上方落語の会 ▽「厩(うまや)火事」桂阿か枝、「親子酒」桂紅雀 2015.05.08


「上方落語の会」今日のゲストは西田ひかるさんです。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
今どんどんとお客様がお詰めかけてございまして…。
(西田)すごい大勢いらっしゃいますね。
結構ご夫婦でいらっしゃる方も多くてやっぱり夫婦で見るのもいいですねすてきですね。
前から落語は興味をお持ちやったんですか?実はですね息子が大好きな絵本がありまして「じごくのそうべえ」という絵本なんですけれども米朝師匠の作ったお話でして。
最初私落語っていうのを存じあげてなくってで読んでいったんですけれどもまあどこからどう読んでも大阪弁ででしてね本当にリズムが気持ちよくてこうコロコロ…リズムとテンポがあるお話で。
で落語って気付いてからまあ何となく落語家になりきった気分でいつも息子にも読んでました。
ちょっとできまんな?一節。
あいえいえいえ!「とざいとうざい。
かるわざしのそうべえ。
いっせいちだいのかるわざでござあい」みたいな。
「ベベンベンベン」とかっていうところがありますね。
立派なもの…立派です。
こういうふうにお母さんから子どもに伝わっていく訳でございますな。
そうですね。
…って事でお母さんとちょうど同じ世代の噺家若手です落語界では。
登場致します。
まずは桂阿か枝さんの「厩火事」です。

(拍手)え〜ありがとうございます。
代わり合いまして一席おつきあいをお願い致します。
私事で恐縮ですけれども実は私4年ほど前に生まれて初めて結婚というものを致しましてですね。
遅い結婚でございまして39歳で結婚したんでございます。
で相手の奥さんというのんが10歳下なんでございますね。
だから3929で結婚をしまして今4333という事で今も10歳離れたまんまなんでございますけれども。
10も離れてますとやっぱり今まで見てきたテレビ聴いてきた歌こういうのがもう全然違うんですね。
我々やったらこれぐらい知ってるやろうと思うもんでも奥さんの方は知らんかったりする。
そやから懐かしの歌番組なんか一緒に見ておりますとこっちが驚く事がありまして。
「え!自分寺尾聰知らんの?」てな事を言うてですね会話をする事がある。
奥さん寺尾聰知らんのでございますね。
「え!自分寺尾聰知らんの?宇野重吉の息子やで」って余計分かれへんかったんでございますけれども。
ですんでねまあ一緒になった最初の頃は「もうこんな事も知らんねんなあ」てな事を思いましてねほほ笑ましいなかわいいもんやなと思うて相手を見ておりました。
で一緒に住むようになって半年ぐらいたちますと相手に対する見方も変わってきましてね。
「あ何や意外とこの子しっかりしたとこあんねんな」てな事思うようになってこっちがちょっと感心をするてな事が出てくる。
で更に半年たって1年にもなりますとですね「は〜この人にはもう逆ろうたらあかんのやな」ちゅうのがよう分かるようになりまして。
今もうただ従うだけの穏やかな毎日を過ごしているんでございますが。
僅か1年の間に何であんなに階級が上がりはったんか不思議でしょうがないんでございますけども。
急にね上下関係というのは変わったりするもんでございます。
まあいろんな事でもめるもんでございます。
昔も今もこういうのは変わらんようでございまして。
「ちょっとおにいさん聞いて下さい!」。
「何やいな大きい声出して飛び込んできて。
どないしたんや?え?また夫婦喧嘩か?」。
「いいえもう喧嘩どころやおまへんの。
今日という今日ははっきり片をつけてしまいたいと思て」。
「穏やかやないなおい。
『はっきり片をつける』て一体どないしたん?」。
「まあ聞いとおくんなはれ。
わて毎日一生懸命に髪結いの仕事をしてもう手油まみれになって働いてまんねやで。
たまの休みに好きなもん作って食べたかて罰は当たらんのと違いますか?」。
「おおそらまあ好きなもん作って食べたらええがな」。
「そうでっしゃろ?今朝もな小芋を炊いてましたん。
ほなうちの人がわての炊いてる鍋後ろからのぞき込んで『お前また芋炊いてんのんか。
お前は休みのたんびに芋を炊くな。
お前は好きやさかいにええかしれんけどつきあわされるこっちの身にもなってみぃ。
胸が焼けてしゃあないわい。
ほんまに野菜物の好きなおなごやで。
この青物尼!』。
こんな事わてに言うてきよりまんの。
もうあんまり腹が立ったもんやさかいに『何やねんな!あんたなんか仕事もせんとブラブラブラブラして生臭いもんばっかり食べやがって。
この生臭野郎!』。
言うてやりました。
ほんなら『何やとこのオカメ!』。
『来んのんかいこのヒョットコ!』。
『やったろうやないかい!テンツクツ!』。
『来なはれピーヒャララ!』」。
「待て待て待て待ておい。
派手な夫婦喧嘩やなおい。
お神楽みたいな喧嘩をすんねやな。
