「永続敗戦論」の著者である白井聡氏が、きのうの日刊ゲンダイ(5月9日号)の「注目の人直撃インタビュー」で、これ以上ないほどの言葉で安倍訪米を酷評している。
ひとことでいえば、安倍訪米は完全な敗北であると切り捨てている。
そこで白井聡氏が述べている数々は、これまで私が書いてきた事と、何もかも同じだ。
それを自慢したいために私はこれを書いているのではない。
ここまで白井聡氏は喋れるということだ。
そしてここまで激しい安倍批判を日刊ゲンダイは掲載できるということだ。
最近になって安倍政権によるメディアへの圧力が取りざたされている。
しかし、少なくとも白井聡氏は、これ以上ないほど安倍首相と安倍訪米を批判し、それを日刊ゲンダイは1ページ全紙を使って掲載している。
いうまでもなく安倍訪米は安倍首相の最大のパフォーマンスである。
それを全否定しているのだ。これ以上の安倍批判はない。安倍首相としてはこれ以上の腹立たしい事はない。
それにもかかわらず安倍首相は何も出来ない。
白井聡氏が排除されたり、日刊ゲンダイが潰されたということを聞かない。
もう私が言いたい事はお分かりだろう。
いまの日本は、小林多喜二が特高につかまり、拷問で獄中死した戦前とは違うのである。
国家権力批判は、その気になれば誰でもできるありがたい世の中なのだ。
失うものをおそれてメディアは自己規制し、メディア自粛で登場させてもらえなくなることをおそれて有識者は本音を語らないだけの話だ。
恵まれたいまの世の中で、権力による言論弾圧を軽々しく口にする者たちは、国家権力を批判して犠牲になった戦前の言論人たちに申し訳が たたないと 思わなければいけない。
彼らの犠牲によっていまの自分たちがある事を忘れてはいけない。
先人たちの犠牲を無駄にしてはいけないと思う(了)
Photo by : 京都精華大学 [http://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/faculty/shirai-satoshi/]