【北京=大越匡洋】中国人民銀行は10日、政策金利である銀行の貸し出しと預金の、基準金利の引き下げを決めた。貸出金利(期間1年)を0.25%下げて5.1%、預金金利(同)も0.25%下げて2.25%とする。11日から適用する。利下げは3月1日以来、約2カ月ぶり。追加利下げで企業の資金調達負担を軽くし、減速感を強める中国景気を下支えする。
中国の利下げは昨年11月以降だけで、今回を含めて3回となる。人民銀は利下げに加え、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率も今年2月と4月の2回、引き下げた。
特に、4月の預金準備率の引き下げは通例の0.5%刻みではなく、引き下げ幅を1%に広げた。さらに間を置かずに追加の利下げに踏み切り、景気を安定成長に乗せる政策当局の姿勢を改めて鮮明にした格好だ。
人民銀は10日の声明で、今回の利下げについて「(企業などの)資金調達コストを一段と下げ、実体経済の健全な発展を支える」と説明した。景気の現状について「比較的大きい下振れ圧力に直面している」との認識を示し、「経済の構造調整と成長モデルの転換に向けて、緩めでもきつめでもない、適度な金融環境をつくる」と強調した。
人民銀は金利の自由化を進める措置も決め、銀行が裁量で決められる預金金利の幅を広げた。これまで預金金利の上限は基準金利の1.3倍だったが、今後は1.5倍まで認める。3月に1.2倍から1.3倍に広げたばかりで、年内にも上限そのものを撤廃し、金利の自由化に踏み切るとの見方が根強い。
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