(cache) サーチナ|中国で開発中の「世界最速鉄道車両」・・・大切なのは「安全性よりも速度!」=中国メディア  



中国で開発中の「世界最速鉄道車両」・・・大切なのは「安全性よりも速度!」=中国メディア


 中国メディアの中網資訊は7日、四川省成都市にある西南交通大学の震動実験台などで高速列車車両が「時速500キロメートル走行」に成功したと報じた。実際に走行させたのではなく、時速500キロメートルを想定した模擬実験の段階だが、記事は、中国は通常の高速鉄道車両で、日本のリニアモーターカーとの速度競争に「完勝する」と伝えた。  同大学の実験施設の主な設備は高速鉄道車両の性能実験プラットフォーム、基礎研究プラットフォーム、デジタルシミュレーションプラットフォームだ。実験の実施は、西南交通大学の周辺施設が「計画停電」となるので、察知することができるという。  現在開発中の車両は6両編成で、時速500キロメートルを目指している。記事は「日本の浮上式リニアモーターカーは最高時速が500キロメートル。しかし中国の電車はリニアモーターカー技術を用いないで同じ速度を出せる」と主張。さらに、列車がまず実現せねばならないのは目標速度の達成であり、次に大切なのは安全性だと論じた。 ********** ◆解説◆  日本では浮上式リニアモーターカーL0系が4月21日に時速603キロメートルの有人走行(同時点で世界最速)を達成した。「時速500キロメートル」はリニア線として建設される中央新幹線の路線としての設計最高速度であることを、上記記事は誤解している。  中国でこれまでに時速486.1キロメートルの記録を達成したCRH380Aは、日本の新幹線E2系電車をベースとしたCRH2-300を発展させたものだ。中国は自国の高速鉄道を「自主開発」と宣伝しているが、中国政府・鉄道部で副総工程師(技術副主任)を務めた周翊民氏は2011年6月、日本の新幹線以上に高速で走らせていることについて「自分で設計した車両ではない。問題が出たら解決する経験も技術もない。大変なことになる」と述べた。  約1カ月後の7月23日、浙江省温州市内で、200人以上の死傷者を出した高速鉄道の追突事故が発生した。  日本超電導リニアモーターカー(マグレブ方式)の開発を決めたのは、いくつかの理由がある。まずは「地震が多い」との自然条件を考慮した。   マグレブ方式では車両側の“軌道”側の間隔が10センチメートルほどとかなり広い。しかもギャップの値が基準からずれれば、車体を正常の位置に戻そうとする「力学的」な力が働く。そのために、地震などの揺れに対する安全性が高いとされる。  中国では浮上式の上海リニア線が営業している。ドイツが開発した常電導リニアモーターカーだ。同方式ではギャップが1センチメートルほどしかなく、ギャップは電子制御で基準内に保たれるが、想定以上に広がれば車体は落下する。  ただし、日本のマグレブ方式は技術面の難易度が極めて高い。超電導の実現のために必要なヘリウムは世界的にみても稀少は物質で、必要量の安定確保が問題になる可能性も高い。  にもかかわらず、日本が世界初の超電導リニアモーターカーの開発を決意した理由には、「困難な技術開発を自らの手で行えば、周辺分野への波及効果により、産業全体の活性化が期待できる」という旧国鉄時代からの考えがあったという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)