その男、副署長〜京都河原町署事件ファイル〜 2015.05.08


こんばんは。

(揉み合う音)
(鈴の音)
(池永清美)おはよう!今日も1日頑張りまっせ。
とう!おい!メシが冷めるぞ。
(御子柴かほる)「にんじんが苦手なんですよ」「えっご主人も直樹君も?」
(御子柴徹)「にんじん苦手なんですよ」「な?直樹」
(御子柴直樹)「うん!」「もう親子だからって嫌いなものまで似ちゃうなんてね」「でもすりおろしてるのにんじんですよね?」
(かほる)「あ…どうしても食べてもらいたくて」「ああ…だからお菓子にして?」
(かほる)「そうなんです」
(かほる)「初めねリンゴの分量を多めにして…」
(池永はるか)佳子ちゃん好きだよねぇその人。
そういや最近よく見てるな。
(池永佳子)知らないの?御子柴かほるカリスマ主婦。
何だ?カリスマ主婦って。
夫が医者で息子さんが有名小学校の1年生。
セレブよセレブ。
それでいて家庭的な庶民派。
セレブで庶民派って無理あんだろ。
その上この美貌同じ主婦としても憧れちゃう。
結婚もしてねえのに何が主婦だ。
大人の女性は私1人。
主婦みたいなもんよ。
だったらメシを作れ。
だからこうして勉強してんでしょう!テレビなんかで勉強になるかバカ。
今だってにんじんケーキの作り方覚えたもん。
ケーキじゃなくてメシを作れっつってんだよ。
イヤだ!じゃせめて今メシを食え!後で食う!冷めちゃうだろ!アホくさ…!
(パトカーのサイレン)
(警官)ご苦労様です!
(野沢健作)水死体です。
事件か事故か自殺かはまだ…。
(平松純平)免許証から市内に住む大橋悦子と判明しました。
死体の発見現場からして上流から流されてきたんでしょう。
(藤原あきら)所持品も流された可能性があるわね。
(野沢)チームを作って遺留品の捜索!はい。
(梶原勇)複数の人物が争ったようなゲソ痕を発見しました。
(花村一彦)約700メートル上流の神楽橋です。
殺人の可能性が出たわね…。
おはよう!
(署員たち)おはようございます!
(署員たち)おはようございます!おはよう!
(近藤時男)おはようございます。
おはようございます。
ちょっとお伺いしたい事があるんですが。
え〜本日も1200件の決裁書類があなたを心からお待ちしております。
(林哲夫)決裁お願いします。
(一同)決裁お願いします。
水死体があがったそうですね?今日明日でどうぞ済ませてください。
明後日は一日署長の対応で追われます。
その水死体は上流から流れてきたって聞いたんですけど。
この方が…一日署長のタレントさんです。

(花村)死亡推定時刻は昨夜9時から11時です。
(ドアの開く音)
(上田聡)署長!
(上田)神楽橋の下にこれが…。
(野沢)神楽橋…ゲソ痕のあった橋です。
(平松)そのゲソ痕の1つ被害者の履いていた靴と一致しました。
つまり橋の上で揉めたのは…。
やはり殺人か過失致死ですね。
その写真は被害者の1人息子翔君でした。
きっとガイシャの所持品です。
橋の上で揉み合った時に落としたんでしょうね。
犯人特定の証拠にはならないわね。
本部との捜査会議は?間もなくです。
(野沢)あ…お前らはいい。
え?引き続き遺留品捜してくれ。
えぇっ!?納得いかねえなぁ…。
普通さ子供の写真持ち歩く時ってのはこうやって持ち歩かねえか?
