きょうの健康 メディカルジャーナル特集 医療の未来「負担の少ない手術」 2015.05.05


4年に1度開かれる…会場でひときわ目を引いたのが…高精細カメラと自由に動くアームを装備しおなかを開けずに手術を行う事ができます。
今日は負担の少ない最新の手術についてお伝えします。
「きょうの健康」今週は日本医学会総会一般展示の会場から「メディカルジャーナル特集医療の未来」と題してお送り致します。
早速ゲストをご紹介致します。
ますだおかだの増田英彦さんですどうぞよろしくお願い致します。
お願いします。
(拍手)今ちょっとご覧頂いただけでもどうですか?何かすごいロボットが出てきましたね。
それが手術を行うんですよ。
ねえ!楽しみですよね。
ちょっと楽しみですね。
教えて下さる方ご紹介致します。
がん研有明病院消化器外科胃担当部長の比企直樹さんでいらっしゃいます。
胃がんの手術がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
(拍手)まず今どの辺りまで進んでいるのか教えて頂けますか?そうですね胃の手術ですが開腹手術それに加えて腹腔鏡という手術ですね。
そして内視鏡の手術があります。
例えば胃がんになってしまった時転移がない場合はこの内視鏡手術という方法がとられます。
つまり胃カメラといわれるようなもので胃の中に内視鏡を挿入して胃の粘膜を剥ぎ取るような手術をします。
もし万が一転移の可能性があった場合もしくは転移があった場合は腹腔鏡手術という方法でおなかを炭酸ガスで膨らませてテレビを見ながら手術をするといった方法があります。
この腹腔鏡手術というのは最近よく聞く言葉ですよね。
ちっちゃな傷でそこに器具を入れて手術すると。
そのとおりです。
傷が小さいというのはもちろんの事あと出血が少ないんですね。
あとは出血の少ない手術なので体に負担が少なくて回復が早い訳ですね。
ところが高度な技術が必要という事になります。
つまり難しい手術であるという事も一方ある訳ですね。
直接見てない段階で操作する訳ですもんね。
そうですね手で触ったりとかできませんから鉗子を入れてカメラを見ながら手術する訳ですから。
…って事は経験が更に必要になってきますよね。
経験が必要になりますしトレーニングも必要になりますね。
こういう手術の難しさについては最近ニュースなどにもありましたが患者側が医師の技術の高さといいましょうかそういうものを知る手だてみたいなのはあるんでしょうか?内視鏡外科学会という所が技術認定医という免許を与えてるんですね。
資格を与えてるんですね。
言うたら認定されてるかどうかというのは我々一般の人とかすぐ分かるんですか?内視鏡外科学会のホームページに行けば分かるんですね。
あとは症例数よく雑誌にあるじゃないですか。
何例やってるとかランキングみたいに書いてある。
そういった症例数も非常に参考になりますし。
多い方がいいんですよね?あとはですね病院の雰囲気とかコミュニケーションがいい病院とかあまり怖くない病院ですね。
そういった所がいいんじゃないかと僕思うんですけど。
見た感じの雰囲気ですか?それすごい大事なんですね結構。
そうですか。
はい。
行った時の感じた優しさとか看護師さんが優しいとかそういう事は非常に重要かと思います。
さあそれでは今度は更に進んだ手術負担の少ない手術ですねご覧頂きましょう。
今外科の世界で注目を集めているのがロボットを使った手術です。
この手術支援ロボットは高精細カメラと3本のアームを装備。
執刀する医師は離れた場所で操作を行います。
体の中を3D画像で見ながら指先を動かします。
その動きがコンピューターを通してロボットに伝わりアームが正確に動くのです。
そして腹腔鏡との大きな違いが。
これが通常の腹腔鏡の手術用の鉗子ですけれども手首が全くこの位置で曲がらないんですけれどもロボットの場合は関節を持ってるという事。
この自由度が付け加える事によってスムーズな操作ができるという事です。
