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 ロシアは9日、モスクワで対ドイツ戦勝70周年を記念する式典を開いた。最大規模の軍事パレードで軍事力を世界に示すと共に、中国との蜜月関係も印象づけた。一方で、ウクライナ危機をめぐる対立から、10年前の式典とはうって変わって日米欧の多くの首脳が出席を見送り、ロシアと欧米の間の深い亀裂が鮮明になった。

■中国は儀仗隊派遣、蜜月強調

 「一極支配を作ろうとする試みや、軍事ブロック思想が現れ、世界の安定した成長が侵食されている」

 赤の広場を埋め尽くした兵士と退役軍人らが見つめる中、ロシアのプーチン大統領はあいさつで、ウクライナ危機を巡ってロシアに制裁を科した欧米や日本への不満をにじませた。

 対ドイツ戦争は、ロシアで大祖国戦争と呼ばれ、5月9日の戦勝記念日は、最も重要な祝日だ。特に今年は欧米との緊張関係を反映し、ソ連崩壊後、最大の規模の軍事パレードとなった。1万6千人以上のロシア兵に加え、約200台の軍用車両や航空機約150機、大陸間弾道ミサイル(ICBM)が登場。軍事大国の力を誇示した。

 ロシアに寄り添ったのが中国だ。プーチン氏は「ナチズムや日本の軍国主義と戦った国々の代表に特別な謝意を表明する」と述べ、中国への配慮を示した。プーチン氏の隣に中国の習近平(シーチンピン)国家主席が座り、軍事パレードの間、何度も親しげに笑顔で言葉を交わし、蜜月ぶりがくっきり浮かび上がった。

 インドなど外国の軍隊に交じり、中国は初めてパレードにも陸海空の各軍から選び抜いた儀仗(ぎじょう)隊を派遣した。平均身長188センチの精鋭部隊が、首脳の席の前を行進した際、習氏は満足そうに右手を上げて応えた。