(上田)って持ち歩いてるんすか?親が子供の写真持ち歩いて何が悪いんだよ。
あっ被害者の所持品にも定期入れがあったな…。
中に定期は入ってたか?あいやそういえば入ってませんでした。
ほ〜れ定期サイズだ。
つまりこの写真が入ってた!ガイシャは神楽橋でわざわざ定期入れからこの写真を出して見せたっちゅう事だな。
何で?橋の上には犯人もいたんだろ?ええゲソ痕を見る限り。
ホシに見せたんじゃねえの?夜の橋の上で息子の自慢ですか?もし…その後でガイシャとホシが揉めたんだとしたら…?動機はこの写真!あっ…って事は犯人はこの子に関係がある人物!おお〜いい線なんじゃな〜い。
(上田・平松)失礼します。
決裁お願いいたします。
ちょっとトイレに行ってくるとすぐ溜まっちゃうんだからもう。
その前にマスコミの対応をお願いいたします。
マスコミですか?でもそれは会見の後なんじゃないですか?それが真っ先に嗅ぎつけてきた記者が…。
誰ですか?島です。
…島!?
(島英明)驚きましたよ…あの池さんが副署長なんて。
今はここにいるのか?で今日何しに来た?もちろん取材活動ですよ。
取材…?…水死体の。
何でお前が知ってるんだ?まだ発表もしてないのに。
それはともかく。
俺が時々書いてる追っかけ記事です。
お前がこんなもん書くようになるとはねぇ…。
おっしゃる通りそのカリスマ主婦を持ち上げただけのくだらんちょうちん記事ですけどねぇ。
でそのカリスマと殺された女の関係は?あ?とぼけんでくださいよ。
どういう事だ?説明しろ。
チッ…参ったな。
あんただったらとっくに何か嗅ぎつけてると思ったんだけどなぁ…。
この2人に何か関係があるのか?デカ辞めて自慢の鼻が鈍りましたか?質問に答えろ!昨日御子柴かほるに密着してて偶然見かけたんですよ。
そしたら今朝には水死体…驚きました。
この女が犯人だと思ってんのか?だったら面白い記事になりますよね。
何…!?ま今人気のカリスマ主婦が殺された主婦と友人知人だった…。
それだけでも十分バカな読者の目を引く記事にはなりますけど。
変わったなお前。
ええ。
あんたら警察のおかげでね。
調べたきゃ自分で調べろ。
それで今朝早速取材してきたんです…。
どうも。
会ってましたよね?昨日この人と。
サインを求められただけで…。
(島)ああ…。
サインを求められた?どうもそれだけじゃなさそうですけどね。
どういう事だ?ま何かわかったら教えてくださいよ。
教えろ?…断る。
2人の接点を教えたのは俺ですよ。
ギブ・アンド・テークでいきましょうよ。
ねえ?副署長。
(大橋由紀夫)どうもお世話になりました。
あ…どうも。
大橋悦子さんのご主人ですよね?
(上田)息子さんについて伺いたい事が…。
(上田)翔君がケガを?ええ…全治9か月です。
(上田)9か月!?ではまだ治療中ですよね?詳しく聞かせてもらえませんか?3か月前…公園で妻が目を離したすきに…。

(落下する音)
(大橋悦子)翔!!
(悦子)…翔!翔!!翔…翔!!
