終戦からしばらくの間、日系人への差別や偏見もあったが、比較的早い段階で米国社会に溶け込んだ印象がある。だから逆に、日系人が強く団結して日本や日系人社会のために政治運動を行うような動きはあまり見られない。移民国家たる米国の国民として、理想的な姿だと私は思う。
肌や髪の毛、瞳の色や体格などの身体的特徴、日常言語や食習慣など文化の異なる人々が、同じ米国人として暮らしていくには、人種やルーツの違いをわざわざ強調すべきではない。
お互いに差異があることを大前提として、違いを受け入れる寛容さこそが重要だ。それが米国という多民族国家の基本方針であり、国として団結する要なのだ。
ところが、米国の基本方針に相反する政治的動きがある。重要基本法である公民権法に違反している可能性すらある。来週は、この特定のアジア諸国出身者の動向について書きたいと思う。
■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。80年、法学博士号・経営学修士号を取得し、国際法律事務所に就職。83年、テレビ番組「世界まるごとHOWマッチ」にレギュラー出演し、一躍人気タレントとなる。現在は講演活動や企業経営を行っている。最新刊は『不死鳥の国・ニッポン』(日新報道)。