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東電とソフトバンク、
電力小売の新会社設立へ

電力自由化見据えた異色タッグの真の狙い

週刊ダイヤモンド編集部
2015年5月11日
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ソフトバンクの野望

 「もちろん孫社長も、今回の提携はしっかり頭に入ってますよ」。あるソフトバンクの幹部は話す。

 実は、ソフトバンクでは、昨年夏には、東電との提携を模索する動きが始まった。それが、孫正義社長を含めた明確な意思決定となったのは、今年1月だった。

 1月23日、ソフトバンクは、国内通信事業の競争力強化を図り、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルの4社を合併することを発表した。その際、電力事業についても、主に太陽光での発電を担当するSBエナジーから、傘下の電力販売会社SBパワーを切り離す改編を水面下で決めていた。

 つまり、再生可能エネルギーによる発電事業から電力小売り事業を明確に切り離し、ADSLやiPhoneを売りまくってきた通信部門の営業力を総動員する方向にかじを切ったのだ。

 これを支えたのが、新ソフトバンクモバイル社長となった宮内謙・ソフトバンク副社長だ。孫社長が女房役として多大な信頼を寄せる宮内副社長が、頭打ちとなる国内携帯事業へのてこ入れ策として電力事業に目を付けたという。

 とはいえ、電力小売りに本格参入する場合、太陽光発電など再エネだけではなく、原子力発電や火力発電の電気も販売しないと、競争力は持てない。東電福島第1原発の事故後、再エネの普及を強く打ち出してきた孫社長の意向と矛盾しないのか。

 「孫社長も、以前ほど原発について発言はしなくなった」と、あるソフトバンク幹部は話す。

 というのも、すでにソフトバンクは、法人向けの電力小売りに参入しており、原発や火力発電の電気を含む電力卸売市場で調達した電気を販売している。そうした事情もあって、周囲も孫社長の説得に走り、孫社長も「原発依存度は減っていく」との主張は変えていないものの、発言を少しずつ軟化させているようだ。

 「通信再編での経験を、電力に生かしていきたい」と、幹部は市場活性化に意欲を燃やす。

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