(大橋)すぐ病院に運んで幸い命に別条は…。
その病院教えてもらえませんか?それ以来妻とはギクシャクして…。
(上田)え?翔の事で私が妻を責めすぎて…。
でもまさかそのまま妻が逝ってしまうなんて…。
(梶原)離婚話になってたみたいですね。
(花村)近所で噂になってましたよご主人。
後の聴取は引き継ぎます。
引き継ぐ…!?お2人の担当は遺留品の捜索でしょう?はぁ〜…。
はいお疲れさん。
(上田)おちょっと…。
(平松)行くぞ。
はいはい大橋さんですね。
よーく覚えてますよ。
危なかったんですから輸血が遅れて…。
輸血が遅れた?ええ。
でも病院側の不手際じゃないですよ。
(ドアの開く音)じゃお母さんお預かりします。
(看護師)あちょっと何も書いてないじゃないですか!説明しましたよね?お子さんが輸血を受ける際にはこの同意書が必要なんだって。
時間がないんですよ。
すぐに輸血しないと。
(悦子)ああ…。
輸血の同意書にサインをしなかった?そうなんですよ。
結局同意書は後回しにしたらしいんですよ。
(上田)子供がケガして気が動転したんでしょうね。
ふぅ〜ん…女親っちゅうのはたいていそういう時は男親よりしっかりしてるもんなんだけどなぁ…。
《被害者の所持品リスト…!?》えぇっ!?かほるさんのサインを?もらったはずなんだガイシャは。
うらやましい…。
ところがなガイシャの私物の中にはそんなものはないのよ。
御子柴かほるが書いた本とかテレビ番組を録画したテープとかそういうもんも一切ないんだぜ。
えぇ〜?普通さそういう類のもん1個ぐらいはあるだろうよ?サインもらうほどのファンだったらな。
そういう人もいるわよ。
テレビで見た顔だからってファンでもないのにサインもらう人。
でもそのサインもないんだぜ。
そういう人ってさすぐに捨てちゃったりするのよ。
あ〜もったいない。
私が欲しいぐらい…。
直接確認できねえかな御子柴かほるに。
本当にサインしたかどうかよ。
無理よ。
だな…。
俺最近外出するのも難しくなってきちゃってるからなぁ…。
それ以前に相手はカリスマ主婦よ。
そっちか…。
(2人)ああ…。
よろしくお願いします。
おう。
(市川奈津美)課長!課長大変です!今一日署長の衣装合わせしてたんですが突然「出来ない」って言い出して…。
(近藤)何で?どうして?急病か?いえ制服が思ったよりかわいくないからって。
何だ?その理由は。
もっとミニスカで色はピンク系がいいと…。
バカな…一日署長の制服だけそんなわけにはいきません!そう言ったら…帰っちゃいました。
(池端実)ええっ!?課長早く代わりの人選を。
(林)今からつかまるタレントなんていないよ。
あの…例えばこんな方はいかがでしょうか?御子柴かほる…カリスマ主婦です。
被害者の夫の大橋由紀夫の足取りは?
(花村)調べましたが特にこれといって…。
アリバイはないんだったな?はい。
ガイシャの死亡時間彼は自宅に。
もう一度彼と被害者双方の足取りを調べて。
(一同)はい。
何としても事件の夜夫婦があの神楽橋の上で会った証拠をつかんできてちょうだい。
(一同)はい。
ガイシャの旦那をね…。
疑ってるようです。
離婚話が出てたみたいで。
でもそれだけじゃ任意でも引っ張れねえだろ。
それで署長もデカ長も困ってるんすよ。
誰です?これ。
会ってたらしいぜガイシャと。
(上田)えっ?しかも事件のあった日の昼間にだ。
(平松)ガイシャとどういう関係だったんですか?さあな〜。
ま事件とは関係ねえだろうけどね。
お先失礼します。
失礼します。
(近藤)あ〜いたいた!彼らと何を?いや…メシ食ってただけですよ。
うまい…天才だね俺は。
決まりました。
はい?急な話ながら承諾が取れました一日署長。
あ…そうすかそりゃ良かった。
御子柴かほる…狙いは何ですか?…狙い?副署長がこの方をご推薦された狙いです。
またもう…狙いなんかありませんよ。
…狙い!
(藤原拓海)おいしい。
でしょう?どんどん食べてね。
自分が作ったみたいに言わないの。
(拓海)え?じゃ誰が作ったの?はるか?あっ熱…!
