地元政府はドローンを地域経済の成長の柱に位置づけ、15年には10億元(約190億円)の域内生産額を目指す。最近では天津大学出身の27歳の若者が立ち上げたドローンのベンチャー企業を支援する。
■尖閣諸島の偵察にも使われた?
中国の伝統的な航空産業の集積地も負けていない。旧満州(現中国東北部)時代の航空機工場を起源の1つとする遼寧省瀋陽市では瀋陽通飛航空科技がドローンの開発や製造に乗り出す。8月に開かれた航空機の展示会でもドローンなどが公開された。
中国では1960年代に米国やソ連との対立を受けて、兵器の生産につながる製造業の柱を沿海部から内陸部に移した。その移転先の中心地は四川省成都、陝西省西安市、貴州省の3カ所で、現在でも航空宇宙産業の国有大手の研究所や製造拠点のほか、部品メーカーが集積している。
その筆頭は成都だ。戦闘機などを製造する中国航空工業集団(AVIC)は同市内の研究拠点で、航空機型の無人機「翼竜」を開発している。全長約9メートル。海抜5300メートルまで上昇し、4000キロも飛ぶことができるとされる。尖閣諸島まで近づいて偵察をしたとされている。
西安市ではロケットなどを手掛ける中国航天科技集団(CASC)の研究拠点がドローンの開発に注力する。6枚の羽を持つドローンを開発して、軍事演習に参加させた。貴州も「ドローンの国内最大の供給基地」を目指す。地元政府は2013年にドローンの研究センターを設置しており、AVICの子会社も貴州にドローンの製造拠点を設ける準備を進めている。
中国のドローン市場はまだ始まったばかり。米国と同様に軍や公安が技術をけん引し、黒竜江省など多くの地方で防災や治安維持などでのドローンの活用が進む。さらにスマホをベースとした民間向けの市場も成長しており、20年には500億元(約9000億円)規模に達するとの予測もある。世界最大のスマホの工場である中国がドローンでも席巻できるのか。
(多部田俊輔)
[日経産業新聞2014年11月13日付]
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