http://search.star.titech.ac.jp/
東京工業大学の研究者検索システム「東京工業大学大学STARサーチ(STAR Search)」。
大学が生産・蓄積してきた「知」の包括的な発信という意味で、とてもよくできているしくみだなあと感心した。あれこれ調べてみたけど、まとまった紹介記事なども見当たらず、アピール不足なのかな、ちょっともったいない気もした。いや、2011年5月のリリースのときにカレント-Rにもせずにスルーしてた自分をぶん殴りたい。。
「東京工業大学STARサーチ」(略称STAR Search)は、東京工業大学が保持している研究者のプロフィール、研究業績、教育活動、社会活動等に関する情報を横断的に検索し、検索結果を整備して統合的に表示するシステムです。STAR Searchは、学内の各システムに散在している情報を統合的に検索し、互いに関連づけて表示することによって、研究および教育活動における情報収集や成果の発信に貢献することを目的としています。
http://search.star.titech.ac.jp/titech-ss/static.act?page=about
私が感心したポイントは
の3つ。
1. 研究者データベースとリポジトリの一体化
STAR Searchの下部システム(正確には一連携対象というべきなのかもしれないが)のひとつである東京工業大学リサーチリポジトリ(T2R2)は、いわゆるリポジトリと研究者データベースとを一体化したようなシステムと言える。運用担当部署は図書館(研究推進部情報図書館課)の電子図書館グループ。
T2R2には研究者データベースとしての側面もあるため、メタデータのみのデータが非常に多く、総計で25万件以上にもなる。IRDBコンテンツ分析によれば、本文ありのコンテンツは意外にも少なく2600件程度と、全体の1%超に相当するにすぎない(ちょっとびっくり)。このメタデータばかりという点に対する批判を8年くらいまえに耳にしたことがあったが、ちょっと前にある方から「東工大は先見の明があった」という評価を聞いたりした。自分もそれに同意したい。
当然のようにresearchmap対応もしていて、どうもORCIDの登録を学内教員に呼びかけたりもしたらしい。やるぅ。
平成 27 年 2 月 24 日の研究戦略推進センター長名の文書「ResearcherID、ORCID ID の登録について」での依頼に基づき取得された ORCID ID 情報につきましては、研究戦略推進センターで取りまとめた後 T2R2 に入力致しますので、報告頂いた皆様におかれましては再入力頂く必要がありません。なお、取りまとめの時間等の関係上、入力の時期は遅くなる可能性があることを了承ください。
STAR Searchの検索対象にはなってないようだが、T2R2には退職教員のデータも残っており、研究者アーカイブという性格も持っている。
適当に検索すれば「(転出・卒業した研究者)」と付記されたデータがすぐに見つかるだろう。
なお、研究者のプロフィールのうち、氏名や生年月日などコアなデータは「研究者情報」という別のデータベースに入っているようだ。
http://search.star.titech.ac.jp/titech-ss/static.act?page=list
リポジトリ機能では、博論(学位規則改正後)もセルフアーカイブで収集してるっぽいのが面白いなあ。ほんとにこれだけでやってるんだろうか。
http://t2r2.star.titech.ac.jp/notice/notice20140127.html
関連情報
- http://t2r2.star.titech.ac.jp/doc/leaflet.pdf #公式リーフレット
- http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20090210/1234287676
- https://www.nii.ac.jp/irp/event/2010/debrief/pdf/p_titech.pdf
- http://ci.nii.ac.jp/naid/40017160121
最後の記事は非OA/職場所蔵なしだったので未読。
2. リポジトリ、OCW(教材)、デジタルミュージアム(博物館資料等)を包括した構想
Tokyo Tech STAR (Science and Technology Academic Repository) とは,東京工業大学における教育・研究活動の産物である多様な知識資源の体系的な蓄積と発信をめざす構想です.
右のTokyo Tech STAR の全体構成図で,教育コンテンツを蓄積する部分をCourseWareHouse,研究コンテンツを蓄積する部分をResearch Repository,研究成果物を蓄積する部分をDigital Museum,それぞれにオープンにできる部分は, Tokyo Tech OCW (Open Course Ware), Tokyo Tech ORR (Open Research Reository), Tokyo Tech ODM (Open Digital Museum) と呼びます.
東京工業大学は博物館のなかに「博物館部門」と「資史料館部門」があるので、これでMLAがカバーされていることになる。
ただ、このデジタルミュージアムの部分は実質的にどれくらい進んでいるか、外部からはよく分からなかった。
3. システムだけの連携ではなく関係組織の横断的連携がある
STAR Searchの運営主体がどこなのかはいまいちよく分からなかったんだけど、STAR Searchワーキンググループでいいのかな。このWGには、図書館(研究推進部情報図書館課)以外にも、広報、研究支援、大学マネジメントセンター、大学情報活用センターといったさまざまな部署から参加している。
この大学情報活用センターという組織が非常に面白い。
2011年に創立130週年を迎えた東京工業大学は、広く理工学分野における研究者および教育者、さらには産業界における技術者および経営者として指導的役割を果たすことのできる、世界に通用する人材の育成を使命とし、「世界最高の理工系総合大学」を目指しています。
その実現に向け、大学情報活用センターは、東京工業大学の教員・研究者情報を含む、多様な大学情報コンテンツ等の取り扱い方針を総合的に検討し、本学における情報を活用する活動を高度に支援することで、教育、研究、社会連携、並びに国際交流等に関する活動の活性化、及び大学情報活用の効率化を促進することを目的とします。
規則が2011年7月制定だから、センターの設立もそのタイミングとしていいのかな。
メンバーには図書館長、OCW責任者、博物館教授、広報センター教授、が名を連ねている。STAR Searchは同センターの事業として位置づけるのがすっきりするのではという印象を持った。
興味深い組織なのに活動報告が学内限定公開なのが残念。。