心の声
(シロエ)僕たちがススキノで救出したセララはマリエールのギルド三日月同盟に所属している。
ギルドとは複数のプレーヤーが所属するチームの事である。
臨時のチームであるパーティーとは異なりギルドにはさまざまな特典がある。
ゲーム内の銀行にある共同の貸金庫や専用の通話機能などが使用でき何より重宝なのがここギルド会館に置かれたギルドホール。
所有または借り受ける事のできるホールはいくつかのランクに分かれておりギルドの規模に見合ったサイズのホールを使うのが普通である。
三日月同盟はここに7つの部屋を所有するいわゆるBランク。
格付けすればまさにそういう規模のギルドであった…。
(オープニングテーマ)
(にゃん太)コマンドを使わず直接料理をするのに手間はかかるけどかける価値はあるにゃ。
(ギーロフ)この匂い…この程よい焦げ目…懐かしい!これが料理ってもんだよォ…。
それじゃ塩っ気が多くなりますにゃ。
あ〜やっぱりダメだぁ〜。
難しい料理にはそれなりの調理スキルが必要になるにゃ。
それに同じ食材で同じレベルの料理人でも作る人によって味は変わる。
それも元の世界の料理と一緒にゃ。
(飛燕)はりきってんなセララ。
(明日架)今日はセララさんのためのパーティーなんだけど…。
(直継)いいかぁ少年。
大切なのはレベルじゃなくてレベルの先にあるものだ。
(小竜)レベルの先…奥義ですか?うむ。
それはおぱんつだっ!おぱ…。
(ヘンリエッタ)何の話や?いや〜別におぱ…。
おパンダのモンスターと戦った時の話を…。
へぇ…?
(ヘンリエッタ)マリエ。
ほ〜い。
口止め?当分この食事の事は外部にもらさない方が。
何で?画期的な事やん?画期的すぎます。
急に広まると余計な波風が起きかねないとシロエ様も…。
ありがとうございました今度の事。
あいえ…。
みんな感謝してるっス。
カンパイしましょ〜カンパイ。
あ…。
んも〜幸せですわ!アシュリンに加えてアカツキちゃんまで!
(アカツキ)な…何をするつもりだ!?アシュリン。
(アシュリン)は〜い!本日は3種類のサマードレスを用意しました!わ…私は主君の忍びだ。
そんな浮ついた服など!シロエ様の許可はもらってます。
さぁ諦めて。
謀ったなぁ…主君謀ったなぁ!マリエさん…俺…。
明日は大掃除やね。
シロ坊も寝る?そんなに眠くは…。
ほなお茶でもいれよか。
今回はホンマに世話になった。
おおきに。
もういいですって。
何も大した事はしてないし。
あれが大した事ないんやったら何が大した事やねんね。
…いない間こっちはどうでした?こっち?アキバか…。
う〜ん…。
いっときよりはマシになったと思う。
PKは随分減ったし治安もそこそこな…。
でもな何がどうとは言えへんのやけど雰囲気は悪いんよ。
何ちゅうか…格付けが済んでもうたっていうか…。
格付け?
