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■中曽根康弘・元首相

 私は戦後、国会議員になったときから憲法改正を心がけていた。長い間、改正できず、日本の歴史に対して申し訳ない心境だ。できるだけ早期に我々の欲する憲法をつくりたい。あと何年生きるか分からないが、ぜひこの大きな仕事に参画し、責任を果たしていきたい。

 憲法に対する見解の相違はあっても、各党は自らの考えに基づいて話し合う環境は整いつつあることは大変な進展だ。本年は戦後70年。議論が大いに盛り上がることを期待している。

 現憲法の果たしてきた役割と意義は大いに認める。しかし、占領下で拙速につくられ、あまりにも抽象的な普遍的価値に偏りすぎ、日本独自の歴史と文化と伝統によって刻まれた美徳というべき価値の欠落がある。国家の基本法として十全ならざるところがある。改めて国が求める理想とともに、現実への果敢な対応をしなければならない。(東京・憲政記念館で開かれた「新しい憲法を制定する推進大会」のあいさつで)