いやいやお崎さんあんたの言うてる事は分からん事もないねやで。
あの男が仕事もせんとブラブラしててもやっていけるというのんもあんたが髪結いという仕事をしてるからや。
『髪結いの亭主』とは昔からうまい事言うたもんや。
しかしなあんな男と一緒になりたい言うたんはお崎さんあんたやで。
大体あらうちの居候やったんやあの男はな。
あんたがうちの嫁はんの髪を結いに来てあの男を一目見て気に入った。
『一緒になりたい』言うた時にわしどない言うたか覚えてるか?『あいつは仕事をする気になったらできる男やけれども怠け者の上に酒飲みときてるさかいに一緒になったかてろくな事はない。
やめとけ』とわしはっきり言うたやん。
それをおまはんがやで『けどなわてには髪結いという仕事があるさかいにあの人一人ぐらいは立派に養い通してご覧に入れます』言うて無理から一緒になってんねやがな。
それをもめたさかいいうてこんなもんうちに言いに来られてもこっちも困んねん。
いやあんたの言うてる事は間違うてないねやで。
どう考えてもあの酒飲みが悪い。
もうそれだけの事やねんけどもな。
は〜ませやなああんたがそこまで言うてんねやったらこれがひょっとしたらええ潮時かもしれへんな。
あ〜あんなやつと一緒におったってあんたにとってもろくな事ないわ。
もうわしも今回ばかりは止めようちゅう気にはならんな。
もうこれきっかけにあいつとの事はもうやめたらどないや?な。
あんな酒飲みとはな縁切ってしまえ!」。
「何だんねんおにいさん。
急に大きな声を出してからに。
『酒飲み酒飲み』ておにいさんのお金で飲んでる訳でもないのに。
大きなお世話です」。
「ちょっと待ちぃなおい。
話の流れがおかしいがな。
いやいやあんたが別れたいと言うさかい…」。
「別れる?あほな事言いなはんな!あの人と別れるぐらいやったら死んだ方がましです!」。
「お前ここ何しに来たんやほんならおい」。
「おにいさんはじれったい」。
「こっちがじれったいなおい。
「何がい?」。
「わてはあの人の本心が分からんと言うてまんの。
何やいうたらこのごろは『お前とはいつまで一緒におられるや分かったもんやないな』とかそうかと思たら『このごろどこそこの娘えらいべっぴんになってきたな。
いっぺん手ぇ出してみよかな』。
こんな事ばっかりわてに言うてきよりまんの。
今はわても若いし仕事もしてるからよろしいで。
けどこれがだんだんだんだん年取ってくるわおばあさんになってくるわ仕事がでけんようになってしまうわ。
そんな時分になってからあの人が若いおなごをこしらえて『悔しい!』と思て食いついてやろうと思ても歯が抜けて食いついてやれんわ」。
「お前何年先の心配してんのお前は。
それは疲れるでそんな事言うてたら。
いやいやあんたの言いたい事は分からん事もないけどもしかしなあ人間ちゅうのは案外裏腹なもんでふだんなんぼ体のええ事言うててもいざとなったらゴロッと態度の変わるようなやつもいてるしそうかと思たらあいつのようにふだんはぼろくそに言うてるか知らんけれども本心別かも分かれへんがな。
そうや。
こういう話があんねん。
ちょっとわしの話つきおうてくれるか?昔唐土にな…今の中国やな。
唐土に孔子という偉い学者がおったんや」。
「え〜?立派なもんでんなあ。
子どもの牛が学者になったんでっか?」。
「なるかいや!あほやなおい。
『子牛』やあれへんがな。
孔子って人の名前やお前。
知らんのんかいな?」。
「孔子?人の名前?アハハさようか。
ほんでその人うちの人となんぞつながりがおまんの?その人もひょっとしてお酒飲みやとか?」。
「あ〜いやいやせやない。
その人はな馬を飼うのがお好きやったんやな。
中でも全身真っ白の白馬というのを大層愛でておられた。
ある日の事この孔子さんが留守の時に厩が火事になったんや。
弟子一同一生懸命馬を助け出そう引っ張り出そうとするんやけれども名馬ほど火を怖がるちゅうてな。
また藁屑なんかぎょうさんあるさかいに燃え上がんのも早い。
あっという間に助ける事もできずに馬が焼け死んでしもうたんや」。
「ん〜まあ気の毒なこってんな。
白馬が黒馬になるやなんて」。
「お前ようそんな恐ろしい事言うなお前は。
さあその孔子さんが帰ってきてな『わしの留守の間に火事があったそうであるが弟子一同にけがはなかったか?』。
『はい。
弟子一同けがはしておりませんが大切なご愛馬を焼き殺してしまいました』。
『ん!弟子一同にけががなければそれでよし』。
あれだけ『大事にせえ』と言うていた馬の事にはこれっぽっちも触れへんかった。
『あ〜なんというええ先生や』というのんでお弟子さんが生涯お仕えをしたちゅうのやで」。
「へえ〜それええ話でんなあ」。
「そうやろ?そうかと思たらそれとは全く逆の話が日本にあんねん。
こら東京が江戸いうてた時分や。
麹町いう所になさるお侍さんがいてたんや」。
「えっ!馬の次は猿の話ですか?」。
「違うがな。
