散歩
深田はまったく家から出ないわけではない。
月に3回、散歩にいく。
「空助何処に行くの?」
「うるせぇ!!!!黙ってろ!!!!!」
心配そうに尋ねた母親を怒鳴り、俺は玄関のドアを開ける。
散歩にいく理由は、気分転換と家族に対してのアピールだ。
アウトドアもいけるくちなんだぜ、というアピールだ。
俺は軽快なフットワークでいつもの散歩コースをこなす。
「わんっわんわんっ!!!」
一匹の犬が家庭の柵に鼻を突き出し、俺に吠える。
こいつは野村さんの家の犬で、近所の子供たちに太郎と呼ばれ、
可愛がられている。
俺はこの糞犬が大嫌いだ。
「うるせぇ!!!!!」
手加減をしらない深田のパンチが柵の上から犬の額にヒットした。
「キャインッ」
犬はたまらず柵から離れていく。
圧倒的有利な立ち位置、安全が確保された場所から暴力を振るう事により、得られる快感は大きなものとなり。少しばかり脳の汁をだしてしまう。
「なっ・・・なにしてるんですか」
すぐ後ろに呼びかけられた女性の声に俺の体は凍り付いてしまう。
深田はいつも太郎に暴力を振るうとき、細心の注意を払うようにしている。
それなのに、通行人にばれてしまったのである。
「(どうする・・・幸い後ろを向いているから、顔は見られていない・・・。)」
外はまだ春である、季節に似合わない大量の汗を深田は流した。
「(その犬、太郎ちゃんになにしてたんですか?)」
深田に電流がはしる。
「(こいつ・・・、まさか俺の暴力に気づいてないのか・・・?)」
感想くれた人ありがとう。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。