振り切って、バットを放り投げる新井。今季1号は手応え十分の当たりだった(撮影・白鳥恵)【拡大】
(セ・リーグ、阪神0-10広島、6回戦、広島4勝2敗、9日、甲子園)NHKの中継を観ていた日本全国の野球ファンは確信していたはず。ヒーローインタビューは8年ぶりに広島に戻った新井だと。が、映し出されたのはまさかの外国人。えっ、ジョンソン? 新井はどうした?
その頃、ヒーローは大阪市内の病院にいた。球団発表は「第4打席時に左手甲に痛みがあり、病院に向かいました」。お立ち台どころではなかったのだ。
意外な展開になってしまったが、古巣をボッコボコに打ち込む痛快ドラマに野球ファンは心から拍手を送った。能見の138キロ真っすぐを迷わず振り抜いた。打球は広い甲子園左中間スタンドに突き刺さる、待ちに待った今季1号。2007年10月7日(神宮)以来、2771日ぶりに「赤ヘル」で放った一発だ。
新井と能見。思い出すのは昨年2月の沖縄・宜野座キャンプ。紅白戦で3安打した新井に、能見が命名したあだ名、それが「味方殺し」だった。もちろん、ジョークだが、公式戦の肝心な場面で打てない新井を的確に言い表していた。