リーチサイトとメディアの問題

@Copy__writingやSpotlight上の無断転載が話題になっている裏で、とあるブログ記事がはてぶ新着入りしていました。

GMOペパボでソフトウェアエンジニアをやってらっしゃる方のブログ記事です。
プライベートでアダルトサイトを作成しているそうで、記事中の「babyshark」のほか、「h300」といったサイトも彼が作成し運営しているようです。

お仕事ならともかく個人で中身のあるアダルトサイトを運営するというのは、周囲の視線や権利のあれこれで結構大変だったりします。
その点、知名度のある企業に勤めていることを明らかにしサイト上で氏名を公表したうえで、

エロドメイン配下で記事を書いてもまったく拡散されなくて、身近にいる同僚にすら伝わっていなかったので改めてここに書きます。GW だし許してもらえるっしょ。

と周囲の視線を全く気にしないそぶりをみせる彼にわりと衝撃を受け、ではどんなサイトだろう?とワクワクしながら飛んでいったところ・・・

リーチサイトだぁぁぁあ!!!

リーチサイトとは?

リーチサイトとは違法なコンテンツへのリンクを集めたサイトのことです。
厳密な定義は定まっていないようですが、様々な形態があります。
こちらの資料(PDF)が分かりやすくまとまっています。
今回の場合、

  • babyshark
  • h300

の2サイトはまさに視聴誘導型リーチサイトと言っていいでしょう。
サイト内のコンテンツといえば、違法アップロード動画が跳梁跋扈している悪名高いサイトへのリンクで占められています。

またh300については絶賛広告掲載中であり、babysharkについても、

(7) 広告・ソーシャルボタンを削除
少しでも高い効果を上げたかったのでユーザーにとって不要だと思われるものはバッサリ削除した。一時的な収入の低下は我慢。

とのことで広告を掲載し収入を得ていたことが推測できます。
リーチサイトそのものが違法であるかは微妙な問題だそうで、その件については触れません。
ですが褒められた行為でないことは明白だと思います。

リーチサイトの問題点

それだけではなんなので、せっかくですからリーチサイトの問題点について考えてみます。
最大の問題は当然ですが権利侵害の被害を拡大する点にあるでしょう。
Google等で検索した場合、違法コンテンツが直接表示されるケースは随分減りましたがリーチサイトはなお上位に表示されています。
これは違法なコンテンツを探すユーザーだけでなく、合法的なコンテンツを探すユーザーまでもが違法なコンテンツに誘導されうるという意味でも見逃せません。
権利者の収益を減らし、無関係な人間がコンテンツを二束三文の広告費で叩き売り筋違いの収益を得ているわけです。
昨今問題視されているキュレーションメディアの問題と似ているというか、きっと同根なんでしょう。

キュレーションとソーシャルメディアで拡散するリーチサイト

最近よく見かけるのが、リーチサイトがキュレーションメディアやソーシャルメディアを介することで、ユーザーが違法コンテンツをそうとは知らずに拡散させてしまうケースです。

例として、津田大介さんの2015年5月1日のツイートを見てみます。

ツイートの内容はテレビ朝日「モーニングバード」内のコーナー「そもそも総研」の動画が埋め込まれたページへのリンクです。
埋め込まれている動画はYouTubeのもので、投稿者の名前を見るに公式動画とみなすのは難しいでしょう。
ハッシュタグから推測するにNewsPicksというキュレーションアプリを通じてツイートされたようです。

このリンク先の「@動画」というサイト全体を見ると、違法アップロードされたと思われる動画の埋め込み記事が多数見つかります。
NHKスペシャル・時論公論・クローズアップ現代あたりは特に目立ちます。
解説も公式サイトから丸々引用したものが多くあります。(これが引用の範疇にあるかは大いに疑問ですが)

このようなサイトの様態からいって、リーチサイト的な側面があると言っていいでしょう。

ちなみにこのサイトはGoogleのアドセンスで収益を得ているようです。
アドセンスは厳しい規約と取り締まりで知られていますが、よく広告を維持できているものです。
ですが「そもそも総研」とGoogle検索をするとモーニングバードの公式サイトより上位に表示されるあきれた状態ですから、Google的には信頼できるサイトなのかもしれません。

さて津田さんは「違法ダウンロード刑罰化」に関して国会に参考人として呼ばれるほどの方です。
当然著作権やそれに付随する様々な問題について、一般人である私よりも十分な知識・見識をお持ちのはずです。
ところが結果的に違法アップロードされた動画の拡散に加担してしまった現実があります。
本事例はユーザーの側がいくら自覚を持とうと違法なコンテンツを回避することが難しい事の表れかもしれません。

念のためですが、津田さんを非難する意図で記事を書いているわけではありません。
NewsPicksが配信してきたもの(?)を、シェアしただけで責められるのも気の毒な話です。
メディアから流れてきたコンテンツの出自をいちいち確認するなど徒労でしかありません。
問題の核心部分は違法コンテンツがリーチサイト・キュレーションメディアを介してロンダリングされることで著作権侵害が見えない化している事ではないでしょうか。

リーチサイトに有効な対策はあるのか

正直なところよい方策があるのか分かりません。
闇雲に規制を強化するだけでは一般ユーザーにとって不利益があるでしょう。
ですが無策であってはいけないと思います。

今回の記事で2例を紹介しました。
どちらのサイトも複製を伴わない形態なので視聴そのものは違法ではなさそうです。
サイトの運営が法的にどのように扱われるのかも判断できません。
ただしどちらのサイトも国内サーバーでホストされているようですから、サーバーの利用規約に反するようならお取り潰しもあるかもしれません。

「babyshark」「h300」は主にはてブックマークから、「@動画」は今回の場合「NewsPicks」経由で拡散したようです。
サービスを運営する企業が自社のサービスをより良くするという観点からもう少し努力できないものでしょうか。

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