お前そんなしょうもない間違いばっかりするさかいあいつともめてんのと違うのか?お前は。
名前が分からんさかいにさるお侍や。
この人はな器骨董そういうのがお好きでな。
中でも青磁の皿というのを幾組も持ってはってこれを殊の外大事にしてた。
『この皿を損じた者には切腹を申しつける』言うてたんやな。
そうやいうてやでほんまに皿が割れるたんびにお前家来が腹切るてそんな事してられへんさかいにこの青磁の皿だけは奥方が大事に扱うてた。
ある日の事この皿を見に来たお客さんがお帰りになって青磁の皿の入った箱を持って奥方が階段から下りようとしたんやが階段が磨き込んでるところへさして足袋がさらや。
ツルッと滑った拍子にガタガタガタガタガタ…。
真っ逆さまへ下へ落ちた。
さあそれ聞いた殿さん飛んできよってな『どうした!?皿は大丈夫か?皿は割っておらぬか?皿はいかが致した?皿は割れておらぬか?皿は大丈夫か?皿は?皿は?皿皿皿皿皿』。
息も継がんと36遍皿の事聞きはった。
『お皿は体で受け止めて損じてはおりませぬ』。
『そうか!その皿は大事なものである。
以後は気を付けるように』。
奥方の体の事これっぽっちも聞けへんかった。
明くる日奥方がな『ちょっと国へ帰ってまいります』。
ポイッと帰った。
入れ違いに入ってきたんが仲人。
『恐れ入りますがご離縁を頂きたい』。
『ん?いかが致したというのじゃ?』。
『承りますれば先日奥方が階段からお滑りになった折お殿様はお皿の事ばかりをお尋ねになって奥方のお体の事をお尋ねにならなんだんやそうで。
どれだけ大事なお皿かは存じませぬがそのような不人情な方に娘は差し上げられんとおっしゃっておられます』言うて離縁された。
まあそういう噂はまたじきに広がるわ。
そうなったらついてくる家来はおらんで。
1人辞め2人去り3人離れて最後は一人でとうとう寂しいに死んでいったっちゅうねん」。
「ん!まあいい気味ですわ」。
「似たような話やと思うけれどもこれだけ違うちゅうのやな。
さあそこでやあの男が一体どっちの了見でいてるのかを試してみたらどないや?」。
「え?うちの人を試すてそれ一体どういう事です?」。
「わし今話したやろ?その話と同じ事をあいつにしてやったらどないやちゅうねん」。
「そんな事できますかいな!うちは借家でっせ。
火ぃつけたら怒られまんがな」。
(笑い)「誰が火事を起こせ言うたよ!違うがな。
あの男が何か大事にしてる物とか集めてる物はないのんか?」。
「それやったらなうちの人このごろ何がうれしいんかよう店行っては古い器かなんか買うてきてそれ見てもうニヤニヤニヤニヤ笑てまんの」。
「ちょうどええがな。
おい今から帰ってその茶碗洗い物するふりかなんかしてバ〜ンと派手に割ってしまえ」。
「そんな事したらわてがえらい目に遭うてしまいまんがな」。
「それでええねやがな。
そこでやで皿の茶碗の事を尋ねるかあんたの体を尋ねるか。
お前の知りたかったあいつの了見分かるがな。
うんおもろいがな。
早速やってこい」。
「『やってこい』ておにいさんあっさり言いまっけどもそこで茶碗の事聞かれたらわて別れなあきまへんねやろ?どっち聞くと思います?」。
「いや知らんがなそんな事。
分からんさかいに試せ」。
「『試せ試せ』…。
あっほんならおにいさん先にうち行っといてもらいまへんか?」。
「わしが先行ってどないすんねや?」。
「これからわてが帰ったら洗い物するふりをして茶碗を割るけれども必ず体の事を聞くように」。
「何にもならんなそいでは。
わしかて悪いようにしようと思てへんがな。
あいつの本心知りたいねやろ?思い切ってやってこい」。
「さよか?あの人の本心知りたいんでんもんな。
分かりました。
ほなら行てきます」。
「は〜あの人怒ってるやろな」。
「あんたただいまただいま!」。
「帰ったんかい!言いたいだけの事ベラベラぬかしてポイッと飛び出しやがって。
お前また兄貴んとこいてたんやろ。
お前なあうちのもめ事何でもそのまま兄貴にしゃべるな!かっこの悪い事ばっかりさらしやがってお前は。
そんでお前芋の鍋また火にかけっ放しやったぞ。
こんなもんお前煮詰まったら辛うて辛うて後食われへんやないかい。
わしがちゃんと火ぃ止めといたったわい。
今ええ味付けになっとるわい」。
(笑い)「飯食おうか」。
「へ?え?あんたごはん食べんとわての帰りを待っててくれてたんか?」。
「当たり前やないかい!お前いっつも仕事行ておれへんねん。
たまにはお前と一緒に飯が食いたいがな」。
「あんた…」。
(笑い)「見込みあるわ」。
「何やその見込みちゅうの」。
「ほなわてな先ちょっとあの…洗い物するわ」。
「お前変わってるなお前は。
今から飯食おういうのやぞ。
洗う物何にもあれへんがな」。
「けど洗い物せんとあの…火事があったんやで」。
「どこで?」。
「唐土で」。
「いやそんな遠いとこの火事はどうでもええがな。
早い事飯…」。
「ちょっとな洗い物だけ…」。
