吉田晋
2015年5月11日11時49分
ウグイスの「ホーホケキョ」というさえずりは、競争のない環境にいると数十世代で「ホーホピッ」など単純な節回しに変化してしまうとする研究結果を、国立科学博物館の浜尾章二・脊椎(せきつい)動物研究グループ長が米科学誌に発表した。
このさえずりは、オスが繁殖期に発する。縄張りを確保してメスを引きつける役割があり、複雑なほうが有利に働くことが知られている。
研究グループは2010年春、ハワイのオアフ島にいるウグイス24羽のさえずりを録音。音の高さや長さ、上がり下がりの変化、音の構成などを分析し、日本のウグイスと比較した。その結果、ハワイのほうが低く短い音で、音程の変化も乏しい単純な構造になっていたという。
ハワイで野生化しているウグイスは、日本から約80年前に複数回持ち込まれたという記録が残る。日本のウグイスが季節ごとに移動して春先に繁殖地で縄張り争いをするのに対し、ハワイでは通年同じ場所にとどまり暮らしている。
日本でも小笠原諸島などでは単純なさえずりになる傾向がある。ハワイのウグイスは日本本土から持ち込まれたと考えられるという。
浜尾グループ長は「環境に応じて、さえずりがこれほど短期間で大きく変化してしまうとは驚きだ」と話す。(吉田晋)
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