大阪大学の中岡良和助教・片岡崇弘大学院生らの研究グループは、インターロイキン6(IL-6)の作用によってTh17細胞から分泌されるインターロイキン21(IL-21)が、肺高血圧症の発症に重要な役割を担っていることを発見した。
肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る肺動脈に狭窄や閉塞が生じて肺動脈圧が上昇する難病である。これまで肺高血圧症の発症には遺伝的な因子だけでなく、「炎症」も重要であることが報告されており、炎症を引き起こす代表的なサイトカインのIL-6は、肺高血圧症患者の血清で増加して、その生命予後と相関することが報告されている。しかし、IL-6が肺高血圧症の病態を促進するメカニズムは分かっていなかった。
今回の研究では、IL-6の分化に必要とされるTh17細胞とその産生する炎症性サイトカインに注目して調べた。その結果、低酸素負荷誘発性肺高血圧症(HPH)マウスの肺では、Th17細胞が増加して、主にTh17細胞の産生する炎症性サイトカインのIL-17やIL-21も増加していることが分かった。さらに、HPHマウスに抗IL-17中和抗体を投与しても有意な治療効果はないが、IL-21受容体ノックアウトマウスは野生型マウスに比べてHPH病態形成が有意に抑制されることが明らかになった。
今後は、IL-21の作用を阻害する治療法の有効性を検討することで、肺高血圧症に対する新しい創薬に発展すると期待されている。
なお、この内容は「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載された。論文タイトルは、「Interleukin-6/interleukin-21 signaling axis is critical in the pathogenesis of pulmonary arterial hypertension
(インターロイキン6/インターロイキン21シグナル軸は肺動脈性肺高血圧症の病態形成に重要である)」。
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