■30ドル台の正規品と同等の実力
ディスプレーの対角寸法は4.7インチで、そこだけは本物と同じだ。しかしタッチパネルとディスプレーが接着されている本物とは異なり、両者は分離しているため、その分だけ厚みが増している。解像度は本物が1平方インチあたり326ドットであるのに対し234ドット。ディスプレーの部品コストは1000円以下と思われる。
カメラの画素数は不明だが、受光部の対角線寸法からして最大でも500万(5M)ピクセルと推定される。部品コストは500円前後、本物のiPhone 6に搭載されているカメラの4分の1程度と思われる。
スマホはLTEのような高速の通信回線があって、初めて本領を発揮する。第2世代のGSMしか使えない端末に出来ることは、音声通話とテキストメッセージのやり取り程度だろう。無線LAN環境がないと動画やWebサイトの閲覧は難しい。
この程度の性能のスマホなら、いまや正規品が30米ドル台で販売されている。安さをウリに中国市場を席巻してきた山塞機だが、もはや存在意義を失いつつあることがうかがい知れる。
柏尾南壮(かしお・みなたけ)。フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクター。1974年タイ・バンコク生まれ。1994年10月にフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ設立。顧客の多くは海外企業。情報通信機器からエアコンまで多種多様な製品の分解調査や分析、原価計算などを行っている。モバイル広告関連技術の特許も保有。著書は「iPhoneのすごい中身(日本実業出版)」「スマートフォン部品・材料の技術と市場」 (共著・シーエムシー出版)。日経エレクトロニクス誌や日経テクノロジーオンラインにも分解調査記事を寄稿している。
[日経テクノロジーオンライン2015年4月8日付の記事を基に再構成]
人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら
iPhone、スマートフォン、Bluetooth、クアルコム、アプリケーションプロセッサー、MediaTek、中国、模造品
「iPhoneを買わないか?」。2014年12月、中国・上海で日経BP社の記者に、男が近寄ってきた。彼が持っていたのは「iPhone 6」。最初は5万円を要求してきたが、手持ちの約2万円で交渉が成立…続き (5/8)
2015年4月の発売が予定されている米Apple(アップル)の「Apple Watch」をはじめ、スマートウォッチと言えば四角いディスプレーを搭載したものが多い。だが、米Motorola Mobility(モトローラ・モビリティ)…続き (3/5)
各種サービスの説明をご覧ください。
・エコノミックインデックス、広告効果を数値で把握
・昭和シェルなど、家庭向けサービス強化
・NTN、補修事業強化へ専用倉庫
・JX日鉱日石金属、自動車コネクターを差し込みやすくするメッキ加工
・竹中工務店、耐火2時間の木造部材…続き