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Yukibou's Hideout on Hatena

自分用備忘録的な何か。

いい加減に、血液型でなんか分類した気になるのは、やめたらどうでしょうか。

「君ってA型でしょ?」

よく、他人と話している時に言われる台詞がある。

「君って、血液型絶対A型でしょ?」

いや、B型なんですけど…と返すと

「え〜?どう考えてもA型の性格してるのに? ホントにB型〜?」

などと、事実を否定されてしまう始末である。

 

日本人は血液型性格診断がお好き。

血液型が人間の性格に影響を与えるという可能性は、かなり昔から研究されてきた。

ABO式血液型分類は、1900年にオーストリアの医学者カール・ランドシュタイナーが発見し、その後様々な研究者が、血液型と性格の関連性を明らかにしようと試みた。

日本では戦前からそういった研究が一部で盛んになり、一時期は陸軍でも兵科の割り当てに血液型を利用しようという動きすらあった。だが、結局有意な研究結果は得られずに取り止めになった。

近年、「説明書シリーズ」がベストセラーになり、いまだに血液型性格分類の人気が健在であることが証明されたが、多くの日本人が血液型性格分類を信じるきっかけになったのは、1970年代の能見正比古氏による、「血液型シリーズ」の大ヒットが原因だろう。

B型自分の説明書

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血液型人間学 あの人の心の秘密がわかる!

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現在の、いわゆる「血液型ステレオタイプ」の原型を作ったのは、この能見氏である。

 
日本と世界の血液型分布を見てみよう。

とはいえ、なぜ日本では血液型性格分類が人気なのだろうか。それは、血液型の分布にあると言ってもいいだろう。

世界の人種・民族別血液型割合を見てみると、日本はA・O・B・ABの順で4:3:2:1と、わりと綺麗に分布している。つまり、少し周りを見渡せば、すべての血液型の人間を探し集めるのも比較的容易な環境であるといえる。

これがイギリスになると、A型とO型でほぼ9割を占めてしまう。つまり、探そうと思ってもA型とO型の人間ばかりで、その他の血液型の人間を見つけるのはかなり困難になる。こういう環境下では、そもそも「A B O ABの4つの血液型で性格がわかる」という主張自体が成り立たない。なぜなら、ほとんどの人がAかOなのだから、そんなことを言われても説得力がないのだ。

 

血液型性格分類が当たっているように感じるのは何故か。

究極の血液型心理検査」という名前のサイトがある。今ではサイト自体が無くなってしまったが、上記のリンク先はそれを復刻したものである。

このサイトはいくつかの簡単な質問に答えて、性格診断をしてくれるサイトだ。性格診断の結果を見た後に、「当たっていると思う」と、「当たっていないと思う」の二つの選択肢が出るのだが、作者の松岡圭介氏によれば、9割近くの人が「当たっている」と答えていたという。

だが、この性格診断は実は血液型とはなんの関係もなく、途中で出る選択肢にも意味は無い、まったくのランダム表示されるものだったのだ。それでも、9割近くの人が「当たっている」と感じていた。

このような、よく考えれば誰にでも当てはまるようなものを、自分だけに当てはめて錯誤してしまう現象を「バーナム効果」という。よく、占い師や超能力者が「あなたは子供の頃に、とても大切なものをなくしましたね?」などと言ってくるのと同じだ。

 
悪魔の証明

血液型が性格を決めるのでなければ、それを証明してみろという人も中にはいるだろう。だが、それは「悪魔の証明」である。

なにかが「有る」事を証明するには、一つでもいいからその存在を確定させる結果を示せばいい。だが、「無い」事を証明することは不可能なのだ。だから、「有る」と主張した側に証明義務が生じる。

たとえば、STAP細胞の件が良い例だ。

小保方晴子氏らが中心となって発表したSTAP細胞は、その作成方法の簡単さや、IPS細胞に匹敵する万能性の高さから大変注目されていた。だが、結局は後の検証の結果、捏造であると結論づけられた。

この場合、STAP細胞が存在すると主張する小保方氏側が、STAP細胞作成を再現することが出来れば、すくなくともSTAP細胞は存在すると証明することが出来た。だが、数ヶ月にわたって実験を行っても、結局小保方氏自身もSTAP細胞を作成することは出来なかった。だから、論文は捏造であるという結果になったのだ。

血液型性格分類が間違っているというのなら、それを証明しろ」というのは、「STAP細胞がないというのならお前がそれを証明しろ」と小保方氏に言われているようなものなのだ。

 
血液型に当てはめてその人をわかった気になる。

血液型性格分類は確かに便利だ。たった4つの傾向を覚えればいいだけだし、初めて会う人に血液型を聞くだけで、「ああ、この人はそういう人なのか」とわかった気になることが出来る。

だが、人間は自由意志を持つ多種多様な生き物だ。おまけに、性格は途中で変わることもある。もし、血液型がその人間の気質を決めるとすれば、「アイツは変わった」などということは起きないはずなのだ。

逆に、そんな風には全く見えないからと言って、「潜在意識ではアイツはああいう奴」と血液型を元にその人間の性格を決めつけるのは、ブラッドタイプハラスメントになる。自分にとっては便利かもしれないが、他人にとってはいい迷惑なだけだ。

 

血液型ステレオタイプに当てはめる愚かさ。

最近ではテレビでも血液型占いはあまりやらなくなった。テレビ番組の捏造などが原因で自粛しているのだろう。

このPDFは日本心理学会の機関紙に掲載された聖徳大学の山岡重行氏による寄稿文である。

 文章を一部引用すると

「超スパスパ人間学!」(10 7 TBS 系列) では,幼稚園の先生がケーキが入っている箱を園児たちがいる部屋に置いて「先生が帰ってくるまで食べちゃダメ」と言って退室し,各血液型の園児たちが先生の言いつけを守るかどうかを比較した。A O AB 型の園児たちは言い つけを守り食べなかったが,B 型の園児たちはケーキを食べてしまった。このケーキを食べた園児の一人が筆者の友人 K 氏の親族だった

(以下 K 氏の許諾を得て掲載)。

K 氏がこの園児に何でケーキを食べたのか尋ねたところ,「だって,カメラを持ったお兄ちゃんがずっと 『ケーキ食べちゃいなよ』って言ってたんだもん!」と答えたそうである。さらに,この園児は B型ではなかった。この番組の制作スタッフは「先生の言いつけに従わずにケーキを食べてしまう園児の映像」が欲しかったのであり, それを「B 型の性格が反映された行動」として放送したのである。

というわけで、この番組は視聴者が求めている(と、製作者側が考えている)血液型ステレオタイプに合わせた映像が欲しかっただけなのだ。それが真実かどうかは関係ない。そのためには事実ですら捻じ曲げた。番組スタッフがこのような行動に及んでしまうほど、日本での血液型性格分類の人気は高いのだという証左でもある。

 

バカバカしいと認めよう。

いい加減、血液型で性格がわかるなどというバカバカしい考え方は間違っていると認めよう。100年以上に渡って、様々な人間が関連性を研究していながら、捏造以外では未だに誰もその相関を証明できずにいるのだ。

日本のような、わりとバランスよく全ての血液型が分布している国でだけでしか通用しない、ドメスティックな理論など存在するわけがないのだ。

それとも、STAP細胞よろしく「血液型性格分類はありまぁす!」と叫んで生きていくのが楽しいというのなら、それはそれで止めはしない。ただ、他人に迷惑をかけないようにだけして欲しい。

つまるところ、何を言いたいのかというと、B型バカにすんな、である。