(マリエール)うちらは30名足らずの中小ギルドやろ?90レベル4名で50レベル以下が半数や。
せやけど最大手はんは…例えばD.D.D.とか知っとるやろ?クラスティんとこの。
「神託の天塔」を突破した戦闘系ギルドですね。
日本人プレーヤーじゃ攻略不可能と言われていたレギオンレイドの。
(マリエール)せや。
あんだけのレイド…100人規模の戦闘ができるんよ。
1,500人は超えとるっちゅうし90レベルもゴロゴロや。
格付けってギルドの?大手はんがな街の雰囲気やルールを作っとるちゅうところはあるんよ。
例えばマーケットの優先使用とか…。
そんな事が…。
(マリエール)狩り場かてそうや。
ギルドの力分けがはっきりしたら強いギルドの縄張りに弱いモンは近寄らんようになる。
おいしい狩り場は大手のギルドが独占していくというわけですね。
(マリエール)街の中では当然戦闘でけへんしかと言うて狩り場で角突き合わせるわけにもいかん。
…まそんで結果的にPKが減ったわけやから結構な事なんやろうけど。
でもそれは…何だか嫌です。
(マリエール)言いたい事は分かるわ。
狩り場だけやない。
いろんなとこに目に見えん縄張りができとるような…それが「格付け」いう事なんやとうちは思う。
誰が悪いわけでもあらへん。
大手はんには大手はんの苦労があるやろうしこの世界で有利に立ち回る戦略を否定する理屈も法律もないわけやから。
だけど…格好のいい事じゃない。
好みの問題でしかないのかもしれませんけど。
…せやな。
数日前の事やけど…。
しかし大手のギルドに対抗するといったって…。
(ウッドストック)だからその方策を考えようというのだ。
例えば共同で狩り場を押さえるとかだな…。
(マリエールの語り)
つきあいのある小さなギルド同士で連絡会議を作ろうっちゅう話もあったんや。
せやけど小さいとこ同士いうてもさまざまやん?細かい意見の食い違いやわがままで結局もめて…
(茜屋)まあ待て。
もう少し腹を割って話を続けてみては…。
時間のムダだっつうの。
お疲れした〜。
…すまねぇな。
力になりたかったんだが。
やはりムリがあったか…。
それにな「黒剣騎士団」と「シルバーソード」が91を目指しとる。
91?今までのレベルの上限は90やったけど拡張パックの…。
ええ。
「ノウアスフィアの開墾」が導入されればレベルの上限は100になる…でしたね。
大災害以後この世界のプレーヤーが増える事はなかったし…。
そうか…人数の獲得競争にも限りがあるから…。
もともと黒剣騎士団はエリート志向強うてな。
ギルマスのアイザックが誇り高いいうか排他的いうか制限設けてレベル85以下は入会させんのよ。
せやからD.D.Dみたいに小さいギルドをいくつも飲み込んで勢力広げるみたいなマネはできんのやろ?量より質で対抗しよう…というわけですか?でも…。
85レベルのモンスターを狩るとか最低でもせなムリやね。
ゲームだった時とは違う…。
それって相当危ない橋じゃ…。
(マリエール)真正直にレベル上げ狙えばそや。
…え?「EXPポット」を使うんや。
EXPポットって…それってズルしてレベルを上げようって事じゃないですか。
心の声EXPポット…それは飲めば攻撃力や自己回復力などが僅かに増大し戦闘から得られる経験値が2倍近く上昇するというアイテムである。
エルダー・テイルの新規プレーヤーが早くレベルを上げてゲームを楽しめるようにするための救済アイテムとして一日1本レベル30以下のプレーヤーに無償で支給されていたのだが…。
ハーメルンちゅうギルドがな初心者救済を謳って大災害のあとぎょうさん初心者を集めたん。
そこがEXPポットを売りさばいとるんよ。
レベルを上げたがっとる大手のギルドにな。
心の声少しずつ歪み始めている。
この街がこの世界が…。
誰が悪いのか?いやきっと多かれ少なかれみんなが悪い。
何もしない僕も含めて…。
そうだ…ススキノに行ったのだって歪んでいくこの世界への苛立ちをただぶつけただけ。
(カナミ)また考えてるの?考えるのもいいけど。
…シロ君優秀なんだからびびっと片づけちゃえば?心の声だけど何ができる?ギルドにも所属してない僕が…。
ギルドにも所属してない…か。
まるで…逃げるための言い訳だ。
(五十鈴)眠れないの?
