対独戦勝記念日:モスクワ住民ら50万人行進

毎日新聞 2015年05月10日 19時35分(最終更新 05月10日 19時40分)

第二次大戦に参加した家族や戦死者の写真を掲げ、赤の広場に向かって行進する人々の波=モスクワで2015年5月9日、杉尾直哉撮影
第二次大戦に参加した家族や戦死者の写真を掲げ、赤の広場に向かって行進する人々の波=モスクワで2015年5月9日、杉尾直哉撮影

 【モスクワ杉尾直哉】ロシアの対ナチス・ドイツ戦勝70周年記念日の9日午後、モスクワ住民らが首都中心部の道路を赤の広場に向かって行進した。国営テレビによると、参加者は約50万人。戦勝記念日にこのような大規模行進が行われたのは初めて。ロシアがウクライナへの介入で欧米との対立を深める中、プーチン大統領を支持するロシア国民の団結ぶりをアピールし、欧米の圧力に屈しない政権の姿勢を示す狙いがありそうだ。

 プーチン氏も対独戦で負傷した元兵士の父ウラジーミルさんの写真を手に、行進に参加。戦いに参加した祖父母らの顔写真を掲げてゆっくりと歩む群衆は、都会を流れる大河のように見えた。先頭の参加者らは8車線道路いっぱいに巨大な赤い旧ソ連国旗を広げて行進。激戦だった「スターリングラード(現ボルゴグラード)攻防戦」に当時17歳の母が参戦したという女性は、母の勲章授与の証明書をプラカードに掲げ、「こんなに人々が集まってうれしい」と話した。

 プーチン氏は国営テレビのインタビューで「我々が写真を掲げて参加したのは、この日を敬い、ロシアを守る責任が我々の双肩にかかっていることを理解しているからだ」と語った。この日、ロシア全土では2000万人が関連の記念行事に参加したという。

 プーチン氏は今月発売された雑誌「ロシアの先駆者」5月号に、父の戦争体験について手記を寄せていた。父の部隊の中にドイツ側への内通者がおり、ドイツ軍の待ち伏せ攻撃を受けたが、父は沼地に数時間身を沈めて隠れ、生き延びたという。九死に一生を得た父の体験を紹介することで、人々の愛国心に訴える狙いがあるとみられる。

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