アリババ(ティッカーシンボル:BABA)が米国のフラッシュ・セール・サイト、ズーリリー(ティッカーシンボル:ZU)の9%株式を取得したと発表しました。

ズーリリーは「お母さんのためのキュレーテッド・ストア」です。

女性が妊娠し、出産すると生活が激変します。赤ん坊は絶えず母親を必要とするので、お母さんは急に行動範囲が狭まります。子育てには苦労が多いし、出産の苦しみや、自分に100%依存する、赤ちゃんの存在は、途方も無い責任をお母さんにもたらすわけです。

つまりこの時期の女性はとても情緒的に不安定な時期であり、味方を必要としているわけです。一例として(赤ちゃんにカワイイ服を着せたい!)という願望があっても、乳幼児を抱えていればおいそれとショッピングにも行けません。

ズーリリーは、そういう新しいお母さんのためのキュレーテッド・ストアです。



ちょっと気晴らしに外出し、ブティックに買い物に行くことすらできないお母さんのために、普通ならブティックでしか手に入らない、カワイイ子供服を、毎日、「日替わり特売」でオファーします。

それらの商品は、いずれもユニークで、見つけにくく、数量が限られているという特徴を持っています。

実際、ズーリリーの扱う子供服のベンダーの大半はアメリカ国内の零細なアパレルメーカーであり、その手作り感溢れる商品の殆どには、ユニバーサル・プロダクト・コード(=量産品につけられる、バーコード番号)さえ付いていません。

ズーリリーは毎朝、その日の特売品の案内メールをお母さんたちに送り、東海岸時間朝九時に、一斉にそれらの商品をウェブサイトにUPします。カワイイ洋服は、まるで雇用統計ナイトのFXトレーダーのように瞬殺でGETされるというわけ。

さて、問題はこのところ同社の決算は取りこぼしが相次いでいる点です。株価は最高値から7分の1になりました。

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先日は、とうとう財務部長が交代しました。

新しいCFOのブライアン・シュワルツは、もとアポロ(ティッカーシンボル:APOL)のCFOであり、このアポロも何かといわくつきの会社ですので、悪決算と同時にこの人事が発表されたときは、投資家は皆、「あかーん」とサジを投げたわけです。

ところが……

株価の方は、「あれよ、あれよ」という間に急騰。皆「?!“#$%&‘()=~」と首を傾げたわけです。


今日になってアリババが$10.63~$12.70の取得コストで過去3日間にズーリリー株を爆買いしたことが判明したというわけ。

なおズーリリーは、いわゆるデュアル・ストラクチャー(=Class A, Class B)となっており、ズーリリー経営陣の合意なくして完全買収は出来ない仕組みです。

5月5日に発表された第1四半期決算は:

EPS:予想-4¢に対し、結果1¢
売上高:予想3.13億ドルに対し、結果3.06億ドル
2015年第2四半期売上高:予想3.62億ドルに対し、新ガイダンス2.85~3億ドル
2015年売上高:予想15.5億ドルに対し、新ガイダンス13~14億ドル


と会社側予想が下げられました。

今回のアリババによる買占めは、ちょっと首を傾げざるを得ません。