福井市の消火器販売会社「暁産業」に入社後、1年もたたずに男性(当時19)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が会社と当時の上司に計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福井地裁は28日、「上司が人格否定を繰り返した」とし、計約7200万円の支払いを命じた。
原告代理人によると、未成年へのパワハラ訴訟で自殺との因果関係が認定されるのは全国初。原告代理人は「社会経験も十分でない新入社員を指導する上司のパワハラを認定した意義は大きい」と判決を評価した。
判決理由で樋口英明裁判官は「人格を否定する言動を繰り返し、精神障害を発症させた」と指摘。「発言は指導の域を超えており、典型的なパワハラだ」と断じた。
原告代理人は裁判所が、上司による「うそを平気でつく」「死ねばいい」などの具体的な発言を列挙したことに触れ「今後、同様の発言があればパワハラに当たるという指標になるのでは」と話した。
男性の父親は「当然の結果だと思います」とのコメントを出した。
暁産業は「担当者不在でコメントできない」としている。
男性は自身の手帳に上司の発言を記録しており、2012年7月、福井労働基準監督署が自殺の原因はパワハラと労災認定していた。
判決によると、男性は高校卒業後の10年4月、正社員として入社。仕事の失敗が多いことを理由に、上司から「会社をやめろ」などの言動を繰り返し受けたことで鬱状態となり、同12月に自宅で首をつり自殺した。〔共同〕
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