LINE@やask.fmでキャリアの相談を受けることが多いのですが、最近「好きなことを仕事にした方が良いんですか?」的なご相談が増えております。
「好きこそものの上手なれ」は本当か?「好き嫌いと職業」論を語ってみる。
以前以下のエントリーでも書きましたが、基本的にぼくは「好きを仕事にしなくて良い」論者です。
仕事は「得意なことで稼ぐこと」である。
まずはじめにお伝えしたいのが、仕事は「得意なことで稼ぐこと」だ、ということです。
上の雑なホワイトボードの図はぼくがよくお話をする時に書くマトリクスです。
#本当は「市場規模」というZ軸もあるのですが、ややこしくなるので省いています。
何が言いたいかと言うと「好きなことは趣味であって、仕事とは得意なことである」ということです。
お金を払ってでもやりたいこと。それが趣味。
好きじゃなくても得意だからお金がもらえること。それが仕事。
たまにまるで趣味かのように仕事に没頭している人がいますが、それは「好きでかつ得意なことを仕事にしている人」なのですね。
その境地に行けるとめちゃくちゃ生きるのが楽しくなりますよね。
「生きていくためにやらなきゃいけない仕事」すらも楽しめるようになると、人生が10倍楽しくなります。
逆に「好きだけど苦手なこと」或いは「好きだけどニーズがないこと」でメシを食っていくのはなかなか難しい。
「好きなだけ」で仕事をするのがいかに難しいか、については東村アキコ先生の「かくかくしかじか」で克明に描かれています。
#「好き嫌いと職業」というキーワードに興味のある方は必読のマンガです。
任天堂岩田社長はかく語りき。
この「好き嫌いと職業」というテーマについて任天堂の岩田社長が語ったインタビューが大変興味深いです。
以下、抜粋して引用します。
岩田氏:
要するに,「自分の好きなことと嫌いなこと――もっと言えば,自分がやりたいこととやりたくないこと――を,自分が得意なことと得意じゃないこととイコールだ」と思い込んでる人が多いです。本当は,それってかなりズレてるのに。川上氏:
ああ,ズレてますよね。岩田氏:
好きじゃないけど得意なこともありますし,好きだけど,実はあんまり得意じゃないよっていうことも結構あって。だから,仕事というのは「得意なこと」をやった方がいいんです。好きだけど得意じゃないことに溺れると,仕事っておかしくなることが多いんです。4Gamer:
好きだけど得意じゃないこと,ですか。でも,自分でそれを見分けるにはどうすればいいんだろう。岩田氏:
自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり,喜んでくれたりすることってあるじゃないですか。要するにね,「それがその人の得意な仕事なんだ」って話で。逆に,自分的にはすごい努力して,達成感もたっぷりあるのに,周りからは「はあ?」みたいに思われることもあって。それはね,本人が好きだったとしても,実は不得意なことかもしれないんですよ。
つまり「自分の好きなことが得意なことってわけじゃない」「好きじゃなくても得意なことを仕事にしよう」ということを仰っているワケです。
激しく同意します。
林修先生は予備校講師が大嫌い?!
この「好き嫌いと職業」論についてもっと激しく語る方がいます。
「今でしょ!」でおなじみの予備校講師、林修先生です。
こちらの記事からも引用します。
林は(中略)「僕ね、予備校講師大嫌いなんですよ」と告白した。
スタジオで笑いが起こる中、林は「ここが(2人と)決定的に違うところ」としつつ、「でも、仕事は好きでも嫌いでもどうでもよくて、できることをやればいい。結果が出せる責任を取れればそれでいいと思っていて」と説明。約26年間の講師人生を振り返り、「予備校講師として困ったとか、うまくいかなかった経験は何もない」と断言した。
そんな林が一番好きなことは、本を出すために文章を書くこと。自身を「文章を書いていればそれでご機嫌の人間」と客観視するも、講師とは違って思い通りにならないことも。出版社の勧めで出した自己啓発本より、「初めて書きたい本が出せた」という著書『すし、うなぎ、てんぷら ~林 修が語る食の美学』(宝島社)の方が売れ行きが悪いことを明かし、「そこで学んだ」と照れくさそうに笑っていた。
「仕事は好きでも嫌いでもどうでもよくて、できることをやればいい。結果が出せる責任を取れればそれでいい」というのは、「好き嫌いと職業」論の本質だと思ってます。
あの林先生ですら、好きを仕事にしていない。むしろ予備校講師なんて大嫌いだと言っている。
じゃあなぜ予備校講師をやっているのか?