手首が全く曲がらずに日常の操作をするのと手首を自由に使って操作するこの大きな違いがあります。
更にこのロボットにはもう一つ大きな特徴が。
それは手ぶれ補正機能。
体の奥に臓器がある場合でも周りの臓器を傷つけにくく繊細な作業ができるのです。
これ遠い将来ね近い将来かも分かんないですけど東京と大阪に離れてもねできるようになるんじゃないですか?まさにそのとおり。
さすが増田さん。
これを目的に開発されたのがこの機械なんですね。
じゃあ日本でも近い将来ですね。
そういう事もありえると思います。
さあまだまだ最新の負担の少ない技術ご紹介下さい。
次はですね腹腔鏡という道具を使っておなかの中の肝臓の表面を見てるんですけれどもどこが病変か増田さんお分かりになりますか?白くプツッと腫れ物みたいにできてるのがあれががんですか?実はですね種明かしをすると蛍光法っていう方法を使ってやりますともっと大きな範囲でもしくは深い範囲で病変があるという事が分かるんですね。
これ表面だけじゃなくて深い所までがんがあるという事が分かるんですねこれで。
プツッと出てるのあれはがんではないんですか?あれもそうなんですけどあれプラスあれだけの範囲のがんがあるという事なんですね。
見えない所にやっぱり。
ICG蛍光法といってあそこにピカッと1か所光ってます。
大きな範囲でしっかりと取ると。
光ってる所以外も大きめに取ってましたよね。
あれはしかたがないんですね?がんというのは何センチ離して取りましょうとかしっかり取りきりましょうという決まりがあってこれ以上近づくと取れないっていう取り残しがあるというような範囲があるので。
あれが限界なんですね?限界です。
あれでも正確に取ってるという事になります。
がんを取り残さないで取るべき所だけを取ると。
それによってですね正常な部分は残るのでそのあとの生活が守られる。
そうですか。
比企さんご自身もまさに胃の分野で腫瘍の部分だけを取り除くとそういう研究をしてらっしゃるんですね。
そうですね。
胃というのは面白い臓器で非常に多くの機能を持ってて全部取ってしまうとその機能全てを失ってしまうのでその機能を残そうという研究を盛んにしております。
例えば胃の出口に近い所にできるとこの幽門という胃の出口が切り取られます。
そして2/3ぐらいの胃を切り取らなければいけないんですね。
次に胃の上の方にがんができてしまうと噴門といって非常に重要な部分そして食道そして十二指腸全て取んなきゃいけなくなってしまうんですね。
次に万が一病変がちっちゃかった場合は胃の上1/3だけを取りましょうという事なんですけれどもでも噴門という場所非常に重要ですのでこの部分を切り取られてしまいます。
そして切り取られた場合の後遺症なんですけれども胃の内容が噴水みたいに噴き上げられるんですね。
あとごはんがまずくなってしまったりとか味覚がどんどん変になってしまうという事になります。
つまりごはんが全然楽しくないよと。
食べるのはつらいよという事になる訳なんですね。
あとおなかがすかないというか。
すいたという感覚が…。
なくなっちゃったりですね。
あと冷や汗が出たりとかドキドキしたりとか下痢になったりとかやがては低血糖っていって意識がなくなるような事なんです。
全摘出になった場合というのは?全てを失ってしまいます。
これ全てですか?はあ〜それはきついですね。
非常にきついですよね。
できたらしたくないという事になります。
具体的に正常な部分を多く残すために…。
私が考え出した方法でLECSという方法があるんですね。
この方法は究極の機能温存手術という事になるんですけれども正常な部分をなるべく多く残すという方法なんですね。
例えば内視鏡手術と腹腔鏡手術って得手不得手があるんですね。
腹腔鏡で手術をした場合外から見ますので例えば風船の中にボールがあって外からどこにボールがあるかっていうのが分からないんですよね。
分からないので内視鏡だと分かりやすいと。
ところが内視鏡で切れば正確には切れるかもしれないですけど胃の外の病変は切れない。
