独露首脳会談:ウクライナ紛争、停戦完全履行へ協力で一致
毎日新聞 2015年05月10日 22時21分(最終更新 05月11日 01時25分)
【モスクワ真野森作、ベルリン中西啓介】ドイツのメルケル首相は10日、ロシアの対独戦勝70周年に合わせてモスクワを訪問、プーチン露大統領と会談し、ウクライナ東部紛争での停戦合意の完全履行に向け協力することで一致した。インタファクス通信が伝えた。ウクライナ問題を巡る対立を背景に、メルケル氏は日米欧の主要国首脳と足並みをそろえ、9日の戦勝記念式典への出席を見送っていた。日付をずらすことで、戦没者追悼と対話路線重視の姿勢を示した。
両首脳はクレムリン(露大統領府)近くで第二次世界大戦の戦死者を悼む「無名戦士の墓」に献花した後、会談に入った。メルケル氏は冒頭、「私たちは過去の苦い経験から、外交的解決を追求すべきだと学んだ」と述べ、ウクライナ問題の平和的解決を改めて主張。プーチン氏は共同会見で「(ウクライナ東部の親露派指導部に)できる限りの影響力を行使していく」と明言し、ウクライナ政府には親露派との直接対話や経済封鎖の解除を求めた。
メルケル氏は会見で、プーチン政権によるウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入について「国際法を侵して実行された」と改めて指摘、同国東部への軍事介入と併せて「欧州の安全への脅威と見ている」とくぎを刺した。
ドイツにとって終戦70年関連外交の意味は大きく、メルケル氏は訪露前から第二次大戦でナチス政権からドイツを解放した旧ソ連の戦死者に対し、国を代表して追悼の念を示す必要性を示してきた。