にっぽん紀行「この山と暮らして〜新潟 南魚沼市〜」 2015.05.04


うんお握りおいしいな。
うん米が違うのかな。
どうも!ここはですね米どころ新潟県南魚沼市に来ています。
見て下さい。
また雪が残ってますね。
今日のテーマはお握り!…ではなくて僕がいるここ。
この山なんです!町のすぐそばにある小さな山。
地元の人たちにとっていつも身近にある特別な場所なんです。
今日はこの山と共に暮らす人たちの物語です。
皆さんどんな思いで登っているんでしょう。
僕も登ってみたいと思います。
よいしょ!
(テーマ音楽)こんにちは。
おはようございます。
週に3〜4回ぐらいは来てますかね。
ストレスが全部発散するの。
新潟県の内陸部にある南魚沼市です。
冬は3mもの雪が積もり3月でも田んぼは白く覆われています。
雪深いこの町に人々の暮らしを見守る山があります。
市の中心街から歩いて15分の坂戸山です。
標高は東京スカイツリーと同じ634mです。
麓から尾根伝いに登り山頂まで1時間です。
町に近く気軽に登れる坂戸山には冬も人が絶えません。
みんなのお目当てそれは…。
山頂から一望できるふるさとの絶景です。
こういう景色見るとねこの地に生まれてよかったと思うよ。
あともうちょっと!身近な坂戸山は地元の子供たちが最初に挑む山。
親子で冬も楽しめる絶好の遊び場です。
朝7時の山頂。
やって来たのはこの山で遊んできた若者3人組です。
仲間の一人が東京で就職するため最後にみんなで登りに来ました。
思いも寄らぬ景色が待っていました。
見渡すかぎりの雲海です。
いつも見下ろす町がまるで別世界。
この季節この時間だけの特別な風景です。
坂戸山からのエールを胸に社会人頑張って!山の2合目で麓の農家が掘り出すのは鳥居。
先祖代々農作業を始める前に豊作を祈ってきました。
(かしわ手)山の斜面で雪の道を作っている人がいました。
週2回山に来て作業しています。
滑りやすい場所や大きな段差がある所は登りやすいように階段を作ります。
足を取られた場所は次の人が転ばないようすかさず埋めます。
文雄さんが道直しを続けているのは山頂からの景色を一人でも多くの人に見てほしいからです。
心の底からこう…何ていうかな「わ〜着いた!」というかさそういう表情だよね。
そういうのを見てると自分でもまたある意味感動というのかなうれしいですよね。
坂戸山から車で5分の場所に文雄さんは暮らしています。
日課は山の観察です。
次にどこを直しに行くか道の様子を念入りに確かめます。
7.5ぐらい。
7.5。
ふ〜ん。
お握りを作るのは…文雄さんと共に長年坂戸山に登ってきました。
文雄さんと朝江さんは坂戸山の麓で生まれ育ちました。
小学校の同級生で初めて山に登ったのは遠足でした。
24歳の初デートも坂戸山。
山頂から町の夜景を眺めました。
心の距離を縮めた2人はやがて結婚。
夫婦になってからも子供や孫と山に登り続けてきました。
子供たちが自立した今はそれぞれのペースで山を楽しんでいます。
(朝江)そう?
(朝江)よし。
ではね。
文雄さんはその場にとどまり早速道直しを始めます。
朝江さんは一人で山頂へ。
おやこっちか。
おっとっと。
最近膝の調子が悪く冬は登りづらさを感じています。
万歳。
(かしわ手)はぁ。
登る回数は年々減りますがそれでも楽しみにしているのがこの景色です。
自分ちが登ると見える。
見えたというか見えるというかが。
1時間後。
文雄さんの道直しも一段落していました。
どうも。
こんにちは。
ここ数年は道直しで体力を使い頂上まで登らずに下りる事も増えてきました。
これは今日握ってもらった栗御飯。
坂戸山の栗。
ふふふ…。
(取材者)坂戸山の栗なんですね。
(文雄)ええ。
おいしいですよ。
見るからにおいしそうだね。
(取材者)ねえほんとに。
(文雄)よく出来たな。
文雄さんはこの地域でバスの整備士をしています。
中学卒業後町に増え始めた自動車に憧れて就職。
50年以上働き続けてきました。
地道な点検と修理。
人々の安全を守る熱意は雪山の道直しと同じです。
すごいですよ。
丁寧丁寧。
(文雄)大ざっぱな…。
上村さんがいなきゃ動かないもんな。
地域の足を支える事に誇りを感じ定年後も続けてきた仕事。
しかし67歳になる今年3月で退職する事を決めました。
理由は持病の心臓病と年々体力が落ちてきた事。
大きく重い部品を扱う事に限界を感じていました。
今年はもういろいろこうあちこちが痛くなったりするんで大きな事にならないうちにね。
節目の春が近づいていました。
春ですね。
待ちに待った春です。
退職を決めてから文雄さんはこれからの人生について考える時間が増えていました。
これまでのようには仕事や登山ができなくなり不安を感じていたのです。
年取りたくないねこれからは。
見始めたのは坂戸山で撮りためた写真です。
坂戸山こんな道だったんだ。
一枚の写真にふと目が留まりました。
(取材者)お気に入りの写真なんですか?あまり頂上で2人で写ってる写真はないのでどこかにあるはずだがなと思ったらこれ見つかったんで。
17年前山頂で撮った写真です。
娘たちが家を離れたさみしさを紛らわそうと2人で山に登りました。
3月半ば。
この日は文雄さんの67歳の誕生日です。
お誕生日に赤飯。
でもねうちよく赤飯するの。
2人して好きだから。
全然誕生日だの例えば何かじゃなくとも。
アジです。
気持ちだけね。
ほんとの尾頭付きはもっとタイとか何かなんだろうけど。
並ぶのは文雄さんの好物ばかりです。
じゃ乾杯。
はい。
67歳おめでとうございます。
ありがとうございます。
体の衰えを感じながら迎えた誕生日。
いつまでも坂戸山に登っていたい。
文雄さんは強く思っていました。
(すすり泣き)
(朝江)泣かなくたっていいよ父さん。
うん…。
(朝江)また行けるよ。
うん。
(朝江)子供たちも山好きだから。
ふふふふ…やっぱり思い出があるんだよな。
うん…そんな事あんまりいつもいつも感じてるわけじゃないけど。
3週間後2人は久しぶりに山に行く事にしました。
(朝江)2人分です。
お父さん出来たけどそろっと行ってみます?行かれる?
(文雄)よっこいしょ。
いや〜気持ちいいね。
この日の文雄さんはいつもと様子が違いました。
道直しに立ち止まらずに朝江さんを先導します。
雪を崩し始めました。
歩きづらい場所を事前に見つけ雪をよけていきます。
今日は妻のための道作りです。