(ミノリ)…うん。
私も疲れすぎちゃって。
昨日ね肩を貸してくれたよ弟くん。
トウヤが?いい子だよね優しくて明るくて頑張り屋で。
(ミノリ)お調子者なだけ。
(五十鈴)ほんと仲良さそうな感じだしこの世界がゲームだった時も一緒にパーティー組んでやってたんでしょ?うん…トウヤがね。
トウヤがやりたがったから…。
心の声昔客人として招かれたギルドではなまじ古株のプレーヤーだったから便利に使われた。
それが嫌だっかたら?…いや違う。
頼られるていうのは決して苦痛なだけでもなかった…。
(プレーヤーA)ギルマスもうちょっとしっかりしてほしいよな。
(プレーヤーB)もうダメだよなうちのギルド。
心の声結局は人の集まり…キレイごとだけの関係で済まなくなるのが嫌だった?…違う。
そんな事だって分かりきっていたはずだ。
…ギルド。
ギルドか…。
(にゃん太)シロエちはいまだにギルドは嫌いですかにゃ?班長…。
にゃ〜。
正直今はよく分からない。
ギルドを嫌っていた理由を考えれば考えるほど自分の傲慢さや幼さが見えてきて…。
ギルドというシステムに腐敗しやすい側面があるのは確かにゃ。
シロエちがそういうものから距離を置こうとした気持ちもよく分かるにゃ。
でも腐らないものがあったら逆にそれは信用ならないにゃ。
生まれいでたものは腐りもすれば病に苦しみもする。
老いて衰えいずれ死を迎える。
それを苦しいからと否定するのは誕生を否定するのと同じ事なのにゃ。
シロエちは分かってるはずにゃ。
例えばあそこは…ティーパーティーは特別に居心地が良かったけどそれは居心地を良くしようとみんなが思ってたから良かったのにすぎないのにゃ。
誰もが何もせずにただ得られる宝は所詮宝ではないのにゃ。
心の声ああ…確かにそうだ。
ティーパーティーも三日月同盟も誰かがきっと見えない努力を…。
班長僕はどうすればいいのかな。
一番すごい事をするといいにゃ。
…すごい?シロエちは遠慮をしすぎにゃ。
回想何かいろいろ義理立てしないでいいと思うぞ。
え?遠慮しないでいいってこった。
…僕は待たせてたのか。
そうにゃ。
2人とも待ってくれてたのか。
そうにゃ。
他の所にも行かないで僕のそばにいてくれてたんだ。
そうにゃ。
(念話チャイムの音)心の声そうか…念話。
(念話)あの…こんばんは。
分かる?シロエだけど…。
ミノリだよね?
(念話・ミノリ)…はい。
あのねミノリ。
よく聞いて。
YESなら小さく咳払いを1回NOなら2回。
何か伝えたい事があるなら3回。
…いいかな?心の声知ってる…シロエさん今の私たちの状況を…。
(念話)分かったら1回咳を。
(咳)こんっ…。
(念話)2人ともハーメルンにいるんだよね?
(咳)こんっ…。
(念話)ハーメルンにEXPポットを納めている?
(咳)こんっ…。
(念話)大丈夫?…大丈夫?
(咳)こんっ…。
(念話)ほんとに?
(咳)こんっ…!こんっこんっ。
(念話)言いたい事があるの?言いたい事があるなら3回って言ったもんね。
…分かった。
それを聞くためにも急ぐね。
今はミノリの「大丈夫」を信じる。
だからミノリもこっちを信じて。
ちゃんと救援に向かうから。
(念話)…いいね?