「こらこらこらどこ行くねや?『洗い物洗い物』てお前台所走り回て…そっちやないかい。
ええ?そんなとこに洗い物…。
お…お前何そこの戸棚を開けようとしてんのや?いやいやお前の戸棚あんねやろ?お前のは入ってへんがな。
開け…お前何触ってんのや?おい。
それわしの大事な茶碗やないかい。
それ触んな。
触るな言うてるやろ!わしの大事な茶碗やさかいに触るな言うてんねん!」。
「何やねんな。
せっかく唐土や唐土やと思てたのにじきに麹町の猿になりやがって」。
「何を訳の分からん事言うてんの。
お前一体それどないすんねや」。
「洗う」。
「いや洗わんでええねんそれ。
汚れてんのが値打ちやねん。
おいそんなん持ってうろうろするな。
あかんあかん。
割れたらどないすんねん。
大事な茶碗それは大事な茶碗…」。
「何やねんな茶碗の事ばっかり『大事や大事や』言いやがって。
あ〜!」。
「こらこらこら。
そんな事したら…そこ板腐ってあんやがな。
そんなとこでうろうろしたら…足踏み外したら…。
おいおいおい!あ〜大きい大きい音たてやがってほんま。
おいどないしてん!」。
「あんたお茶碗割ってしもた」。
「せやから言うてるやろ。
余計な事すないらん事すな言うてんのに一つも人の言う事聞からへんねんお前は。
ほんでお前けがしてんのんかい?体は大丈夫かい?」。
「何て?」。
「お前何で聞こえへんかったんや。
はっきり聞いたやないかい。
『体は大丈夫か?』言うてんねん」。
「あんたそんなにわての体の事が心配やったんか?」。
「当たり前やないかい。
お前にけがでもされてみぃ。
明日から遊んでて酒が飲まれへんがな」。
(拍手)桂阿か枝さんの「厩火事」でした。
いかがでした?やっぱりいろんな形の夫婦喧嘩っていうのがあって夫婦っていうのは思いどおりに相手はならないという事ですごく楽しかったです。
おっしゃるとおりでございます。
今演じました阿か枝さん…これクイズです。
どこの出身や分かりますか?いえ全然分かんないです。
名前言うてましたやん。
桂阿か枝…兵庫県の明石です。
それで阿か枝。
そのまんまの名前でございます。
素直な男です。
分かりやすいですね。
さて後半は桂紅雀さんの登場です。
ではどうぞ。

(拍手)え〜ありがとうございます。
私の方もよろしくおつきあいを願います。
一生懸命しゃべらして頂きますのでどうぞよろしくお願いを申し上げます。
(拍手)あ〜いやありがとうございます。
大変申し訳ございません。
大変恐縮でございます。
え〜なぜ今日家族を連れてこなかったのかという事を後悔してしまいました。
娘と子どもに今の拍手を聞かしてやりたいですねほんまにね。
ありがとうございます。
一生懸命しゃべります。
あの〜お酒の話でおつきあいを頂く訳ですが我々の世界はお酒好きの方が大変多い訳でございましてね。
何やいうたらお酒を飲みに行く訳ですね。
朝から飲んでる訳ではないんです。
やっぱりお仕事をさして頂いてから「打ち上げや」言うてね行かして頂く訳なんでございます。
もう毎回のように「打ち上げや」言うて行くんですね。
「今日はお客さんいっぱい入ったな」。
「打ち上げや」言うてね。
「お客さん少ないがな」。
「打ち上げや」言うてね。
「ようウケたな。
こら飲みに行こう」言うてね。
「景気づけにパ〜ッと行こうや」言うてね。
「スベったな〜。
飲まなやってられへんな」言うてね。
どないでもなる訳でございますがね。
しかし人間の感情を増幅する作用があるらしゅうございまして。
飲んでおりますと自分の気をどんどんと増幅さしていくんだそうでね。
ですからええ面もあれば悪い部分もあるんだそうですね。
悲しい時にはどんどんと悲しい方に持っていかれてしまう事もあるようで。
腹立ってる時には腹立ちをまた増幅させるんだそうで。
うれしい時にはわっとねそれを増幅させる効果もございまして。
路上へ出たらチューしたくなる事もあるそうでございますがね。
あんまり多くは語りませんが。
しかしまあそんな作用もあるようでね結構なんでございますが。
大体見ておりますと飲む人の動作というのは決まっておりまして。
居酒屋なんかへ参りましてもね酔うてきはる方を見ておりますと大体決まっております。
まず初めにどないなるかと申しますとまぶたが重力に負けだすんでございますね。
ですから皆様方をこのような形で見る事はございませんで大体半分の目になるんですね。
「眼半眼に閉じ」というやつでございましてこういう形。
薄目になってまいります。
ところが頭の神経のどこかでまだまだ視力が収まってるぞという事をですね分かる能力はまだ辛うじて残っておりますのでねですからこの閉じたまぶたをなんとかしなければというふうになりましてこのまぶたを閉じたあと次の動作と致しましては眉毛が上がるんでございますね。
こういう形になってくるんでございます。
一応全体に眺めさして頂きます。
こういう形になりまして。
