東京から西へ１，０００キロ。
その一本の木と出会うには険しい山道を１０キロ以上分け入らなければならないという。
樹齢７，０００年ともいわれる縄文杉。
はるか太古からここに根を張り時を刻む神秘の木。
春全国から多くの人がこの森を目指しただ黙って木と向き合う。
人々は何を求めてこの巨木の前に集まるのだろう。
今回カメラを据えるのは縄文杉の目の前にあるデッキ。
木に一番近いここを誰もが目指してやって来る。
早速人の姿。
じっと木の前から動かない若い女性。
（取材者）１人旅？はい。
もやもやしたものを抱え東京から来たという。
志望は教師。
でも被災地である地元宮城に戻って子どもたちと向き合う自信が持てない。
だからこの木に会いに来た。
お昼になるとデッキはいつの間にか人で埋め尽くされた。
巨大な木を写真に収めようとみんな必死。
さすがは世界遺産。
ピークが過ぎた午後２時。
身を乗り出しじっと木を見つめている。
東京の金融機関に勤務しふだんは世界中を忙しく飛び回る日々だという。
なぜかこの木に会いたくなり昨日突然航空券を予約した。
少しだけ何も考えない時間。
じゃあ。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
気を付けて帰って下さい。
僅か２０分木の前で過ごし明日はまたビジネスマンの顔に戻る。
人けのなくなった夕方。
大きな荷物を持った２人組がやって来た。
貨物船の船員のお父さんと高校生の息子さん。
それと…。
今回お父さんが長い休みを取って２人の旅を企画したらしい。
息子さんは来年高校を卒業。
将来の進路に迷う彼にゆっくり考える時間を与えてやりたかったという。
あっすいません。
同じ一本の木と向き合ってそれぞれどんな事を思うんだろう。
ひと言でもいいんですけど感想は？お二人ともありがとうございました。
ありがとうございました。
頑張って下さい。
旅が終わる頃には息子さんも自分の足で歩きだすのかな。
飲みますか？撮影２日目。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
まだ薄暗いうちから木の前には多くの人が集まる。
人々の前で巨木は刻々とその表情を変えていく。
朝９時。
なぜかサッカーのユニフォームを着て木を見つめる男性。
手元には小さな赤ちゃんの写真が置かれていた。
亡くなってまだ１か月余り。
一度も保育器から出る事のなかった我が子のために何かしたいと友人と連れ立ってやって来た。
本当は音楽も教えてやりたかったし好きなサッカーも一緒にしたかった。
全てかなわないと思っていた。
だけど…。
木の写真撮る？やった〜！お〜！すげえ…。
よっしゃ！ＯＫ。
満足？満足です。
・「はりつめた弓の」撮影３日目。
朝早く登ってきた若い男性。
ようやく到着したのに感激する様子はない。
就職してまだ２年目。
学生の頃から悩みがあるといつもここに来るという。
やりがいを求めて目指した養護教諭だけどこの１年は壁にぶつかってばかりだった。
「生徒と心を通わせるにはどうすればいいのか」。
木に問いかけながらシャッターを切る。
木は何も語ってはくれない。
ありがとうございました。
お元気で！ありがとうございました。
夕方６時。
この日最後に登ってきたのは少し年配の男性だった。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
一緒に働く同僚がパイロットにふさわしいか審査する仕事。
いくつもの人生を左右する決断を下してきた。
自問自答を繰り返しいつかこの木の前に立ちたいと思ってきた。
私もう行きますので。
誰もが巨大な木の向こうに見ているのは…自分自身の心の中なのかもしれない。
バイバ〜イ！2015/05/08(金) 22:55〜23:20
ＮＨＫ総合１・神戸
ドキュメント７２時間「屋久島・巨木に集う人びと」[字]
世界遺産・屋久島の森にそびえる巨木・縄文杉の３日間に密着。人生の節目を前に、樹齢数千年・高さ３０メートルの杉に一目会いたいと、全国から訪れる沢山の人々の物語。
詳細情報
番組内容
世界遺産・屋久島の森にそびえ立つ、樹齢数千年の巨木。東京から南へ１０００キロ、さらに山道を半日登らないと出会えない“縄文杉”を目指して、いま全国からたくさんの人が訪れている。人生に迷うたび訪れるという若者。大人になりかけの息子と一緒に旅をする父親…。高さ３０メートルの巨木は、時に霧雨にけむり、時に朝日を浴びて赤く輝き、刻々と表情を変える。あおぎみるような縄文杉を前に、人々は何を思うのか？
出演者
【語り】平岩紙
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー／教養 – 歴史・紀行
情報／ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
サンプリングレート : 48kHz
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