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復興財源めぐり、宮城知事「大人」の対応

 東日本大震災からの集中復興期間を2015年度で終了させる政府に、村井嘉浩宮城県知事が「大人の対応」を見せている。復興交付金をめぐり、当時の民主党政権にかみついた「査定庁」発言から3年余り。今度は、自民党政権を相手に牙をむく日は来るのか。(報道部・浅井哲朗)
 「矛を収めるべきところはある程度収めなければならない」。村井知事は4月13日の定例記者会見で早々に「地元負担やむなし」の姿勢を示した。
 政府は16年度以降、復興財源に地元負担を求める方針。岩手、宮城、福島の被災3県の試算では16年度から5年間の事業費は8兆円を超えるが、政府が想定するのは約5兆円とされる。
 政府からの地元説明はまだない。全額国負担、一部地元負担、全額地元負担の線引きも示されず、被災自治体は不安を募らせる。
 村井知事が軟化姿勢を取る要因の一つに、地方のインフラ整備を国が支援する社会資本整備総合交付金の復興枠がある。
 自ら提唱する「創造的復興」のシンボルとして、仙台市宮城野区への広域防災拠点整備に取り組む村井知事。県によると、復興枠に認められれば総事業費300億円のうち県負担を140億円まで圧縮できる。
 だが、復興枠から外れた場合は一般財源を充当しなければならず「事業規模の見直しもあり得る」(県幹部)事態となる。
 広域防災拠点をめぐっては与野党を問わず、県議会で事業の必要性を問う声が根強い。関係者は「仮に地元負担がかさむようであれば、県財政の問題以上に知事の政治的影響力に関わる」と解説する。
 村井知事は12年3月、復興交付金第1次配分額が要求の57%にとどまったのを受け民主党政権を「復興庁ではなく、査定庁だ」と批判。世論を味方に付けた。
 その後、出身母体の自民党が12年末、14年末衆院選で連勝。今回は「政治家はけんかの仕方を間違えたらいけない」(村井知事)と、水面下の折衝を繰り返しているとみられる。
 県は4月、16年度以降の復興事業費を精査。約2兆5000億円の総額は昨年とほぼ同じだったが、公共土木費を削ってソフト事業に振り向けた。
 「精査を徹底し、ぜいたくなどない。納得できないような国の方針は押し返さなければならない」。県庁内でも、村井知事に強硬姿勢を求める声が高まる。


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2015年05月10日日曜日

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