あとは切ったあとですね縫う事はできないといった欠点があるんですね。
これらをお互いに補完し合うというか力を合わせようという感じですね。
さあその手術ですね。
どんな手術なのか実際にご覧下さい。
この患者さんは胃の機能をできるだけ温存する最先端の手術を受けました。
この方の場合胃には3センチほどのGISTと呼ばれる悪性の腫瘍がありました。
粘膜より深い所に腫瘍があるため内視鏡で取る事はできません。
通常は開腹または腹腔鏡の手術で胃の上部1/3または胃を全て切除します。
しかし胃の上部がなくなると食欲に関わるホルモンが出なくなってしまいます。
そこで行われたのが…腹腔鏡を扱う…内視鏡を扱う…2人の医師が胃の中と外の2つのカメラで腫瘍の位置を確認しながら切除していきます。
まず内視鏡が胃の入り口付近にある腫瘍を映し出しました。
胃の内側から内視鏡のメスで腫瘍を最小限の範囲で切り取っていきます。
こちらは胃の外側。
普通内視鏡のメスを貫通させる事はできませんが腹腔鏡が外で待ち受けているためメスを貫通させて胃の壁をきれいに切除する事ができるのです。
切除のあと傷を縫うのは腹腔鏡です。
このように腹腔鏡と内視鏡を組み合わせる事で食欲に関わる部分を残す事ができたのです。
入ります。
どうですか?調子は。
手術後の経過は良好です。
胃を大きく切除せずに済んだため食欲も以前とほとんど変わりありません。
はあ〜いやすごいですね。
内科医の方と外科医の方よく何かドラマとかでは内科医の方と外科医の方が対立するみたいなね。
よくご存じで。
そういうの見ますけど大丈夫ですか?ドラマだけじゃなくて結構そういう事もあると思うんですけどもこの手術はまさにランデブー手術といって仲良くやるので友情が芽生えるというかディスカッションものすごくするんですよ手術中。
どっちがどうやってどうしようって言って助け合ってもうちょっと角度を変えてとかやってお互いに助け合うんですね。
言うたらもうコンビですね。
そのとおりです。
ボケとツッコミ。
まさに。
病院の世界でボケおったら困りますけどね。
役割分担がちゃんとしてると。
そうです。
私はできたらこの方法が早期胃がんに適用されていけばいいんじゃないかなと思うんですね。
早期胃がんの場合はぐらいの確率でこのリンパ節に転移してるんですけれどももしかしたら取らなくてよかったかもしれない部分取られてしまうんですね。
ところがこのリンパ節の転移が分かるようになってくれば多くの人たちは切らないで済むつまり取られないで済むという事になります。
…ってなると早期発見で病院に行くって事が大事ですよね。
すごく大事ですね。
そしてこの技術の進歩が助けてくれますね。
ふだんからの検査も必要になってくる訳ですね。
非常に重要になると思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
(拍手)2015/05/05(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 メディカルジャーナル特集 医療の未来「負担の少ない手術」[解][字]

前立腺がんなどの「ロボット支援手術」、肝がんの「がんを蛍光で光らせて行う手術」、胃の悪性腫瘍で行われている「LECS=腹くう鏡と内視鏡の合同手術」を紹介する。

詳細情報
番組内容
従来の開腹手術は傷口が大きいことなど、患者への負担が少なくない。そこでその負担を減らすため、さまざまな手術法や医療機器が生み出されている。番組では、前立腺がんで行われている「ロボット支援手術」、肝がんで行われている「がんを蛍光で光らせながら行う手術」、胃の悪性腫瘍で行われている「LECS=腹くう鏡と内視鏡の合同手術」などを詳しく紹介する。
出演者
【ゲスト】増田英彦,【講師】がん研有明病院部長…比企直樹,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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