その次の動作と致しましては体も重力に負けだすんでございます。
言うときますが今日は酔うておりませんので大丈夫でございますがね。
しかしまあ面白いもんでね酔うておりますと訳の分からん事言いだしたりなんかしてね。
不思議な事があるんだそうですがね。
居酒屋なんかで仲ようなったりなんかする事もあるそうですけれどもね。
「うれしな!うれしな!いや〜あんたみたいなね若い人とねこれお酒があるから仲ようなれるのや。
うれしいもんやな。
いや〜こんなうれしい事ないね。
あなたのうち聞いとこ。
せっかくやからまた近くへ来た時には寄らして頂きやす」。
「うれしいですね。
いやわたいらみたいな若い者のうちに大将みたいな年配の方寄って頂きたい。
あのねわたいのうち言いますわ。
このね店出まっしゃろ。
これまずねびぎへ行きまんねんびぎ。
いえ左やおまへん。
びぎへ行きまんねんへえ。
ほんでびぎへ行ってねポストおまっしゃろ。
あれ目印だんねん。
それ左へ行きまんねんね。
ほんで細い路地ありますさかいにねそれをトントントンと3軒目の右っ側ですわええ。
これがわたいのうち。
いっぺんまたのぞいたっておくんなはれ」。
「えちょっとちょっと待って。
おかしな話を聞きましたね。
あなたのうちもう一度復唱させて頂きますがね。
まずこの店を出て右ですか?はは右ね。
でポスト左チョンチョンチョン3軒目の右っ側あ右っ側。
それは私のうちですけどね」。
(笑い)「ちょっとおかしい」。
「いえそんな事おまへん。
わたいね酔うてますけど頭ははっきりしておりまんねん。
そやそこはわたいのうち」。
「いえいえ私のうち」。
「大将ね年配や思て立てとったらええ加減な事言うとったらあきまへんで。
え?あのね若い者あんまりばかにするもんやおまへんで」。
「何をこら!若いと思うて遠慮しとったら偉そうに。
やんのんか!」。
「やったろや!」。
「ちょっとちょっと大将大将。
えらい向こうで若いのと年寄りもめてまっせ。
あれ止めた方がええんとちゃいまっか?」。
「え?何です?向こうで若いのと年寄り…ハッ。
ほっときなはれ。
あれ親子でんねん」。
(笑い)え〜訳が分からん事になりまして。
「や〜酔うたな。
酔うたな。
いや気分よろしいね」。
「いや〜こんな時はうれしいからどんどん酒というものも進むものでねええ。
いや〜ちょっと痛飲致しました。
長い事飲み過ぎましたな」。
「そりゃそうですよ。
ええ?いやあの店でだいぶ長い事いてた」。
「あっそりゃ飲み過ぎ飲み過ぎ。
お空見て下さい。
ええ?あんな所にポッカリお日さんが出てますよ。
あなたと飲みだしたの夜やがな。
ええ。
そっからお日さん出るまで飲んでしもたらこりゃいけません。
反省反省」。
「何ですか?え?お空にポッカリお日さん…ハハ。
あれお日さんに見えまんの?見えまんのか。
そら酔い過ぎですわ。
私しっかりしとりま。
あれねお月さんですよあなた。
今日は満月。
ね。
お月さんとお日さん見間違うたらあかん」。
「え?何が?あれがお月さん?な…な事ない!満月やないですよ。
あれはお日さんですよ。
それが証拠に目がチカチカッとしたる。
あれはお日さんや」。
「いえいえあれはお月さん」。
「いえあれはお日さん」。
「ちょっと待ってちょっと待って。
2人ともベロベロや。
はあなあ。
こんなもんで正しい答え分かる訳あらへん。
あのやんわり向こから人歩いてきた。
あの人に尋ねてみましょ。
へえ。
正しい答えを教えてくれますんで。
えらいすんません!おっ。
あのえらいすんませんそこのおにいさん。
いえいえそっちじゃないです。
こっちです。
ちょっとお尋ねします」。
「何ですか〜?」。
(笑い)「あの人もえらい酔うてはるで。
えらいすんません。
私ら2人酔うてしもて。
あのお空に浮かんで円いやつがあれお日さんかお月さんか分からんように…。
あれどちらでございます?」。
「あれですか?え?お…お…。
あのお空に浮かんでるあれお月さんかお日さん…。
ハハえらいすんません。
私この町内の者やないさかい分かりまへんねん」。
(笑い)訳が分からん事になりますがね。
まあしかしもう酔うとりますと歌の一つも出るんやそうで。
年配の方というのはのんびりとね謡の一つが出たんやそうでございますが。
「海老は幼少にしてか。
髭長くお〜絶好調やな」。
(笑い)「ただいま戻りました。
ただいま戻りました」。
「お父っつぁんでっか?ただいま開けますよってに。
はい。
あお帰りやす」。
「はい。
えらいすんません。
恥ずかしながら私ただいま戻ってまいりました」。
(笑い)「いやいささか頂いております。
はい。
いえいえ伜の奥様のあなたにいつもご厄介になりまして申し訳ございません。
いえだ…大丈夫です。
まだあのふらふらとは致しておりますがまだ歩く能力は辛うじて残っておりますはい。
一歩ずつ人というのは前へ進むものでございまして。
ちょっと…えらいすんません。