(朝江)疲れるけど登りやすい。
久しぶりに来たから疲れるけど。
いいよ大丈夫だよ。

(朝江)もう2〜3日かね。
(文雄)ほらヤマザクラも咲きそう。
2人で一歩ずつ山頂へ。
(かしわ手)今年初めて2人で来た坂戸山の頂です。
この山はいつも元気を与えてくれます。
あああれが咲いてきた。
ほらコブシ。
(朝江)日当たりだよね。
尾根の北側に咲くんだよね。
・「こぶし咲くあの丘北国のああ北国の春」
(2人の笑い声)我々社員で一同で…。
受け取って下さい。
社員?湯沢の人?そうです。
ありがとうございました。
長い間ご苦労さまでした。
文雄さんが選んでいるのは先日撮った2人の写真。
(文雄)これも悪くねえな。
夫婦の新たな時間が始まります。
(朝江)ゆっくりゆっくりこれから先をスタートしていく一枚になればいいかな。
80になった時にこんな写真がもし撮れるようであればすごい事だと思うけどそれは分からない。
でも80近くで登ってる人もいるからね。
まあ健康だったら。
その写真を撮りに行くのをじゃあ目標に。
それはすばらしい目標だな。
いいじゃん。
坂戸山には今日もこの山と共に暮らす人々。

(文雄)結構まだつぼみがあるから。
(朝江)これからまだまだだよねこの先はね。
さすが桜の季節。
(文雄)あったかくなってきたな。
ゆっくりと歩みを進める春です。
2015/05/04(月) 18:10〜18:35
NHK総合1・神戸
にっぽん紀行「この山と暮らして〜新潟 南魚沼市〜」[字]

おばあちゃんに学生、犬までも登る雪山!?日本有数の豪雪地帯、新潟県南魚沼市に、冬でも毎日地域の人々が登る山がある。故郷の山と、山に見守られ生きてきた人々の物語。

詳細情報
番組内容
コメどころの南魚沼市。田んぼが雪に覆われる冬、地域の人々でにぎわうのが、市の中心部にある標高634メートルの坂戸山(さかどやま)だ。古くからコメの豊作や出稼ぎ中の家族の無事が祈られてきた町のシンボルで、多い時には1日200人以上が訪れる。初デートから40年以上登り続ける夫婦に、テレビゲームより山遊びが好きな若者たち。人々はなぜこの山を登るのか。厳しい冬から芽吹きの春にかけて、山と人々の絆を見つめる
出演者
【出演】原田泰造

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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