【コラム】米国が韓国人の心をつかむには

【コラム】米国が韓国人の心をつかむには

 外交を政府間の取引と見なすなら、「近所のおじさん」のように親しみやすい態度を見せ、息子にも「セジュン」という韓国式のミドルネームを付けたリッパート駐韓米国大使は意味のないことをしていると言えるだろう。金基宗(キム・ギジョン)被告(殺人未遂などで起訴)に刃物で切りつけられた事件の後、韓国国民にツイッター(短文投稿サイト)で「一緒に行きましょう」呼びかけたことも、彼が高邁(こうまい)な精神を持っているためと見るべきだ。だが、リッパート大使の行動をそんな次元で見る韓国人はいないだろう。韓国に対する善意が土台にあるとしても、同氏の行動は外交官のそれであり、もっと言えば米国が韓国国民を相手に行う外交の一部だ。

 米国は、初めからこうした外交戦術を用いていたわけではない。政府だけを相手にしていたときもあった。ベトナム戦争の際、米国はベトナムで政府ばかりを支援し、政府に背を向けた民衆の心をつかむことができなかった。その結果、インドシナの共産化阻止という米国の戦略は失敗に終わった。

 米国は今、台頭する中国をけん制するため、アジア重視の「リバランス(再均衡)」政策を掲げている。韓国と日本がこれに加わるよう望み、日本には日米首脳会談と安倍晋三首相の議会上下両院合同会議での演説という「ニンジン」をぶら下げた。日本がこのニンジンを食べるからといって、韓国が反対する理由はない。私たちはただ、日本の歴史への反省と慰安婦強制動員に対する謝罪が前提になるべきだと要求するだけだ。この要求を、安倍首相が最後まで無視した。これは韓米日協力の亀裂だ。

金泰勲(キム・テフン)デジタルニュース本部次長
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】米国が韓国人の心をつかむには

right

関連ニュース