ちょっと玄関で腰だけ掛けさせて頂きます。
どっこいしょと。
プ〜ッ。
伜の姿が見えませんが」。
「あのまだお戻りやないようでございまして」。
「何?まだ帰ってきてない?プ〜ッ。
また酒を飲んでるな!」。
(笑い)「年いた者はよいとしてねええ若い者がそらいついつまでも飲んでどないしますか。
いえ今日はね夜と共にあの男にい…意見をしてやりますはい。
はっきりとね意見をしてやってね『いつまで酒飲んどんのじゃ』ちゅう事ですはい。
私の言う事を聞かなんだらあの男は放り出します。
当たり前ですよ。
親の言う事聞けんような不肖の伜を持った覚えは…フッございませんはい。
はっきり言うてやりますはい。
帰ってきてね私ここでず…ずっと待っとりますよ。
あの男がガラッと開けたらはっきりとね『こら!いつまで酒を飲んでるんだ!バカ』っつってはっきり言うてやりますはい。
はっきり言うてやりますよ。
いやいやいや大丈夫ですええ。
いやあなたが心配するような事にはならないと思いますはい。
はっきりとねあの男がガラッと開けたら『こら!閉めろ!戸!』」。
(笑い)「はっきり言うてやります」。
(笑い)「いや…大丈夫…いやいや大丈夫ですよ。
私はまだ寝ませんのでね。
あのねあの…いや…気を遣って頂いてありがとうございます。
私はまだこのとおりしっかりしておりますんでね。
いえいえいえいえそれ大丈夫…お布団は大丈夫なんですよ。
あなたはそうおっしゃいますがね私はまだまだやる気は残っております。
はいはい。
それであのあの奥様奥様えらいすいませんねんけどねあの男が帰ってきたら起こして頂けますか?。
カ〜カ〜」。
「ど〜ら!えらい男だ〜!また帰ったら親父怒りよるであいつ。
あの親父よう怒りよんねんでお前。
何じゃちゅうたら怒っとんねん。
『いつまで酒飲んどんのじゃ。
バカ!』ちゅうて。
どない思てけつかねん。
あない毎晩毎晩怒っとったら言う事なんか聞いてられるか。
当たり前やないかい。
な!わしらなんぼでも飲んだんねん。
あんなもんほんまに。
腹立つわそんなもん。
ええ!気分ようなっとんのやそんなもんどんどん飲んだるがな。
な!親父みたいにあない怒っとったらあかんわね。
よう怒る親父やさかいわいあだ名付けたってん。
からけし親父ちゅうて。
何でからけし親父かちゅうとねからけしちゅうのは消し炭の事やね。
これどういうシャレになったあるかちゅう事は言うとやね消し炭だけによくおこるちゅうシャレやね」。
(笑い)「まあまあこんなん分かんの昭和20年代やね」。
(笑い)「や〜うれしなってきたな!ク〜!やったるぞ!ク〜!矢でも鉄砲でも持ってこい!ちゅうやっちゃな。
きいてからでな。
おら俺は堂々と…。
あ痛い痛い!えらいすんませんえらいすんませんえらいすんません。
申し訳ない。
私ねそんな気の大きい者やございません。
大変失礼を致しました。
私ね…ちょっと気分ようなってえらい偉そうに歩いてまして。
往来の真ん中であなたに当たってしまいまして大変失礼を致しました。
そやけどあなた硬い頭…。
ポストですか。
うわ〜」。
(笑い)「ポストに謝ってんねやから。
情けないな。
ポスト!バカタレほんまに。
びっくりするがな。
こっちは意外と気ぃ小さいねんぞお前は。
いやいやいやそやけどえらいすんませんね。
あなたにいつも当たってしまいまして。
いや!今日はあなたも酔うてるなうん。
顔が赤いぞ」。
(笑い)「なあそやけどあなた偉いね。
ね!酔いながらも一本足で立ってるところが偉いね。
わたしら一本足では立たれへんねほんまになほんまになほんまに。
どないもならんでええ!いや〜そやけどなこれ酔うとったら何やズルズルッといきとうなんねんな。
何ぞ食いたい…。
あっ!あんなとこにうどん屋いた。
うどん屋!うどん屋!」。
「へいへいありがとさんで。
おうどんですか?」。
「そやちょっと100杯お願いします」。
「何でっか?」。
「いやいやうどんを100杯お願いします」。
「ああさようか。
へえへえへえ。
あの1杯でよろしいな?」。
「ええそうそうそうそうそうそう。
ちょっとわてこっちの方から『うどん100杯おくれ』って言うてるところをお前の方から『1杯でよろしいな』って言うところを見るとお前しらふやな」。
「当たり前でんがな」。
(笑い)「酔うて商売できまっかいな。
ちょっと待っといておくんなはれ」。
「えらい…えらいそらうれしなってきたな。
いや喉通ったらえらいもんやわね。
喉キュ〜ッと通しとらんでえらいもんやで。
ズルズルッちゅう麺の喉越し…喉越…喉…分かるやろ?大体ね。
味わいと…何…何?何?『出来たけど天ぷら載せまひょか?』要らん要らん!そんなもん。
要らん。
ぜいたくは敵だ!要らない要らない。
何ですか?えええ?『揚げ』?要らんちゅうねんそんなもん。
要らん。
何にも要らんねや。
え?単純な方がええねん。
人間というものは。
何ですか?『ネギ』。
ネギ?ネギ。