(はるか)お父さんの作り置き。
はるかんちはお父さんが料理するんだ…。
他にする人いないからね。
あれも。
ちょっと人聞きの悪い事言わないで。
私だってね…今勉強してんだから。
(チャイム)うちの拓海来てるわね?あ…今うちで一緒に夕飯を。
そういう事はしないでって言ったはずよ。
公私の区別はつけたいの。
わかるわね?あ…すいません。
謝る事はねえぞ。
礼を言われても文句言われる筋合いはありませんねぇ。
やめなよお兄ちゃん。
あ帰るわよ。
ママね署に戻らなきゃならないの。
母親よりも署長業優先ですか…。
あなたにそんな事言われる筋合いはない。
(拓海)ごちそうさまでした。
あ…。
あ…明日の一日署長あなたのアイデアでアイドルからカリスマ主婦に代わったそうね。
えぇ!?いけませんでしたか?いいえアイドル呼ぶより庶民的な警察をアピールできるかもしれない。
いい判断よ。
そりゃどうも。
そうやってね副署長の仕事だけやってればいいの。
どういう意味ですか?事件に首を突っ込んだり人の家に口出しをしない。
わかった?拓海帰るわよ。
我慢我慢…。
(奈津美)今回の一日署長はカリスマ主婦として絶大な人気を誇る御子柴かほるさんにお願いしました。
それでは御子柴かほるさんの入場です。
(拍手)「今日の夕飯は何時にする?」という夫への確認。
「今どこにいるの?」「塾は何時に終わるの?」という子供への電話。
こういう家族のコミュニケーションこそ一番の防犯だと私は思います。
(拍手)ありがとうございました。
それではここでマスコミの方々から質疑応答を挙手でお願いします。
(一同)はい!
(奈津美)ではそちらの『週刊タイムス』の方。
『週刊タイムス』の島です。
子供やご主人との絆が何よりも大切。
先生のお話興味深く聞かせていただきましたが…。
どうも…。
その愛するご主人が他の女性と密会していたのをご存じですか?
(ざわめき)ご存じないようですね。
ではその女性が先日水死体で発見されたのもご存じないですか?先生がご自宅を留守にしていた時ご主人がその女性をご自宅に入れていたんですよ。
(奈津美)次の質問もありますのでこの辺で!
(報道陣の騒ぐ声)いい加減にしろ。
見た人がいるんですよ先生。
(報道陣の騒ぐ声)
(奈津美)静かにしていてください!
(島)先生答えてくださいよ!先生…!あの記者には厳重に注意しておきます。
あの…主人はあの女性を家に入れて何を話したんでしょう?あんな記者の言う事なんて真に受けないでください。
あ…でも…。
何か気になる事でも?あ…いえ…。
誠に申し訳ありませんでした。
なあ…今「あの女性と何を話したか?」って訊いたよな?え?普通さ旦那が他の女を家に入れたのを知ったらだよ真っ先にあんな訊き方するか?どういう事?彼女と旦那がどんな関係なのか…まずそれを知りたがるんじゃないのか?
(島の声)あの女が旦那の浮気を知ってたら…。
相手の女を殺す動機にはなるよな。
あなた一体どういうつもり!?彼女と殺された女の接点を教えてやったんだ。
その線で何かわかったら教えてくれよ。
お前さんとは取り引きしないって言ったろ。
言っとくけど…俺は今三流雑誌の三流記者だ。
そいつはさっきよーくわかったよ。
つまり…裏付けなしでも記事は書ける。
(近藤)はい…はい!わっビックリした…!市役所の人事課長がお見えです。
はい?お忘れですか?うちの署は市役所と人事交流しています。
秋以降の人事の打ち合わせです。
そうでした。
(鐘の音)10月よりうちの山田が交通総務係。
はい。
加藤が地域総務係としてお世話になるという事で。
はっ。
よろしくお願いします。
こちらこそ。
では。
あっそういうたら鴨川の水死体こちらがご担当で?ええうちに捜査本部が立ってますけど何か?ああ…不謹慎な言い方かもしれませんが今うちの役所でちょっとした話題になってましてね。
どういう事ですか?あの亡くなった女性うちに通ってたんですわ。
市役所に?ええ。
彼女住民基本台帳の閲覧をしに…。
住民基本台帳?何度も申請書出して何度も通って職員が顔覚えてましてね。
ニュース見て驚いたようで…。
(上田)住民基本台帳の閲覧?申請理由は郷土資料の作成って事だったらしいんだけどね。
(平松)郷土資料ですか?そうなのよ。
