3課外授業 ようこそ先輩〜センセイの頭の中〜「開発者・AR三兄弟 川田十夢」 2015.05.08


手のひらでアイドルが踊ってる!間取りの図面から人が飛び出した!これはAR拡張現実と呼ばれるIT技術。
ウェブカメラを通して肉眼では見えない情報を画面上に浮かび上がらせる事ができるのです。
今回の先輩はユニークなARを作って話題を呼んでいる川田十夢さん。
近い未来ドライブをする時に街の情報を一目で分かるようにするという開発プロジェクトにも参加。
十夢さんは大きな可能性を秘めたこの技術の最前線を走るクリエーターなんです。
授業まで2週間と迫ったこの日。
十夢さんの仕事場で初めての打ち合わせです。
約束の時間に行くとまだ会議中。
十夢さんの最新の技術と独創的なアイデアは各界から注目の的なんです。
(スタッフ)初めまして。
(聞き手)ちなみに「課外授業ようこそ先輩」ってご覧になった事…?本当ですか?はい。
これ僕ずっと「出たい出たい」言ってたんですよ。
どうしたら出れんのかなって言ってたんですけど。
子どもたちが中学とか高校とか社会に出るにあたってどんな物差しを持って社会に出てった方がいいのかなというのを結構真剣に考えたんですよ。
でも明らかに…どうしたって好きな事とか嫌いな事ってあるはずなのにそういうのとかけ離れてまず何かドンと与えられちゃってるから熱中できる入り口を自分で持てた方がいいなと思うんですよ。
授業まであと9日。
それでも普通になっちゃうかな。
十夢さん仕事仲間も巻き込んで授業内容を考えます。
12時限でそういう「ARとは」とかARとはっていうか僕がやってる事ですよね。
ふだんやってる事を知ってもらって。
今回のテーマみたいな感じで子どもたちにこの2日間でやる事を発表すると思うんですね。
テーマとしては。
伝えようがやっぱないんですよね。
何ですかねテーマはね。
テーマが決まらないまま授業6日前になりました。
十夢さん自分の仕事を見つめ直すところから始めます。
ARの特徴の一つは動かないものを動かす事。
余白を見つける事で。
この話よくないですか?超いいっす。
超いいよね。
(笑い声)超いいねこれね。
何で今までこういう説明してこなかったんだろう。
今初めてする説明だけど。
余白を見つけて想像する。
何だか難しそうだけどテーマが決まりました。
そして迎えた授業初日。
十夢さんの母校は…白衣にヘルメット。
このスタイルが人前で仕事をする時の十夢さんの正装なんです。
おはようございます。
(一同)おはようございます。
僕の名前は川田十夢っていいます。
よろしくね。
ARって知ってる人手挙げて。
このARっていうのをこれからみんなに…。
僕はねそれをふだんやってるんですよ。
ARっていうのをやってて僕がやってるのが何なのかっていうのを見てもらいたいなと思います。
まずは十夢さんの作品を見てもらいます。
まずね1個目。
これは「眼力王」っていうやつです。
(電子音)
(笑い声)これは人の目からビームが出るっていうね。
でこれは顔だったら何でもいいんですよ。
顔だったら何でもいいからみんなからも出るんじゃないかなと思うけどね。
(男子)誰?刈屋だ。
(笑い声)刈屋!今度はねこういうのやってみます。
そしていよいよテーマに関わるARを披露。
これが…。
(一同)えっ!?
(モニターから汽笛)
(男子)動いた!
