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【電子書籍に異変!?】『ビリギャル』に憧れた素人サラリーマンの最高価格自費出版本がamazonで2位獲得!『早稲田出ててもバカはバカ』

投稿日: 更新:

社会現象を巻き起こした『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』
GWに映画公開、文庫本も好調な売れ行きを見せ、未だそのムーブメントは衰えることを知らない。
そんな中、同じstorys.jp発の電子書籍が今、注目を集めている。
『早稲田出ててもバカはバカ』
本サイトでの事前告知もあってか順調な売れ行きを見せ、4月13日の発売初日に18位からスタート、最高位2位、GW中もベスト10入りを維持するという快挙を成し遂げている。
(kindleノンフィクション部門)
その原動力はタイトルからは想像もできない圧倒的リアリティ、インパクトであり、喜怒哀楽に富んだヒューマンドラマに多くの人が涙し、amazonレビューには絶賛の声が多数、寄せられている。

今回の快挙につき特筆すべきは、その「型破りさ」にある。

第一に価格。未だ黎明期と言える電子書籍を活用した自費出版は、500円未満が主流である。
本作の1位獲得を阻む壁となったベストセラー『ソープランドでボーイをしてました』は212円(執筆時点5月7日付では531円への価格変更されている)。
但しこれは自費出版ではなく出版社からの発刊。
電子書籍自費出版の先駆けとなった藤井太洋氏のベストセラーSF小説『ジーン・マッパー』は500円。
それに対しては本作はkindle本の上限である1250円。1位の『ソープランド~』の約6倍という破格の値付けである。
1000円を超える電子書籍限定本はほぼ見られない。ましてや本作のような自費出版では前代未聞と言えるだろう。
2015年。右肩上がりの電子書籍市場は遂に1000億を超えた。
2018年には2800億市場に到達するという大手シンクタンクの試算もあり、本作の成功はその市場拡大傾向の象徴的な事例と言える。

第二に素人である著者がゴーストライター、編集者抜きで完全に自力で書き上げたという点だ。
後のインタビューの中でも語られるが素人サラリーマンである著者は物書きに関しては不得意、本作が実質的処女作となっている。
確かに美文とは言えないかもしれない。しかし、実体験に基づいた圧倒的リアリティ、ズバ抜けたインパクトがその弱点を見事に克服し、一度読み出したら止まらないぐいぐいと引き込まれるストーリー展開は圧巻。
また、内容に関してビリギャルと同じ出自、そしてそのタイトルから一見して受験、教育関連本と勘違いされた方は多いだろうが、メインテーマはそれとは一線を画している。

劣悪な家庭環境、ブラック企業への転職、薬物中毒、そして3.11での被災・・・
傷つき打ちのめされながらも、どん底からはい上がる男性の半生が描かれた本作。

この作品の根底にある著者の想いとは一体、何なのか?
著者である円山嚆矢氏に特別インタビューを敢行した。

ーーーーー

Q まずは1250円という価格についてですがkindle本の最高上限、強気な価格設定の理由を教えてください。
A 
電子書籍市場におけるセルフパブリッシングはこれからますます伸びてくると私は予測しています。
Kindle,kobo,i-booksの70%という破格のロイヤリティに気付く人が増えて自費出版をどんどん仕掛けてくるでしょう。
私はそういう後進の方々のモティベーションを高めたかったのです。
素人が、個人が、隙間の時間に書いた電子書籍を一冊売って800円以上の収益が得られる、それを1000部売るだけで90万円近くになります。
極端な話、1000部売れる電子書籍を毎月コンスタントに産み出していけばそれだけで年収1000万になる試算になります。
まあ、そんな単純に簡単にいく話ではありませんが、十分に有り得る話だと思っています。
高倉健さんって映画のギャラだけじゃなくて、DVDや書籍に関するロイヤリティも最大限に要求して収益を最大化していたらしいんですね。
でもそれって俳優に憧れる後進に対するモティベーションを高めることが目的だったらしいんですよ。夢を与えるというか。ワクワクドキドキするようなことじゃないと人間、本気になれないと思うのです。
私のような平凡な素人会社員の事例に触発されてどんどんセルフパブリッシングが盛り上がり、アメリカみたいにそれだけで生活できるような人が増えていって欲しいな、と思っています。

Q 実際にそうやって電子書籍だけで生計を立てている人をどなたかご存じなのですか?
A 日本ではまだ電子書籍は漫画の独壇場ですから私のような活字だけの本では多分、存在しないはずです。
ホントは僕がその一番手になりたいところなのですがもう少し時間がかかりそうです(笑)
でも海外では既に電子書籍の自費出版だけで生計を立てている人がいます。
小説家のジョン・ロックとか。あまり知られていませんが今、世界的にヒットしている映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の原作は素人さんが書いた電子書籍です。
今、i-phoneのシェアがすごく伸びててandoroidを猛追してます。i-phoneの最新機種にはi-booksが標準装備されているし、koboもあります。
kindle以外での各社のセルフパブリッシングに関する環境は日に日に整ってきてますから、今年すぐにというわけにはいかないでしょうが今後5年以内に電子書籍だけで大ベストセラーを産み出す人がきっと出てくると思いますし、電子書籍の普及拡大によって才能ある人がいち早く発掘される可能性が高まってくるのではないでしょうか?
だって、あの大ベストセラー『永遠の0』が5年以上『佐賀のがばいばあちゃん』なんて10年以上、書き上げてからブレイクするまでに時間がかかっているんです。
当時は著者が走り回って紙の原稿を何社もの出版社に持ち込んでも全く相手にされずせっかく面白いモノが世に気付かれず、ダイヤの原石が埋没していたわけです。
電子書籍は「個人株のIPO」だと僕は思っています。誰でもすぐに自分の株をamazon、楽天、appleというステータスの高い市場で上場させ即座に評価を得ることができます。
世間の多くはまだ気付いてないけど実は夢のようなツールなんですね。