へんちくりんな話だべ?でもガイシャの身辺にそんな形跡なかったっすよ。
だろう?気になるわけよ。
ところでカリスマ主婦の方はどうだった?その人と被害者も接点なかったです。
何…?関係ないんですよ御子柴かほるは。
課長!御子柴かほるさんの所に今日中に謝罪に行ってこいという署長命令ですのでちょっと行って参ります。
(林)副署長それならこれから私が。
何!?では行ってきます。
ではじゃないよお前…ちょっと待て!そういう事です副署長。
ご自分のお仕事責任を持って。
はいお分かりですね。
…了解しました。
我慢我慢…。

(林)でっかい家…。
遅くなりました!あれ?佳子ちゃん!どうして?副署長に手伝うようにって言われて。
かほるさんの事知ってる人間が一緒の方がいいだろうって。
あ〜!助かった〜!勇気100倍。
(チャイム)
(リポーター)さぁ皆様ここでカリスマ主婦ならではの素敵なアイデアが隠されているそうなんです。
実はですねこの間うちの直樹がコードに足を引っ掛けちゃって。
予約していた録画が全部ダメになっちゃったんですよ。
あ〜室内って意外とコードだらけなんですよね。
そうなんです。
そこで考えたんですけど…ちょっと簡単に…。
あ丸めてあるんですねぇ!こうしておけば床の掃除も楽ですよねぇ!それに直樹が転んで怪我をする事もないし。
はぁ〜なるほど。
お子様を思ってのアイデアだったんですね!良かったねぇ直樹君。
うん!
(徹)ただいまー。
あ…おかえりなさーい。
旦那さんですか?えぇ。
あなた!ちょっと来て!仲がいいわね。
(かほる)こっちこっち早く!
(ため息)さぁ直樹おいでー!はいただいまー!家の中の事はかほるに任せておけば何の間違いもありません。
なぁ直樹?うん。
妻としても信頼されてるんですね。
理想的な家庭です。
ハハ…ありがとうございます。
(ディレクター)はいOK!じゃあ次はかほるさんだけクローゼットの撮影お願いします。
はい。
お腹空いた!オムライス食べたい!オムライスの出前はないなぁ…。
お母さんは?いつお仕事終わるの?ごめんな。
もうすぐみんな帰るから…な?あの…。
はい?オムライス作りましょうか?はい?お〜いい匂い…直樹良かったな。
熱っ!熱っ!だ…大丈夫ですか?もうすぐ出来ますか…熱っ!いっただっきま〜す!美味しい〜!あ…!ホント!?嬉しい!初めて料理褒められた!お母さんの本見て作ったんだよ。
ふ〜ん…。
いいですねご主人。
奥様料理上手で。
いつだったのかなぁ…?最近妻の料理食べたのは。
はい?あの…うまくいってないんですか?奥様と。
(リポーターとかほるの声)この前直樹が言ったんです。
お母さんは僕のお母さんなのかそれともみんなのカリスマなのかどっちなんだろうって。
(徹)カリスマなんて言葉意味も知らないのに…。
(直樹)お父さん美味しいね。
…何?俺もよくはるかに言われたよ。
え?まだママが元気だった頃。
「パパははるかのパパなの?それとも刑事なの?」「どっちなのよ!?」って。
…覚えてないよ。
忙しかったもんね刑事の仕事。
フフッ…。
で聞いてきてくれた?もちろん。
この人の事でしょ?覚えてたわよ。
かほるさんのご主人。
じゃあやっぱり家の中に入れたのか?大橋悦子を。
うん…でもね彼女学資保険の営業レディだって偽ってご主人に近付いたみたい。
ハァ…?何だそりゃ。
で息子さんの事をいろいろ訊いてきたって。
息子の事…?
(上田)その写真は被害者の一人息子翔君でした。
輸血の同意書にサインしなかった?
(人事課長)彼女住民基本台帳の閲覧をしに…。
夫が医者で息子さんが有名小学校の一年生!セレブよセレブ。
まさか…。
この2人があの夜神楽橋にいたっていう目撃者は?どうなってるの?刑事課長。
はぁ…。
これ以上捜査を長引かせるわけにはいかないって捜査会議でも言われたはずね?はい。
本部にうちの署の恥を晒す気?副署長の予想どおり大橋翔君と御子柴直樹君の生年月日は同じです。
やっぱりそうか。
ガイシャは役所に通ってこいつを調べてたんだ。
お兄ちゃん!翔君と直樹君が生まれた病院だけど…。
同じか…?市内にあった大隈病院!ちょっと待った!今「あった」って言ったよな?今はもうないのか?その病院は。
うん!池さん…!被害者の夫がさっき逮捕されました!逮捕…!?どうして?