(女子)すごい。
この本の中から汽車が飛び出してきましたね。
ARが分からないと言っていた後輩たちも興味津々。
じゃあいきますよいきますよ。
十夢さん次は自分にとって大切な場所に後輩たちを連れていきます。
向かった先はこの小学校のシンボル蒸気機関車です。
これがね僕の時代はもっと古くてボロボロで全然人気なくて。
誰も近寄らなくて。
今でももう乗れないよね。
実はこれ教室で見た汽車が飛び出すARの原点になったもの。
1人でここに来て走ってる気分になって想像しながら考えてましたね。
幼い日の十夢さん。
夢と現実の区別がつかず物語の登場人物になりきって一人遊んでいるような子でした。
周りの友達になじめなかった十夢さんは置きっ放しで人の寄りつかない汽車を眺めては空想の旅に出ていたのです。
何か僕はあの汽車が好きでね。
何かずっと汽車を見てたりしてあんまり人前で話したりとか苦手でこうやってみんなでさ手挙げてとかいっても絶対手挙げられないし窓から見えるあの汽車を見ていろんな想像してたのね。
何かそういう想像の入れ物っていうのがあると思うんですよ。
僕で言う汽車。
想像を巡らせるための。
ここではね…。
この僕で言うああいう汽車みたいな事を今この時間から余白っていいます。
余白ね。
余白とは想像を広げる事ができる入れ物の事。
そしてこのARは止まっている汽車が動き出し旅に出るという十夢さんの想像を表現したもの。
スペースには限界があるでしょ?でも汽車に乗せる想像っていうのはさ限界ないじゃん。
どこでも行けるじゃん。
…っていうのがね多分空白と余白の違いかな。
その僕で言うと汽車だったけどみんなで言うと何なのかはちょっと分かんないけどこの学校の中だったらどこでもいいからこれをみんなに探してもらいたい。
今回の授業のテーマは自分だけの余白を探し無限の想像を広げる事なのです。
さあ余白探しの始まりです。
学校の中にどんな余白があるかな?見つけた余白は写真に収めます。
(笑い声)子どもたちなりに余白を見つけました。
十夢さんは子どもたちが余白からどんな想像を広げたのか一人一人聞いていく事にしました。
やって来たのは龍之介くん。
龍之介これ何ですか?消しゴム。
消しゴムに余白があった?消しゴムにどんな余白があった?あの…何かこの消しゴムで鉛筆の書いたやつを消せる。
ああ。
アハハハ消せるからね。
へえ〜。
難しいね余白ってね。
でも消すと余白が増えるからって事?アハハハ怒られてるみたいになってるよ。
あのこれから…例えばこれを見てどういう想像をするの?龍之介は。
うん。
11歳だもんな。
十夢さんが聞き出そうとしても子どもたちからはなかなか言葉が出てきません。
なるほどね。
(ため息)こんなにふだん悩まないんだけどな。
何なんだろうな。
大体イメージどおりいくんだけどな。
大人の世界だと。
悩んだ末作戦変更です。
作文って得意?みんな。
(男子)作文?苦手?
(一同)苦手。
文字じゃなくてもいいです。
この紙を使えばもう何でもいい。
数字でも絵でも。
でもあれだよこの自分が見つけた余白と関係ある事を書かなきゃ駄目だからね。
できそう?言葉じゃなくてもいいからね。
絵や文章で想像した事を1枚の紙にまとめる事。
これはふだん十夢さんが仕事をする時頭の中のイメージを人に伝える方法です。
正方形に収めてほしい訳。
アイコンを見るための…。
ウェブミーティングでも絵を見せながら説明します。
ふだん…頭の中で考えてるのはこういう事ですけど言葉言葉言葉ですけど絵にして共有するって事ですね。
見る人の視線がイメージできるからまず絵にするって事ですね。
子どもたちも十夢さんの方法で人に伝えられる形にしていきます。
原稿用紙にまとめた子から面談再開。
今度はどんな想像をしたか聞き出せるでしょうか。
凌くんがやって来ました。
じゃあ教えて下さい。
これ何か。
これケヤキの木です。
これはこれから何を想像しましたか?どこまで育つのか。
お〜!あ〜でもこれすごいじゃん。
何?これ。
エレベーターがあるじゃん。