(ミノリの泣き声)おうっシロ!主君心配させるな。
出かける時はひと言言え。
そういう事!なん…。
心の声そう…2人はいつも待っていてくれたんだ。
…僕の言葉を。
へ?今回は前回と逆に力を借りたい事ができました。
力を?何でも言って下さいよシロエさん!ええそうですわ。
シロエ様は三日月同盟の恩人ですから。
それで?知り合いの双子が質の悪いギルドに拘留というか…所属させられています。
その2人を助けたいと思います。
なるほど。
ギルドから解約させればいいんですよね。
それなら僕らが陽動しているうちに…。
あの。
そのギルドというのは…。
そのギルドは新人プレーヤーを集めてEXPポットを巻き上げているそうです。
ハーメルン…。
彼らには退場してもらおうと考えています。
ちょ…ちょっと待って下さい。
それって潰すって意味ですか?いいえ。
文字どおりの意味です。
アキバの街から退場してもらいます。
シロ坊。
…シロ坊の気持ちは分かる。
せやけどうちらは…。
悪いですが残りも言わせて下さい。
まだ半分でしかありません。
ハーメルンなんて最初からもののついでです。
はっきり言って僕は今のアキバの街の空気が好きじゃないみたいです。
せこくて格好悪くてみっともない。
だから…アキバの街の掃除をします。
アキバは僕らのホームタウンです。
日本サーバー最大の街です。
それが格好悪くて雰囲気が悪くてギスギスして…何だかみんなが下を向いて歩いてるって…それじゃあ僕ら全員が格好悪くなるために生まれてきたみたいじゃないですか。
僕らは3万人もいます。
けれど3万人しかいないんです。
みんな舐めてませんかね。
異世界を甘く見すぎています。
必死さが足りないんです。
うちは…。
力を貸して下さい。
…シロ坊。
ギルマス。
え?話だけ聞いちゃダメかな?シロエさんの言うような雰囲気俺もずっと感じてた。
小竜…。
手法は?手法によります。
…お聞かせ下さい。
私たちが協力できる目処が立つ事なのかどうか。
…資金が必要です。
とりあえず金貨500万枚。
5…500…。
お金…!?無茶です!ギルドの口座で6万枚メンバー全員の資産合わせても全然…。
そんな大金何に使うん?お金なんてどうという事もありません。
ほんの入り口です。
本当の難関はその先にあります。
それはみんなの善意と希望。
僕はこの街を好きな人は嫌いな人より多いと信じています。
この街をどうにかしたいと思う人たちが多ければ多いほどきっと僕たちは勝てます。
だからもう一度言います。
力を貸して下さい。
僕と僕のギルドに…。
…シロ坊今ギルド言うた?僕のギルドって…。
はい。
作ったんか。
はい。
誘ってくれてたのにすみません。
そんなん全然謝る事やない…。
そか。
シロ坊…おめでとうな?作れたんやね。
…おうち作れたんやね。
(小竜)シロエさん名前は?え?ギルドネームは?ああそうだね名前は…。
記録の地平線ログ・ホライズン…。
(エンディングテーマ)2015/05/09(土) 01:30〜01:55
NHKEテレ1大阪
アニメ ログ・ホライズン(6)「決意」[字][デ]
アキバの街では大規模ギルドが幅を利かせ、初心者の搾取も起きていた。この状況にやりきれなさといらだちを感じていたシロエは、「アキバの街の掃除をする」と宣言する。
詳細情報
番組内容
アキバへと帰り着いたシロエに、マリエールは街の様子を告げる。当初の混乱は収束しつつあるものの、アキバの街では規模の大きなギルドが幅を利かせ、タチの悪いギルドは、初心者を言葉巧みに誘っては、搾取を続けていた。そんな雰囲気にやりきれなさといらだちを感じていたシロエは、直継、アカツキ、にゃん太に、ある決心を打ち明ける。そして、マリエールたちに「アキバの街の掃除をする」と宣言するのだった。
出演者
【声】寺島拓篤,前野智昭,加藤英美里,中田譲治,山下大輝,田村奈央,松井恵理子,原由実,高垣彩陽,逢坂良太,梶川翔平,白熊寛嗣,チョー,佐藤奏美,高橋未奈美,井上麻里奈,村田太志,後藤ヒロキ
原作・脚本
【原作】橙乃ままれ,【原案】ハラカズヒロ,【脚本】大西信介
監督・演出
【監督】石平信司
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
アニメ/特撮 – その他
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