(上田)公務執行妨害で。
やりやがったな…あのアホ課長!どういう事!?多分しつこく取り調べして相手がキレたところで公務執行妨害。
別件逮捕だよ。
取り調べで強引に殺しを自白させる気だよ!ひどい!被害者遺族を何だと思ってるの!?俺の我慢もここまでだ。

(近藤)何してるの?
(池端)はい。
副署長が掛けといてくれと…。
うん。
トイレじゃなかったの。
さぁ…?僕は頼まれただけですから…。
うん。

(スタッフ)30秒前!じゃあそろそろシメの言葉お願いしま〜す。
「今でも大活躍の御子柴さんですがこれからの抱負を聞かせていただけますか?」「抱負だなんてそんな…私はただの主婦ですから」「でもいまやファンの方が大勢いらして…」ホントにありがたいと思っています。
でも…一番のファンは主人と息子です。
そうですね。
という事で本日のゲストは今大人気のカリスマ主婦御子柴かほるさんでした。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
(拍手)お疲れ様でしたー!
(かほる)ありがとうございました。
ありがとうございました。
お疲れ様でした。
お疲れ様です。
見た事があるんですね?知りません…。
どこで見たんですか?あの橋の上じゃありませんか?この子…あなたの息子さんと同じなんですよ。
生年月日も…生まれた病院も。
あ…何の事だか…。
すいません失礼します。
調べればわかる事です。
DNA鑑定をすればなおはっきりする。
けど…俺はそんな事はしたくありません。
そんな事では親子の絆は計れないからです!DNA鑑定…。
あの日突然訪ねてきた女もそう言いました…。
本当ですか!?えぇ大隈病院ですけど…。
あなたの子供と私DNA鑑定させてください!ハァ?私6年前のその日大隈病院で子供を取り違えられたかもしれないんです!お願いします!DNA鑑定を…!か…帰ってください…。
帰ってください…!お願いします!帰ってください!奥さん…!お願いします!
(悦子)奥さん!奥さん!
(シャッター音)
(かほるの声)いつかこんな日が来ると思っていました。
私の血液型はAB型。
夫はA型直樹もA型。
血液型で見ればあの子は間違いなく私たち夫婦の間に出来た子です。
でも…!でも…?この子は私の子じゃないかもしれない…。
直樹と暮らしたこの6年。
私にはずっとその恐ろしい違和感があったんです。
我が子のはずなのに…自分のどこかが叫んでるんです。
違う…違う…!子供への愛情が足りないからだってそう思い込んで…。
懸命に母になろうと思いました。
子供に尽くし夫に尽くして…。
出来る事は何でもやりました。
それが…カリスマなんて呼ばれるようになって…。
その違和感もしかしたら大橋さんも持っていたのかもしれませんね。
え…?だから息子さんが大怪我をした時輸血同意書を見て凍りついたんでしょう。
そこに書かれていたのはこれまで彼女が信じてきた母子手帳に記されてた翔君の血液型じゃなかったからです。
やっぱり自分の子じゃなかった…。
そう思った彼女は同意書にサインする手が思わず止まってしまった。
ショックを受けた彼女はそれ以来夫との関係も上手くいかずに離婚話まで出てたそうです。
きっとそれまでの家族を顧みずに血の繋がった息子を必死で捜したからでしょう。
しかし出産した大隈病院はすでになくなってた。
だから市役所で住民基本台帳を調べて生年月日の近い子を捜して一軒一軒訪ね歩いたんです。
そしてとうとうあなたにたどり着いた…。
怖かった…。
怖かった?このままでは直樹がとられる…そう思って。
だからあの夜彼女を呼び出して。
ごめんなさい。
うちの子大隈病院じゃありませんでした。
え!?調べてみたら私勘違いしてて。
ウソ!そういう事なんで…もう来ないで下さい!ウソ言わないで!放っといてください…。
ちょっと待って奥さん!これを見て!うちの翔です!