これはじゃああれかこのその後か。
どんどん大きくなってって事?ちょっとこれ教えてくれよ。
どういう事か教えて。
結局400万年後ぐらいには標高が3,000万mぐらいになって。
お〜マジか。
育ったね。
でここからバンジージャンプをするっていう。
(笑い声)マジか。
はるか未来途方もなく大きくなったケヤキの木に登って頂上からバンジージャンプをするという想像。
階段0円でエレベーター100円でヘリコプター100万円なんだ。
こういう想像あんまりしてなかった?今まで。
うん。
お〜!してみたらできたんだこれ。
うん。
これはいいよ。
こういう…凌これは。
心さんの余白は…このキーボードの鍵盤が壊れてて音を出し過ぎて疲れた小人はその鍵盤を壊して世界旅行に行ってでもその小人は集団の行動をするからほかの小人たちも全員世界旅行に行ってきれいな音を出せるようになったらグランドピアノに入る。
(笑い声)そんな事になってたんだ。
これが壊れてる事から。
心は何?結構受けてる?クラスで。
うん引かれる時もあるけど…。
(笑い声)笑われる時もある。
あ〜そっか。
だんだんと大人になってってあれこれ周りと違うかもとか思ってこういう想像やめちゃうのが悲しいから持っといてほしいなと思うけどな。
うんありがとう。
面白かった。
フフフ。
みんな自分の想像を表現するきっかけつかめたみたい。
十夢さんとうまく話ができなかった龍之介くんは…。
消しゴムで身の回りの物を整理整頓したかったんですね。
そんなん超面白いじゃんね。
(笑い声)超いいじゃんね。
ちゃんと考えてるんですねやっぱね。
言えなかっただけでみんな想像は…。
豊かですね。
できてるんだなと。
そう。
そうなんですよね。
余白に想像が当てはまった時の…何かすげえ軽くなったんですよね僕何かそういうのを見つけた時に最初に。
それを人前で最初にしゃべった時に「お前面白いな」ってなったっていうか。
そのフワッとした感じを今まで誰にもしゃべってなかった事だけど発表してみた事で「あれお前そういう一面あるんだ」っていう事になったらいいなと思うんです。
最初に僕入ってきてみんなと会うの2日目なんですよ。
でも2日目なのにみんなの想像とか余白の話を聞いたらすげえ何かね超好きになったの。
それぞれが。
それぞれの思い入れとか思った事とか話聞いてたらそれぞれの事が僕は好きになりました。
でみんなにそれぞれに聞いたらあんまり余白の話も想像の話も人とあんまりした事ないっていう事を言ってて何かねそういうのを話したら何かね自分の事を好きになってくれる人が増えるかもしれない。
で今日は自分はどんな余白を見つけてどんな想像をしたのか発表してもらいます。
みんなの前で。
いよいよ想像をARの形にします。
子どもたちに1人1台のタブレット端末を配付。
1日目に余白から想像し原稿用紙にまとめた事を30秒の動画として撮影します。
十夢さん龍之介くんに声をかけました。
消しゴムは普通はノートにあるものを消せるものだけど龍之介はいろんなものを整理整頓するみたいに消せたらいいなと思う訳だろ?物が無くなっていくと整理整頓できたってなるじゃん。
でき…。
ちょっとやってみようか。
まあ自分で考えな。
自分で考えてどう形にするかは自分で考えなきゃいけない。
龍之介くん消しゴムでどうやって物を整理整頓するんだろう。
どんな想像をしたかによって撮影の方法は人それぞれ。
よ〜いスタート。
子どもたち夢中になって想像を形にしていきます。
どのぐらいになっちゃうの?まあじゃあね…。
あっ面白いからね。
面白ければいいっすよ。
面白ければしょうがないですね。
「尺おさまんなかったけどいいっすか?」っていう。
「枠とか関係ないからもう」っていう。
いよいよ発表会。
いい感じだいい感じ。
はいじゃあいきますか。
茉奈さんの発表です。
茉奈さんの余白は校庭のもみじロード。
自分の余白にタブレットをかざし動画を再生。
どんな想像をしたのかARを使って発表します。
