大和証券:「追い出し部屋」で支払い命令 大阪地裁

毎日新聞 2015年04月24日 22時57分

 退職を迫る「追い出し部屋」で一人勤務させられたり、ほとんど実績が上がらない営業を続けさせられたりしたとして、大和証券(東京)からグループ本社の子会社「日の出証券」(大阪市)に転籍した大阪市の男性(42)が、両社に計200万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が24日、大阪地裁であった。中島崇裁判官は「両社が共同で男性を退職に追い込むための嫌がらせで違法」と認め、両社に150万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は1998年大和証券に入社し、2012年に日の出証券に出向。大阪本店営業部に配属後約4カ月間、一人だけ他の部員と別の部屋に席を移動させられ、転籍前も含め約1年間、新規顧客開拓の飛び込み営業に専念させられた。

 中島裁判官は「男性のパソコンは部員と情報を共有できず、歓迎会や忘年会にも呼ばれないなど隔離は明らか」と指摘。日の出証券側は「新規開拓に専念し、空室を有効活用するため」と主張したが、中島裁判官は「飛び込みで契約に至るのは困難で、隔離に意義があるのか疑わしい」と退けた。大和証券については「男性の業務内容の報告を受けていた」と指摘した。

 その上で「態様は悪質で、一時は退職を考えるなど男性の受けた精神的損害は小さくない」と結論付けた。

 判決後、男性は取材に「ほっとしている。グループでパワハラなどの違法行為が今後起きないよう希望する」と話した。大和証券は「主張が一部認められず遺憾」、日の出証券は「主張が一部認められず残念」とコメントした。【堀江拓哉】

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