(かほるの声)見る事が恐ろしかった。
その子の顔を見た途端私の家族が壊れてしまう…そう思ったら…!これまで懸命に築いてきた家族が壊れてしまう…そう思ったら…!
(悦子)なんて事するの!?奥さん!奥さん!あなた自分の子供の事知りたくないの!?奥さん!!嫌ァ〜!!
(かほるの声)私…。
直樹の本当のお母さんを殺してしまったのね…。
自分の家族が壊れるのが怖かったって言いましたよね?でもあなたが直樹君と築いた6年っていう月日はその親子の絆は血の繋がりがないってわかった途端に壊れてしまうようなもんなんですか?親子の絆ってそんなに脆いもんなんですか?俺はそうは思いません。
たとえ血の繋がりなんかなくたってあなた達は親子だ!今までも…そしてこれからも。
(徹)俺は手放さない直樹を。
いや手放せない。
たとえ血の繋がりがなくても。
(徹)お前はそう思わないのか?
(かほるの嗚咽)あなたはこれからスキャンダルにまみれてもうカリスマ主婦じゃいられなくなるでしょう。
でもそこから本物の母親が…本物の家族が始まるんです。

(近藤)あれ?副署長。
ずいぶん長い長い…どちらまで?トイレです。
私もトイレです。
え〜仏の顔は何度まで?はい?3度です!そしてこれが3度目です。
はいっ!打ち止めです。
(徹)あの…。
(林)御子柴さん。
先日はどうもすみませんでした。
(一同)すみませんでした。
…私人を殺しました。
すぐに刑事課へ連絡!
(林)はっ…はい!
(客)マスター置いときます。
(鈴木豊)ありがとうございます。
過失致死だもん。
重い罪にはならないよ。
今は無き病院のミスのせいで育ての親が生みの親をか…。
やりきれねぇ話だよな。
(島)男女の浮気…。
じゃなくて親子の絆だったとはな。
(鈴木)いらっしゃいませ。
アイラロックで。
あんたの鼻まだ鈍っちゃいないみたいだな。
書くなって言っても書くんだろうな。
(鈴木)またどうぞ。
『愛情物語』俺と酒は飲めないか…。
まだ恨んでるのか?警察とマスコミを。
『愛情物語』今回自首した被疑者は有名人です。
マスコミへの対応を間違わないように。
了解しました。
以上。
あの…今回はお咎めはなしなんでしょうか?私に咎められるような事をしたの?あ…いえいえ。
とんでもありません。
失礼します。
…母性の違和感。
そう言ったそうね御子柴かほる。
はい。
同じ母親として胸が痛むわ。
副署長。
何だよ?島の記事か…。
でも悪い記事じゃない。
…ここ。
「しかしこの病院は既に無い」「だがそれを監督していた行政は責任を果たさねばならない」かほるさんじゃなく子供を取り違えた病院に焦点を当てそのずさんさを糾弾してる。
(近藤)でその記事のおかげで今後のマスコミの論調からスキャンダラスな色合いが消えるかも…しれませんね。
島は元々そういう記者ですから。
ねぇどういう意味?2015/05/08(金) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
その男、副署長〜京都河原町署事件ファイル〜[再][字]

「京鴨川に浮ぶ死美人の秘密!!」

詳細情報
◇番組内容
船越英一郎、連続ドラマ“初”主演作品。捜査を禁じられた所轄署の“副署長”が難事件を解決するミステリー。制服を脱ぎ捨てたとき、事件は解決のときを迎える!
◇出演者
池永清美(副署長):船越英一郎
池永佳子(交通課):田中美里
平松純平(刑事課):宇梶剛士
上田 聡(刑事課):鈴木一真
野沢健作(刑事課長):石丸謙二郎
近藤時男(警務課長):本田博太郎
藤原あきら(署長):萬田久子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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映像
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日本語
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