(茉奈)「『もみじロードができたわけ!』昔あるところに広い森がありました。
森には妖精や小人が住んでいました。
広い森は道がなかったので妖精たちは道を作ることにしました」。
妖精が道に沿ってもみじを植えたという想像。
もみじを紅葉させたら道が赤く浮かび上がりました。
うん。
(拍手)これはもみじロードがなぜできたのかと私は思ったので…すばらしいね。
(拍手)すばらしい。
成一郎くんの発表。
余白は金網の外に落ちていたピンポン玉です。
誰かがすごい力でピンポン玉を飛ばしたという想像をマンガにしました。
ARを使えばふだん人に話した事のない想像をみんなに伝え楽しんでもらう事ができるのです。
龍之介くんの発表。
待つのも緊張するね。
はい。
消しゴムで整理整頓するのをどう表現したのかな?なんと文字だけじゃなくいろんなものが消えていきます。
最後は友達が消えちゃいました。
(笑い声)はい龍之介の…。
(拍手)あのね龍之介が考えたのは消しゴムで何でも消すっていう。
表れてたよね。
消しゴムってだってさ文字だけを消すんじゃなくて…。
(男子)さっきコミヤが消えてた。
そうそうコミヤ消えてたね。
だから物が消えて人が消えたらいいなっていう龍之介の想像をこういうふうに形にしたんですよ。
すばらしい。
拍手。
(拍手)すばらしいすばらしい。
2日間の授業もいよいよ終わります。
みんなふだん遊んだり授業したりしてる中であいつはこんな事考えてんだとかそういうのを知らなかったと思うんだけどそういうのも自分の中に余白と想像を持ってたら気付くんですよそういうのが。
誰かの想像にみんな目を凝らしたりとかしてるしそういうものも楽しめるようになるんですよね。
自分の中に余白と想像があればね。
子どもの時ってさ子どもってだけでみんなさ話聞いてくれる訳。
お父さんとかお母さんとか友達とか。
で子どもじゃなくなってくるでしょ。
そうなってくるとそんなの持っててもしょうがないんじゃないかって思う訳。
でもそんな事はなくてそういう事で自分の人生が楽しくなる人もいるしあといろんな世の中の見え方が変わってきたりもするからこれから6年生になって中学生になって…。
そうやがて大人になりますが…。
フフッ。
はいそういうのを忘れずにねいい大人になって下さい。
ありがとうございました。
(拍手)気になってた子がみんなちゃんと形にしてくれたからよかったなと思いましたね。
よかった。
想像する事で何か楽しくなった。
想像っていうものはあの…いいものなんだなと思った。
空白みたいに限りがあるのじゃなくって余白は自分が考える限りに広いもの。
将来の夢はケーキ屋さんなんですけどその中でも余白とか思い出しながらいろいろな人を笑顔にさせたりしたいです。
はいじゃあ真ん中の人。
真ん中の人見るよ。
はいチーズ。
2015/05/08(金) 19:25〜19:55
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩〜センセイの頭の中〜「開発者・AR三兄弟 川田十夢」[解][字]

AR=拡張現実という、コンピューターで現実の風景に情報を重ね合わせる技術の開発で最前線を走る川田十夢さん。驚いた生徒たちだが、さて現実と虚構を越える想像力とは?

詳細情報
番組内容
AR=拡張現実というコンピューターで現実の風景に情報を重ね合わせる技術の開発で最前線を走る川田十夢さん。幼い頃から夢と現実の区別がつかず、いつも物語の人物になりきり独り遊んでいるような少年だった。今はARで幼い日の夢が実現した格好だ。母校の後輩たちもARの世界に遊ぶことに挑戦するが…。想像力に大事なのは“余白”だという川田さん。現実と虚構を越える表現の挑戦、その余白とは?
出演者
【出演】開発者・AR三兄弟…川田十夢,伊勢佳世

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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