Q 毎月1000部売るなんて大変なことのような・・・円山さんみたいなズバ抜けたインパクトのある体験、経験がある人じゃないと無理なような気がするのですが?
A 僕もそう思ってました。本出して売れる人なんて一部の特殊な才能のある人たちだけだって。まず文章力がないと厳しい、と。
僕みたいな子供の頃から読書感想文が大嫌いで国語の成績で3以上取ったことがない人間が本を売るなんてありえないだろうって。
でも今回、成功できました。その一番の要因って「勇気」「決断力」っていう実は腹を括ればその気になれば誰にでもできることなんです。
正直に申し上げますと僕はリスクがないからケツをまくれたという一面があったのは事実です。
普段は大手企業のサラリーマンをやっててこの本が失敗したところで何のリスクもないですから。電子書籍なんて元手タダみたいなものです。
それと書くネタなのですが実は気付いていないだけで実は誰もが人を唸らせるstoryを持っているはずです。でも皆なかなか「自分の話なんて...」と前提からあきらめている。
もし本当にないとしたらそれは「生きてない」ということ。でもそんなこと絶対にあり得ません。皆、平等に一日24時間、与えられていて同じ30歳なら30年間を消化し、毎日何かを感じてきたはずです。
僕は常に誰からでも学べることがあるはずだ、と思ってます。普段人と接しているいる中で「いいところだけ見よう」と意識していると何か一つ必ず、学ぶべき点を見つけることができます。「反面教師」なんてすごくいい言葉だと思います。
ということは誰にでもバリューはあって、他人にとって有益な情報を持っているはずなのです。
だから自分を卑下せずに全力で自分が本気で感じていること、心の底から思っていることを発信すればいい、ただそれだけのことです。
極端な例、世間から迫害された犯罪を犯した人、死刑が確定した人が書いた文章って何もかもがケツをまくってて、赤裸々で人の心を打つものがあります。
昔、永山則夫という連続殺人の死刑囚がいてもう刑が執行されて亡くなってしまいましたが中卒で読み書きも困難な状況から刑務所の中で執筆した小説が文学賞を受賞してます(1983年、小説『木橋(きはし)』で第19回新日本文学賞を受賞)
学歴や、頭の良さ、文章力じゃないんです。「勇気」「決断力」なんです。

Q 電子書籍市場が伸びているという実感が私には湧かないのですが?
A 大局観というのですかね。確かに目の前の事象だけみれば紙の本が圧倒的主流であることは間違いない。
ただすごく頭のいい人たちが水面下で着々と準備を進めていることに僕は注目してます。代表的なのはあの楽天の三木谷さんですよね。
海外の電子書籍の会社を買収してkindleを追撃すべく、セルフパブリッシング事業を本格始動しました。
(楽天 は4月30日、子会社の「楽天コボ」を通じ、日本国内でも販売登録料が無料の電子書籍出版サービス「楽天Koboライティングライフ」の本格提供を開始したと発表)
amazonもPCでも電子書籍が読めるように今年に入ってから「kindle for PC」MACでも読めるように「kindle for MAC」と立て続けにリリースしてきました。
amazonがライバルのappleのためにツールを提供するなんてすごいと思いました。それほど将来的な裾野が広い現れだと感じました。
株の格言じゃないですけど「もうはまだなり、まだはもうなり」世間が騒ぎはじめた頃にはじめてももう手遅れだということ。電子書籍に本格的に取り組むなら今しかないと思いますよ。

Q 読者に向けて何かメッセージをお願いします。
A 何でも「食わず嫌い」って良くないな、と今回改めて気づきました。僕も「本は紙で読むもの」という先入観が強すぎて重い腰を上げるのは苦労しましたがやってみれば簡単でした。
ただスマホに無料アプリをダウンロードするだけ。ポケットの中に何十冊もの本を持ち歩けていつでもどこでも気軽に読める魔法の道具。
紙資源の節約にもつながりますし、飲食店が昨今、割り箸の使用を控えているのと同じ感覚です。
必ずしも僕の本は読まなくてもいいので(笑)まずは電子書籍を体験、活用して、貴方自身が出版してみてください。全然、難しくないですから!
小さな成功体験によってきっと見える景色、人生が変わるはずです。

ーーーーー

インターネット、SNSが発展し、個人が自由にコンテンツや主張を発信出来る現在。

電子書籍の台頭によるセルフパブリッシングはまさにその先駆けと言えるだろう。

上記インタビューで筆者が語った、「実は誰もが人を唸らせるstoryを持っている」という言葉は、まさにこれからの時代を象徴しているように思える。
いわゆる「すごい体験」等は、あくまで1つの要素にすぎない。大切なことは、自分の人生を振り返って、伝えたい何か、発信すべき何かを持っていること。

いわば一般人のタレント化とも言える、個人の時代はすぐそこまでやってきている。

『早稲田出ててもバカはバカ』書籍情報

筆者が綴る、電子書籍化までのストーリー

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