安保法案:武力行使、「新3要件」すべて明記 全条文判明

毎日新聞 2015年05月10日 07時30分

国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから
国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから

 政府が14日に閣議決定する安全保障関連法案の全条文案が判明した。集団的自衛権行使を容認した昨年7月の閣議決定で示した「武力行使の新3要件」の「必要最小限度の実力行使」に関し、改正する武力攻撃事態法案に「事態に応じ合理的に必要と判断される限度」(3条)にとどめると明記。これにより新3要件は全て法案で明文化された。閣議決定した「歯止め」を法案に盛り込むことで、限定的な行使だと強調する狙いがあるとみられる。

 安保関連法案は、国際的な平和協力活動で他国軍を後方支援するために新設する「国際平和支援法案」と、自衛隊法や武力攻撃事態法など既存の関連法10本を一括して改正する「平和安全法制整備法案」の2法案として国会に提出される。

 集団的自衛権に関しては、武力攻撃事態法改正案の2条に、他国への武力攻撃でも「我が国の存立が脅かされ」、国民の権利が「根底から覆される明白な危険」がある場合を「存立危機事態」と定義し、行使を容認。9条で、行使の際は「他に適当な手段がない」と示すよう要求。「必要最小限度」とともに新3要件を反映した条文案となった。

 国際平和支援法案は「国際社会の平和及び安全の確保に資する」ことを目的とし、活動場所は「現に戦闘行為が行われている場所」以外であれば可能とした。与党協議の焦点だった国会承認では「例外なき事前承認」を要求した公明党に配慮し、「首相は対応措置の実施前に、基本計画を添えて国会の承認を得なければならない」と明記。国会は承認を求められてから「休会中の期間をのぞいて7日以内」に承認を議決するよう求めた。

 一方、もう1本の他国軍への後方支援の法案、重要影響事態法案は、現行の周辺事態法を改正して整備。「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」(重要影響事態)で、米軍や共に活動する友好国の軍への支援による日本の安全確保を目的に掲げた。

 国連平和維持活動(PKO)協力法改正案では、国連主導以外の活動を「国際連携平和安全活動」として容認。国連安全保障理事会などの決議を踏まえた活動や欧州連合(EU)など、政令で定めるその他の国際機関の要請に基づく活動への自衛隊派遣も可能にする。武器の使用基準についてもPKOを含めて任務の遂行が妨害された場合の武器使用などを容認する。

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