女子高生 橘 ゆかり
私の名前は、橘 ゆかり。
公立高校に通う女子高生です。
我が家は母子家庭で、お母さんが女手ひとつで育ててくれた。
お父さんは、私が生まれる前に交通事故で亡くなっている。
当時のお母さんは精神を病み、私を流産しかけたこともあったらしい。
だけど、いつもお母さんの周りには人がいた。
お母さんのことを心配した親族や友人、職場の人達。
なにより、私がお母さんのお腹の中で常に一緒にいた。
お母さんは人の優しさにふれ、徐々に生きる気力を取り戻し、私を産んだ。
そして、素敵な名前をつけてくれた。
−−−−ゆかり−−−−
私がお母さんのもとに産まれてきたのも、運命という縁。
人と人との縁。
それを大切にして欲しい、と願いを込めてつけられた名前。
お母さんは、ちょっと照れくさそうに話してくれたよね。
お母さんありがとう。
そして、お母さんごめんなさい。
私は、お父さんの似なくていいところが似てしまったみたい。
私は今日、車に轢かれた。
どうか、またお母さんに人の縁が集まりますよう。
1人じゃないことに気づきますよう。
それが、橘 ゆかりとしての最期の記憶。
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