日米両政府は8日夜、在日米軍再編計画の見直しに関する新方針を発表した。一体になっていた米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設と沖縄の海兵隊のグアム移転を切り離し、先行して海兵隊をグアムに移す。中国の台頭をにらみ米軍のアジア太平洋体制の強化を急ぐ。日本にとっては米側との戦略の擦り合わせが、さらに重要になる。日米が合意した普天間基地の沖縄県名護市辺野古への移設計画を「唯一の有効な進め方」と堅持する立場も表明した。
今回の方針に基づき、2006年に日米が合意したロードマップ(行程表)の内容を修正する。今後「数週間から数カ月の間に」結論を目指す。4月にも外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、新たな行程表を決定する考えだ。
日米両政府は米海兵隊のグアム移転に関して、現行計画の約8000人から約4700人に縮小し、残る約3300人をオーストラリアやフィリピンなどに分散移転することで大筋合意している。振り向け先は今後両国間で詰める。
野田佳彦首相は8日、玄葉光一郎外相と田中直紀防衛相からの報告を了承したうえで、抑止力維持と沖縄県の早期負担軽減に向けて米側と協議するよう両閣僚に指示した。外相は同日夜の記者会見で、「普天間基地の固定化を容認するものではない」と強調した。
同時に「米議会の時計に合わせて6~8月にアクションを起こせるか。沖縄の理解をそこまでに得るのは極めて難しい」とも語り、県に対して今夏に辺野古沖の埋め立て申請をするのは厳しいとの認識を示した。
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