それは「人よりも得意で求められる=ニーズがあるから」に他なりません。
「得意なこと」にいかに出会うか?
「そうか、得意なことを仕事にすれば良いのか」と頭で理解したとしても、大体の人は「じゃあ、自分の得意なことって何だろう?」という壁にぶつかります。
残念ながら「得意なだけ」でも仕事にすることはできません。
「得意でかつニーズがある」という条件が必要です。
じゃあ、それを見つけるにはどうすれば良いか?簡単な方法がたったひとつだけあります。
それは「実際に働いてみる」ことです。それしかありません。
みなさんにも、得意だった勉強科目とか、スポーツとかってありますよね。
それが「得意だ」と自分で気付いたのって、どんなタイミングでしたか?
何かの診断テストを受けて「あなたはこれが得意です」と言われたタイミングなんかじゃあ絶対なくって、実際にやってみて、人よりも多少上手くできて、誰かに褒められたタイミングだったりしませんか?
少なくともぼくはそうでした。
「好きこそものの上手なれ」ってのは半分ウソで、他の人より得意だから褒められて、それが嬉しくて、結果的にそれが好きになって、さらに得意になって…というプロセスをたどることも多いですよね。
つまり「好きは上手の後についてくる」と。
仕事も全く同じです。
まずは好き嫌いせずにどんな仕事も一生懸命やってみる。
任された仕事を一生懸命、継続していくとなんとなく「得意なこと」と「苦手なこと」が見えてきます。
「得意なこと」を見つけ出して伸ばすこと、或いは「苦手だけどニーズがあること」を訓練して得意になることを、人は「成長」と呼びます。
それは「子育て」も「仕事」も同じですね。
- 第三象限「嫌いだし苦手だけどニーズがある」ことを努力と工夫で「得意にする」こと
- 第四象限「嫌い(好きじゃない)だけど得意なこと」が「上手こそものを好むなり」で「好きになる」こと
- 「好きこそものの上手なれ」でさらに得意になっていくこと
これこそが「仕事における成長プロセス」なのです。
まだ就職をしていない学生さんであれば、とにかくたくさん働いてみたら?ということをお伝えしたいです。
ぼくは高校生の頃から大学卒業まで通算10以上のバイトを経験しました。
- コンビニ店員
- 寿司屋のデリバリー
- 居酒屋のキッチン
- ピザ屋のデリバリー
- 居酒屋のオープニングスタッフ
- マクドナルドのクルー〜スウィングマネージャー
- PCのテクニカルアドバイザー
- 家電量販店の販売員
- 派遣スタッフ@人手不足のコンビニでレジ打ち
- ベンチャー企業でデータ入力&レポート作成
などなど。
これだけたくさんのアルバイトを経験すると、さすがに自分の得意・不得意が「ある程度」は見えてきます。
このアルバイト経験を通して、
- 決まりきったルーチンワークは苦手
- 不器用なのでキッチンワークは苦手
- 具体的な数値目標を追いかけて達成するのは得意
- 需給を予測して品揃えやメニューを考えるのは得意
- 商品の特性や違い、強みを学んで覚えるのは得意
- 人の悩みや課題をヒアリングして、ソリューションを提案するのは得意
といった自分の「得意」に気づくことができ、就職活動の時もこの「得意」を発揮できる職場かどうかを判断基準にしていました。
学生さんに特にオススメなのがベンチャーインターンです。
本当にたくさんの仕事を経験できる上に、経営者や上司と握れれば、自分が得意な仕事を伸ばすも、苦手だけどニーズがある仕事を得意にするも、どんな仕事を任せてもらえるかを比較的自由に決められます。これはなかなか普通のアルバイトにはない魅力です。
まとめ:若いうちは好き嫌いせずにとにかくやってみるべし。
思ったより長くなってしまいましたが、本エントリーのエッセンスは「若いうちは好き嫌いせずにとにかくやってみるべし。」ということに尽きます。
上司から任されたこと、目の前の仕事にまずは全力で取り組んでみる。
まだ学生なら、ベンチャーに飛び込んでいろんな仕事に取り組んでみる。
仕事って、得意なことを見つけさえしてしまえば、思っているよりずっと楽しいものですよ。何かあればいつでも相談に乗るのでLINE@とかでお気軽に質問してくださいね。
さて、ゴールデンウィーク明け初日で憂鬱かもしれませんが、2日頑張ればまた土日です。
2日間頑張って良い週末を迎えましょう♪
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