国内大手電機メーカーを経て、DeNAに中途入社。大学院で情報科学を専攻し、検索技術を研究。前職では文書管理システムの開発などに携わる。一方、社外活動でNode.jsの技術者コミュニティに参画し、現在は日本のユーザーグループの代表を務める。そこで培ったNode.jsの技術を活かして、いままでにないユーザー体験を創ってみたいとDeNAへ。現在、リアルタイムWebを実現する独自のテクノロジーを、ゲーム開発に展開していくプロジェクトのリードエンジニアを担当。

エンジニアというのは、新しい技術が現れるとやはり「自分で試してみたい」という欲求が湧いてくるものです。私は以前、大手電機メーカーで文書管理のソフトウェアの開発に携わり、サーバーサイドのJava構築を手がけていたのですが、そこで出会ったのが "Node.js"。当時からリアルタイムWebに関心があり、もっと手軽で高速で動く新しいアーキテクチャーはないかと探していたところ、サーバーサイドJavaScript環境であるNode.jsの存在を知って強く興味を持ちました。
このアーキテクチャーを究めたいと調べていくうち、Node.jsに関する技術者のユーザーグループがあることが判り、私も勉強会に参加。そこで交流を持った社外の技術者の方々に大いに触発され、そこから私の意識が変わっていきました。自分と同じ年齢なのに、本当に優秀だなと感服するような方もいらっしゃって、彼らとWebの新しいテクノロジーについて議論するのは本当に面白かった。そして、そこで学んだ新しい技術をぜひ実践で試してみたいと思うようになったのです。
しかし前職の大手メーカーでは、手がけていたのが、BtoBの製品でしたので、開発側の思惑だけでドラスティックに新しい機能を入れるのは、難しい部分も多かった。一方で、Node.jsのユーザーグループにはより深く関わるようになり、自分で作ったライブラリなどを発表していると、そうした活動が人材エージェントの方の目に留まって、いろいろな企業からスカウトの声がかかるように。それで転職を意識するようになり、Node.jsのユーザーグループ内で「DeNAが面白い」という評判を聞き、一度話を聞いてみようとアプローチしたのです。
たまたまDeNAに私が在籍していたメーカー出身のエンジニアの方がいらっしゃって、その人から「ここは自由な環境で、個人に技術選択の裁量を持たせてくれるよ」という話をうかがい、こうした場に私も身を置きたいととても惹かれました。DeNAが手がけるゲームは、人と人とのコミュニケーションが重要であり、そこに自分が培ってきたNode.jsの技術が貢献できるのではないかという思いもありました。正直、前職の名の知られた大手メーカーを離れることに未練がなかったかといえば嘘になりますが、それよりもエンジニアとしての自分の好奇心がまさって、転職を決心したという感じです。

入社して最初の半年は、ゲーム開発の案件にヘルプとして参加し、パキスタンの技術者たちと一緒に開発業務にあたりました。ゲームを作るのは初めてでしたが、技術的にはすぐにキャッチアップできて特に問題はありませんでした。ただ、いきなり外国人との協業でしたので、チーム内でのコミュニケーションには少し苦労したものの、個人的にはいい経験になりました。その後は、開発部門に向けて新しい技術を導入するというテーマに自由に取り組ませてもらっています。入社前、個人が裁量を持って開発できると聞いていましたが、とはいえ何かベースとなるシステムがあるのだろうと思っていたら、根本的なところからチャレンジさせてくれる。想像以上に「自分のやりたいことができる」環境です。
そして入社1年経たない頃から、新たに立ち上がったプロジェクトのリードエンジニアを担うことに。これは、Node.jsを使ってリアルタイムでインタラクティブなWebアプリケーションを作る独自の技術を、ゲームの開発運用の現場に新たに展開していこうというプロジェクトで、すでにここから"QuizNow(クイズナウ)"などのアプリが生まれています。"QuizNow"は不特定多数のユーザーがリアルタイムでは早押しクイズをやるというゲームで、まさにNode.jsの強みが存分に発揮されています。高速かつシンプルにサーバーサイドの技術を構築できるNode.jsをさらに深く究めて活用すれば、新しいゲームの可能性が次々と拓けるのではないかと思っています。
DeNAに転職してからも、Node.jsのユーザーグループには引き続き関わっており、現在は日本の代表を務めています。Node.jsに関する全国規模の勉強会を開催したり、講演に出かける機会も多々あります。近々、ヨーロッパで開催されるNode.jsのカンファレンスにも参加し、そこで海外の技術者たちとの交流を深めてくる予定。DeNAはこうした社外活動を積極的に支援してくれる会社であり、エンジニアにとってはうれしい環境です。
そしてもうひとつ、DeNAでキャリアを積むことで自分の成長につながったと感じるのは、物凄いエンジニアたちに囲まれて仕事ができるということ。技術者として私はある程度自信を持っていたのですが、上には上がいることを思い知らされました。あらゆる技術に精通しているオールマイティーな方もいれば、自分の知らない専門領域でとてつもないスキルを持っている方もいる。「どういう人生を歩んできたら、こんな人材になれるのだろう?」といつも呆然とさせられます(笑)。こうした本当に尊敬できる先輩方から影響を受けて、私自身の技術のアンテナもいっそう高くなり、スキルも尖ってきたように思いますね。

Node.jsに関しては、ユーザーグループ代表を務めていることもあり、日本では第一人者だという自負があります。海外ではすでにスタンダードな技術になっていて、巨大なECサイトにも使われているほど。Node.jsでより高度なリアルタイムWebが実現すれば、ユーザーとのコミュニケーションが活発になり、きっと新しいエンターテインメントが生まれていく。それを自分の手でリードし、いままでにないユーザー体験を世の中に提供していきたいですね。
新しいテクノロジーを学んで自分の技術力が広がっていくと、作りたいものがどんどん増えていきます。それをプライベートではなく、仕事の場で実現できれば、言うことはありません。DeNAはそれがかなう場であり、自分がやりたいことをロジカルに説けば、必ずチャレンジさせてくれる機会を与えてくれる。新しい技術を身につければ、それを膨大なユーザー相手の本番で試せる。エンジニアとして、これ以上刺激的な場はないと思いますね。