救急車:「有料化」提案 財務省、軽症者対象に

毎日新聞 2015年05月11日 20時57分(最終更新 05月11日 22時42分)

東京都内を走行する救急車=東京都新宿区で、徳野仁子撮影
東京都内を走行する救急車=東京都新宿区で、徳野仁子撮影

 財務省は11日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、救急車の一部有料化を検討すべきだとの見解を打ち出した。軽症にもかかわらず救急車を呼んだ人に、費用を請求する案などが浮上している。先進国で最悪の状態にある財政状況を改善するための歳出改革の一環として、年約2兆円の消防関係予算にメスを入れる狙いがある。タクシー代わりに救急車を利用しようとする一部利用者への「警鐘」の意味合いも強そうだが、有料化には利用者の反発も予想される。

 財務省は、5月末をめどにまとめる財政審の建議(報告書)に、一部有料化を盛り込むことを検討している。

 消防庁などによると救急車による搬送者のうち半分近くは軽症者が占めている。2013年の救急車による救急出動件数は過去最高の591万件で、過去10年間で22%増えた。119番通報から現場に到着するまでの時間は平均8.5分と10年前より2.2分延び、一刻を争う重症者の搬送に支障が生じているとされる。

 海外では救急車を有料としている国が多く、フランスでは重症者以外の搬送は30分で3万円超の有料制を採用している。財務省は「フランスなどの例を参考に軽症の場合の有料化などを検討すべきだ」と説明している。【宮島寛】

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