ネギはおいくらですか?『ただ』。
大盛りでお願いします。
(笑い)ただのものは好き。
好き大好き。
頂きます。
あ出来た?うれしいな。
うどんちゅうのはこれ早いのが身上ね。
うれしいねありがとう。
湯気上がったあるよ」。
(笑い)「は〜ええ香りしたある。
この香りだけでも値打ちやな。
ほんまにな。
おい俺辛いもん好きやねん。
ちょっとあのあの…あれあるかな?あれあれあのあのあの…あれやあれ。
あのあのあの…あれやほれ。
何やここまで出かかって。
あのあのあれや。
とと…とんがらがしあるか?とんがらがし」。
「唐辛子でっかいな。
へえへえ分かりました。
ここにおますさかいにな。
へえ入れなはれ」。
「え?これこれこれとんがらがしですか?わっ。
大きな唐辛子ですね」。
「それ入れ物でんねんけどね。
見たら分かりまっしゃろええ。
竹の筒になってまんねんええ。
そん中に詰まってますさかいにねそれ出しておくんなはれ。
振ってもうたら出ます」。
「いや〜ええな。
ええ事言うてくれた。
振ったら出んの。
これ竹の筒か。
そんな事も分からへん。
ほな振らしてもらうわ。
振ったら〜出ますね〜。
チョイ!ポイッ!パイッ!トイッ!あの出ませんけどね」。
「ええ詰めは抜いてもらわん事にはね出まへんな」。
「そうですかはい。
そういう事も分からない。
酔うてしもて。
バカバカ。
ほんまにね。
えらいすんません。
あっこんなとこにデベソあるがな。
これ抜いたらええのこれね」。
「あんた何しなはんねやあんた!次の人に使われしまへんがな」。
「大丈夫や!洗うたら使えるちゅうねん。
細かい事言うな。
これそのまま振ったらええ?」。
「それね入れたてでんねん。
ギュッと詰まってますさかいにねたたいてもうたら出ますさかい」。
「へえ〜!よう気ぃ付くな。
ええ事教えてもろた。
ちゃんとたたかして頂きます。
私はね人の言う事を守るように生きてきましてへえ。
しっかりしますんでね。
あなたの言う事信じますよ。
たたかして頂きますよ」。
(笑い)
(笑い)「ハ〜クション!ハクション!」。
「あんた穴を上へ向けてどないしなはんねん。
穴は下に向けて」。
「ちゃんと言えよお前は。
あかんぞお前!気ぃ付け!バカ!これ下向き…。
これでええのんかい」。
「出た」。
「大層に言いなはんな。
出るようになってまんねん」。
「愛想ないうどん屋や!愛想なさすぎ過ぎやでお前は。
ええ?いやそらたたいて出るいうになったのは分かったあるわいな。
せやけどなわしゃ嘘でも客よ。
客たるわしが『出たな』ちゅうたら『そらおめでとうございます』ぐらいの愛想は言うてもええ」。
「やめときなはれやめときなはれ。
あんたかけ過ぎやろそれ」。
「何を言うてるんや。
お前が言う事聞かんさかいに。
うどん屋うどん屋うどん屋。
ほんまに。
ええ加減にしとけ。
うどん屋〜あ〜。
うどん屋〜」。
「勝手に歌作んなはんなほんまに。
ええ加減にしときなはれ」。
「いやそれぐらい腹立ってるちゅうこっちゃ。
よう覚えとけよお前。
何考えとんのや。
何…」。
(笑い)お代わりもらおう」。
「何を…。
もう食べられしまへんで。
そないかけてしもたら。
やめときなはれやめときなはれ。
食べられしまへん」。
「大丈夫!私辛いもん好き」。
「なんぼ好きかて無理です。
やめときなはれ。
それやめときなはれ」。
「いや大丈夫。
私辛いもん得意よ大得意。
あら!おいうどん屋お前!俺のうどんをどこに隠した!」。
「赤い蓋が出来てる赤い蓋が」。
「あ〜この下にあんのかい。
こんなん…。
ほら出てきたぞ!キャハハ。
これ食べたるわい。
おい!お前にちょっと教えといたろ。
辛えもん食べる時のコツがあんねん。
びっくり食いちゅうねや。
よう覚えとけ。
びっくり食い。
どないして食うか教えたろか教えたろか。
『教えていらん』。
いや教えていらんでも言う俺は。
教えたろかな!口にね辛いという思いを抱かせる暇を抱かせないというねややこしい食べ方や。
よう覚えとけお前。
フッフッ。
うっすごいなこれほんまに。
フッフッフッフ〜ッ」。
「あ〜っ!」。
(笑い)
(笑い)「水水」。
「あっあ〜っ辛っ!あ〜っ辛っ!こんな辛いうどん要りません。
あなたにあげます」。
「いやわたいも結構です。
そこ置いときなはれ」。
「いや〜なんぼ?なんぼ?いや金は払うとくわ金は。
何や?金はちゃんと払うとくちゅうねん。
なんぼやねん?あそうあそう。
へえ〜。
それ正規のお値段ですか?いや3本ぐらいしか食ってないけど。
あかんの?いやいやちゃんと払うときます。
唐辛子代です。
またあの改めて酔うてる時に寄して頂きます。
えらいすんません。
チャチャンチャンと。
わ〜すぐうちへ着いたか。
ありがたいな。
おい!俺や俺や!ここ開けろ〜!ただいま帰りましたよ〜。
お殿様のお帰りだ〜!ここを開けなさい。
あなたは既に包囲されている。
ここを開けたまえ」。
