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痴漢防止を訴えたい。3月の国際女性デーにあわせてステッカーを作り、みん…
痴漢防止を訴えたい。3月の国際女性デーにあわせてステッカーを作り、みんなに配ろう。中国で、そんな活動を企画した女性5人が警察に捕まった。
身近な問題を発信し、改善を呼びかける行動の何がいけないというのか。健全な市民活動を弾圧する中国当局のやり方は明らかに不当である。
容疑は「騒動挑発」だった。4月半ばに釈放されたものの、引きつづき監視下に置かれ、不自由な状況にある。
警察が動いたのは、彼女らがステッカーを配る有志を募ろうとネットで呼びかけた直後だ。同じ考えを持つ者同士が広域でつながることを嫌い、中核の人物を抑え込むのは、当局のいつもの手法だ。
それは、共産党の一党支配体制を守るためにほかならない。党外に組織ができかねない芽は直ちに摘み取ろうとする。だから痴漢問題も政治的に扱われるという奇妙な状況が生まれる。
これらの市民活動は、中国社会をより良くしたいという意図から出発している。そのために幅広い協力を呼びかけることが、なぜ否定されなくてはならないのか、理解に苦しむ。
一方、日々の暮らしのなかで直面した問題点を考え、積極的に声を上げる市民が増えている中国の現状は、重要な動きとして注目に値する。
中国では1990年代の後半からNGOづくりが広がった。きっかけは95年に北京で開かれた世界女性会議だ。各国の活動家に刺激され、自発的に様々な社会問題に向き合い始めた。
薬害訴訟を支援する。農村からの出稼ぎ者に技能を学ばせる。汚水を垂れ流す企業を告発する。多様な活動が生まれ、時に地方政府とも協力してきた。
今回拘束された女性らの活動もその流れの中から育ってきた一つだ。3年前には、女性用公衆トイレが少なすぎる問題を訴えるため、万里の長城に携帯トイレを持ち込む活動をした。それらの主張には、どの国の人でも共感できる普遍性がある。
こうした動きからは民間レベルでの国際関係の新たな可能性も見えてくる。特に日中間は政治家に外交を任せても、ぎくしゃくするばかりだ。NGO間の交流の活発化を期待したい。
特筆すべきは、女性らの拘束に対して海外だけでなく、中国の国内でも、女性団体などから異論が出たことだ。
中国であれ日本であれ、社会問題は起きる。個々の問題の解決とともに肝要なのは、どんな問題であれ、誰でも発言できる国でなくてはならないことだ。
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