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 エボラ出血熱の終息宣言が出たリベリアの人々は、今回の悲劇が、国の医療態勢の強化につながることを期待している。

 首都モンロビアでは昨年6月に死者が確認された。「無力感だけが残った11カ月間だった」。総合病院で現在もエボラ出血熱の疑いのある患者の診察にあたるジェリー・ブラウン医師は語った。診察した患者は約500人。うち半数が死亡したという。「医師や看護師は感染の危険性におびえながら、勇気を奮い立たせて患者と向き合った。心身ともにぼろぼろだ」

 「ここに連れてこられることは、半分は『死』を意味していた」。いまは閉鎖されたエボラ出血熱の治療施設で、警備担当だった男性(39)はつぶやいた。サッカー場ほどの敷地内にはベニヤ板を貼り合わせた簡易な施設が並び、使われなくなった医療器具などが放置されていた。ここでは約3500人が収容され、うち約1500人が亡くなったという。

 教育現場も大きなダメージを受けた。約1500人が通う私立スティアモ小学校は、感染拡大を防ぐため昨年6月末から約8カ月間閉鎖された。

 教師たちは閉鎖中の学校に集まり、予防の知識を盛り込んだ歌や人形劇をつくってDVDに記録し、各家庭に配った。子どもたちは全員無事だったが、保護者が数人亡くなったという。ティアング・ジョア校長は「衛生面に関する子どもたちの知識は格段に向上した。今回の悲劇が、医療や衛生態勢の強化につながると信じたい」と話した。(モンロビア=三浦英之)