「はい。
あのどなた?」。
「『どなた?』て。
我が亭主の声を忘れてどないする?おい!俺や俺や!」。
「そういう声は前田さんのボンとちゃいまんのんか?あんたとこは西へ3軒目でっせ」。
(笑い)「えらいすんません。
田中さんのお宅でしたか。
明日改めて謝罪に参ります」。
(笑い)「1軒2軒3軒…。
おい!俺や俺や!」。
「どいつや!」。
「けしからんぞ。
亭主の留守に男の声が。
『どいつや!』とはどいつや!」。
「そういう声は前田さんのボンとちゃいまんのんか?あんたとこは西へ6軒目でっせ」。
(笑い)「ちょっと待てお前。
『西へ3軒』言うてたんと違うんかい!」。
「あんたねえ西行かんならんの東に来てまんの。
戻っていきなはれ」。
「そ〜らもう皆酔ってわしのうち持ち歩いてけつかんなほんま。
そんなら1軒ずつたたいて回ってんねん。
おい!俺のうちはどこですか?私は迷子の迷ちゃんです。
どちらですか?」。
「もううちの人やないかいな。
ほんまにもう。
ちょっとちょっとあんたこっちでっせ」。
「ああ我が家の奥さんこんばんは」。
「何を…。
何をしてなはる。
また酔うてなはんねやろ」。
「えらいすんません。
恥ずかしながら私ただいま戻ってまいりました」。
「そんなとこだけ親子で似たあんやからほんまに。
早い事上がんなはれ」。
「ええ入れさしてもらいます。
えらいすんませんな。
いや〜いつもいつも酔うて帰ってごめんねおかあちゃん。
あ痛い!痛〜。
こんなとこに誰か寝とう。
だ…誰誰誰?親父!?親父が寝てんの!こら親父!また酒を飲んでるな!」。
(笑い)「若い者はええとして年いた者がそない飲んでどないすんねんほんまに。
いや今日は夜と共に意見したんねんほんまにもう。
起きろ親父!起きろ!ほんまよう寝とんなほんまに。
鼻つまんだんねん。
い〜い〜い〜」。
「痛い痛い痛いですよ。
どなたですかな?私の鼻をつまむ人は。
伜か?伜やな。
とうとう帰ってきよったなこの男は。
こら!伜お前酒の飲み過ぎやぞ。
酒の飲み過ぎや。
酒の毒が回って顔が3つも4つもあるやないかいな。
そんな顔が3つも4つもあるような化け物に私の大事なうちは譲れんぞ!」。
「要らんわ〜い!こんなグルグル回る家」。
(笑い)
(拍手)え〜紅雀さんの「親子酒」でございました。
いかがでした?いや〜あの〜最後は酔っ払いにしか見えなくてですね…。
もうあの〜…。
ま私も酔っ払ったお芝居はドラマとかでした事あるんですけれどもやっぱりフワッと正気に戻る瞬間のお芝居っていうのはすごい難しくてその度合いと体の使い方がもう本当に勉強になるところがたくさんあって見応えありました。
今日は落語聴いて頂きましていかがでした?いや〜やっぱり見入ってしまいますね。
実際にやっぱり会場に来ると臨場感がすごく伝わってきましたね。
セリフのもう全てがもう端の方まで聞こえてくる。
その何か神経の細かさというのかなそれにちょっと感動しました。
せっかく関西に住んではんねんからこれから繁昌亭でやるとか動楽亭とか細かい寄席もありますんで是非ともまた見に来て下さい。
もう是非是非ハマりそうなので。
約束ですよ。
関西弁もだいぶ聞き慣れてもう聞き取れますので。
はいお願い致します。
リスニングはOKですね。
OKです。
お願いします。
というところで「上方落語の会」今日はこれでお開きでございます。
ではさよなら。
2015/05/08(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会 ▽「厩(うまや)火事」桂阿か枝、「親子酒」桂紅雀[字]

▽「厩火事」桂阿か枝、「親子酒」桂紅雀▽第350回NHK上方落語の会(27年3月12日)から▽ゲスト:西田ひかる▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)

詳細情報
番組内容
桂阿か枝の「厩火事」と桂紅雀の「親子酒」を、ゲストの西田ひかるのインタビューを交えお送りする。▽厩火事:髪結いのお咲さん、遊んでいる亭主の竹を養っているが、お咲さんの帰りが遅いとすぐに文句を言う。お咲さんは本心が知りたいと竹の兄貴分に相談すると…。▽親子酒:酔って帰ってきた酒好きの父親が、息子がまだなので説教すると言いながら玄関先で寝てしまう。酔っぱらった息子が帰ってくると…▽ご案内:小佐田定雄
出演者
【出演】桂阿か枝,桂紅雀,【ゲスト】西田ひかる,【案内】小佐田定雄
キーワード1
落語
キーワード2
漫才

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – トークバラエティ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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