対独戦勝70年記念式典:ロシア、日米欧をけん制
毎日新聞 2015年05月09日 21時16分(最終更新 05月09日 21時56分)
【モスクワ真野森作】第二次世界大戦での対独戦勝70周年を祝うロシアの記念式典が9日、モスクワ・赤の広場で開かれた。昨年からのウクライナ危機で欧米と対立する状況を受け、オバマ米大統領や安倍晋三首相、欧州主要国首脳らは軒並み欠席した。外国首脳の出席は、中国の習近平国家主席や旧ソ連諸国首脳ら友好関係にある20カ国にとどまった。国連からは、潘基文(バン・キムン)事務総長が出席した。
ロシアのプーチン大統領は演説で「ナチズムと日本の軍国主義に対して戦った国からの出席者には特に感謝を表する」と述べた。さらに、米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)について「一極世界構築の試みと軍事同盟の思考が世界の発展をむしばんでいる」と強く批判。中国と歴史認識を一致させて日本を圧迫しつつ、欧米諸国の価値観押しつけを拒否する姿勢を鮮明にした。
軍人約1万6000人、戦車など軍用車両約200台、ヘリコプターを含む航空機143機による「現代ロシア史上最大」(ショイグ露国防相)の軍事パレードが行われ、中国人民解放軍からも儀仗(ぎじょう)兵100人超が初めて参加した。
ロシアは、ウクライナで「ナチスの思想に近い民族主義勢力が台頭している」と主張している。プーチン氏はこれを背景に演説で、「1930年代、欧州はナチズムの脅威を直ちには理解しなかった。歴史は再び我々の理性に呼びかけている」と述べ、ウクライナ紛争で親露派武装勢力を支援しているロシアの立場を正当化した。
ロシアが昨年、一方的に編入したクリミア半島の2都市やロシア各地の23都市でもこの日、軍事パレードが実施された。