えっ?まだ入れてないの?何だよ入れてねえってお前入れ…。
あ〜いい分かった分かったいい。
じゃあなんだこのお前のやつこれもらっちゃうこれ。
な?うんそれでうんそっちはやっときなよね?うん。
本当だよエッヘヘヘッヘヘヘヘ〜ッ。
うんうんハハハ。
これでまた入れといて入れといてええ?ヘヘッエ〜ッヘヘヘ。
盛さんよええ?本当だよねア〜ッ今日は本当にいいや。
楽しいやな?ハハハフフフフ〜ンうん」。
「ね〜盛さんええ?これだけ何かこう陽気になったんだから何か一つさぁこの辺でもっておつな唄かなんか出ねえかい?ええっ?何が?『唄歌えない』?なんだよ〜唄歌えないってぇのはないだろう。
何かやってごらんよ。
えっ?何が?本当に?何も歌えないの?こりゃ驚いたねええ?何も歌えないってぇのはないだろうよ。
ええ?じゃあなにか?うんお前は飲むだけか?なんだよ〜気が利かねえな〜。
何だっていいんだよええ?そらぁお前民謡だってお前都々逸だって小唄だって何だってう歌ってごらんよお前よ。
ええ?小唄だってさええ?なかなかいいのがあるよ。
ね〜」。
・「粋な烏は夜明けにゃ鳴かぬエッチョイトネ」・「野暮な烏はめちゃに鳴くエッチョイトチョイト」・「飛んできたエッチントンシャン」「アハハハハハハ。
あっあっ何だよおい何だよおい他人が歌ってんだからお前『ヨ〜ヨ〜』とか手の一つぐらい叩いたらどうなんだお前は。
どうしてお前そこでもってそんななってお前そうして他人睨みつけてんの?何だよかわいくないねお前は。
だからさ何か歌えって何だって民謡だって何だってあんだろうよ。
ええ?全くまあ〜不器用な男だね全く」。
・「遊びに行くなら金つか…ちょっと…」「何なんだよ?何なの?どうしてそこでもってそんなになって他人のこと…。
おっチョッチョッチョイって…おっウッウッ。
薬缶薬缶薬缶薬缶。
薬缶がゴトゴトゴトゴト言ってるんだおお燗…。
出せ出せ出せその徳利徳利を出せ徳利を。
えっ?何が?熱い?そらぁ熱いだろ熱いだろ。
ば…全くまあ〜。
おい。
何してんだよ盛さんよ〜ええ?お前はお燗番だろ〜?ちゃんとしてくんなきゃ駄目だよ。
本当こんなになってお前…。
熱っアチャチャチャッ。
アチャ〜ッおいおいおい何だよこれ。
ちょっとお前布巾布巾布巾を布巾を貸しなってんだ。
ア〜ア〜アッこんなにしちゃってお前どうすんだよお前。
アチアチアチッオ〜オッオ〜ッええ?ア〜ッこんなにお前湯気が立っちゃってんだお前ええ?本当に駄目だよお前ちゃ…。
あっアチアチアチッアチアチッア〜ッアチアチアチッアチアチッアチャチャッアチャッ。
フウ〜ッフウ〜ッフウ〜ッフッフッフッ」。
「ウウッウ〜ンウ〜ンウ〜ンカ〜ハッウッ。
何だこらぁええ?熱燗なんてもんじゃないよおい冗談じゃないよお前。
こんなにあれしちゃってお前どうすんだよお前。
何がったってお前まだよこれ酒がいいからさね?これ飲めるんだけどお前こんなに熱燗にしちゃってお前本当…。
ええ?ええ?」。
「ウ〜ンウ〜ンカ〜ハッオホッおいおい冗談じゃない。
駄目だよこんなあれしちゃ。
だ…。
あとあとをつけてあとをつけて。
それでもってお前ちゃんとやってくんなきゃ駄目だよ。
何?えっ?何?何が?うんそれが?おつもり?何?これさ最後の酒かい?おい。
冗談じゃないよお前よぅ何がったってそうじゃねえか。
全くふざけやがって。
せっかくお前よぅ大阪からわざわざ重たい思いして持ってきてくれたんだよ.それが何だよええ?これがこれが最後の酒ったって…。
全くふざけやがって冗談じゃ…。
あっいいいい。
分かった分かった。
俺こうこうなっら俺はねこれね俺意地だって飲むからね俺は。
ええ?冗談じゃないよお前何言って…。
ア〜アッウ〜ウッ」。
「ウ〜ンウ〜ンアハッ。
あのねええ?盛さんさ言うけどもねいいかい?俺はねこの酒をもらった時にまずお前と一緒に飲もうと思ったんだよ。
そうでしょ?それをありがたいと思わなきゃしょうがねえじゃねえかよええ?何言ってんだよ。
それをこんなグラグラグラグラして…。
お前なにかい?おいお燗ひとつも満足にできねえのか?何言ってんだ全く。
だからねお前なんざ世間でもってね『ぐず盛だ何だ』って言われるんだ全く。
ばか野郎」。
「何ぬかしやがんだチクショウメええ?おうふざけた事言ってんなよいいか?お前が一緒に酒を飲むってぇからだから俺はお燗番したんじゃねえか。
それを手前だけ飲んでやがって。
ええ?こっちはなぬ糠味噌まで出してるんだよ。
それを一人でガブガブガブガブ飲みやがってチクショウメ本当に。
俺だって飲みてえじゃねえかよぅ。
チクショウ俺はもうなお前とはね二度となつきあわねえぞ。
二度と友達なんと思わねえでくれ。
表で会ったってな口もきくな挨拶もするな。
このばか野郎〜っ」。
「ハア〜ッ何なんだよあいつは」。
「ちょいと熊さんええ?何がったってさ今なんだよ盛さんが真っ青な顔してさ何かもう怒鳴りながら帰ったけどもお前さんまた喧嘩かなんかしたんじゃないのかい?」。
「えっ?あっア〜ッハハハハハハハ心配いらねえよ〜。
あいつは酒癖が悪いんだ」。
(拍手)2015/05/09(土) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
日本の話芸 落語「一人酒盛」[解][字][再]

落語「一人酒盛」▽柳家小さん▽第668回東京落語会

詳細情報
番組内容
落語「一人酒盛」▽柳家小さん▽第668回東京落語会
出演者
【出演】柳家小さん

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:31884(0x7C8C)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: