くらし☆解説「箱根山の火山活動 地下で何が?」 2015.05.08


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒10時5分になりました。
きょうは予定を変更して火山活動が活発になっている神奈川県の箱根山についてお伝えします。
災害担当の二宮徹解説委員です。
箱根は有名な観光地ですから気になっている方も多いと思います。
今実際に箱根の地下で何が起きているんでしょうか?二宮⇒先月下旬から火山性の地震が増え始めました。
神奈川県温泉地学研究所の観測では体に感じない地震を含めて先月26日、28日に一日100回を超えました。
いったん減ったんですが5日には260回と最も多くなりました。
気象庁の観測ではこの5日には箱根町湯本で震度1の揺れを感じる地震が3回ありました。
ほとんどは体に感じないごく小さな地震なんですが地震の回数は合わせて1200回を超えました。
きのう、おとといは少なかったんですけれどもきょう午前9時半の時点で50回を超えていますので少し増えてきています。
この6日に火口周辺警報が出されて噴火警戒レベルも2に引き上げられました。
噴火警戒レベル2どういう状況なんでしょうか?噴火警戒レベルは全国30の火山で設定されています。
1から5までの5段階に分かれていまして火山活動の変化に応じて設定されています。
火山活動が高まると火口周辺の立ち入り規制を示す2か入山規制の3に引き上げられます。
もっと活発化しますと避難の準備や高齢者などの早めの避難が必要な4レベル5は住民が直ちに避難すべき非常に危険な状態を示す状態です。
箱根は下から2番目レベル2です。
箱根は行ったことがありますがずいぶん広いですよね。
どの辺りが警戒が必要なところですか?こちらの地図で見ますと箱根山はいくつもの山や谷がある一帯を箱根山と呼びます。
玄関口の箱根湯本駅周辺ですとか東側に多くの温泉旅館ホテルがあったりします。
西側には芦ノ湖があります大人気の観光地なんです。
今、警戒が必要なのは大涌谷熱い温泉でゆでた黒い卵で有名です。
大涌谷の一部がそうです。
町が避難指示を出したのは半径300mです。
この辺りに住宅やホテルや旅館がありません。
箱根湯本からも8kmほど離れています。
芦ノ湖からも離れています。
お正月の大学の箱根駅伝のルートですけれどもそのルートからも離れています。
大涌谷を越える箱根ロープウエーですとか運休になっています。
一部の県道と大涌谷周辺のハイキングコースが閉鎖されています。
赤いルートですね。
それにしてもなぜ活発化しているんですか?噴火のメカニズムを簡単な図にしました。
火山の地下にはマグマがたまっています。
マグマだまりです。
その上に地下水、火山ガスがたまっているんですけれどもマグマの熱で地下水が熱せられて熱水になります。
噴き出しているのは地下水などが熱せられて出てくる蒸気です。
ふだんも噴気が出ています。
ただマグマが動いたり地下水が急激に熱せられたりすると噴気ではなく勢いよく飛び出す石や土砂を噴き出す噴火というものになります。
箱根山では山全体が膨らむ地殻変動が活動の中で観測されています。
これはマグマが動いたり地下水が水蒸気になって膨らんでいると考えられます。
噴火というと去年の9月の御嶽山の噴火を思い出すんですけれどもあのときのように噴火する危険性はあるんですか?大涌谷周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性があると警戒を呼びかけています。
地震や山の膨らみを注意深く監視しています。
今後地下の圧力が高まれば小規模の噴火をするおそれもあります。
最近ニュースの中で煙突のようなものから勢いよく蒸気が上がっている様子が見られます。
この蒸気は温泉をくみ上げる設備から出ているもので火山ガスが混じった噴気ではないんです。
ここにいる人たちも許可を得て行って作業をしています。
箱根山がこれだけ活発になるのは珍しいことなんですか?火山の噴火の歴史なんですが3000年前と800年ほど前に噴火をしました。
気象庁によりますと3000年前と800年前に噴火したんですが3000年前の噴火では川がせき止められて芦ノ湖ができたとされています。
12世紀から13世紀ごろの噴火それ以降噴火の記録はありません。
ただ地震活動が活発になることはありました。
平成13年には体に感じない地震も含めて1万4000回近い地震が観測されました。
地殻変動や温泉水が勢いよく噴き出すという現象もありました。
平成23年4年前の東日本大震災を引き起こした巨大地震の直後一時的に地震活動が活発になりましたが、この2回いずれも噴火はしませんでした。
実際にこういう状態がいつまで続くんですか?残念ですがそれは分からないんです。
火山噴火は災害の中で特にやっかいと言われるんですけれどもそれはなぜかというと突然噴火することもあれば何か月、何年も噴火をしないまま怪しい状態が続くということもあるんです。
特に箱根山は過去の記録がほとんどありませんのでどういう状況で噴火が起きるのかどうすれば収まるのかなどのデータが足りないんです。
そんな中でどういう点に私たちは気をつけたらいいんでしょうか。
立ち入りが禁止されたエリア道には入らない。
御嶽山のように目の前で噴火しますと規模は小さくても大きな噴石が飛んできます。
その大きさは、大きいもので50cmぐらいはあるといわれています。
立ち入り禁止の道路や地域には絶対に入らないでください。
でも観光地ですからお土産物屋さんですとか、ホテルや旅館影響が気になりますよね。
地元、箱根は風評被害が広がらないか心配しています。
私は平成12年の有珠山の噴火を現地で1か月以上取材したんですけれどもそのときも周辺の観光施設に風評被害が広がりまして有珠山から約20km以上離れた登別温泉でも観光客が減りました。
今回箱根町が避難指示を出したりロープウエーを止めたりというのは観光地としては苦しい決断だったと思います。
こうした素早い対応というのは御嶽山の悲劇を教訓に関係者が集まってマニュアルを作ったり訓練をしたりということをしてきた成果でもありますし観光客の安全をより確実に確保しようとしたからです。
こうした中で箱根町は規制がごく一部だということを知ってほしいと訴えています。
最近は箱根以外の火山のニュースというのもよく聞きます。
ほかの火山の状況はどうなんでしょうか。
現在レベル4やレベル5の火山がありません。
レベル3は去年噴火した御嶽山桜島、口永良部島レベル2はこのようなところです。
巨大地震と火山活動の関連は解明されていませんが東日本大震災のあと各地で火山活動が活発になりました。
火山に近づく際は気象庁や地元が自治体が出す最新の情報に注意するとともに入山などの規制を必ず守ってほしいと思います。
二宮徹解説委員でした。
次回のテーマは、こちら。
担当は島田敏男解説委員です。
料理家の栗原はるみさん。
2015/05/08(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「箱根山の火山活動 地下で何が?」[字]

NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…二宮徹,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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情報/ワイドショー – 健康・医療

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