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減価償却についてゼロから説明!難しい概念も無理なく理解!

減価償却という言葉。普段使わない言葉なだけにイメージもしづらいでしょう。本記事ではそんな見た目からわかりにくい減価償却について、ゼロから、無理なく、具体例を交え、わかりやすく説明していきます!

ズバリ

  • 減価償却は資産を毎年少しづつ消費していくイメージ
  • 毎年少しづつ消費する「減価償却費」は経費に計上できる

1 減価償却とはつじつま合わせ

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減価償却という言葉、起業した方なら一度は聞いたことがあるでしょう。
しかし、この減価償却をしっかりと理解している経営者は少ないのが現状。

本章を読めば減価償却がどういうものかばっちりわかります。
一言で言うと「減価償却はつじつま合わせ」です。

1−1 1億円のビルを購入した

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わかりやすい例として2014年に1億円のビルを購入したとして考えていきます。
ビルを購入したので、2014年の出費は1億円です。
それでは、翌年はどうなるでしょう。ビルは会社の資産となるので、翌年も使用し続けます。

ビルを購入したのは今年ではないので、出費は無しでしょうか?
とすると、会社の利益が変わらなくても、「2014年は1億円の出費で赤字、しかし2015年は出費がないので大きな黒字」という状態になります。

これは少しおかしいですね。
そこで登場するのが減価償却。
「大きな出費を毎年少しづつに分けて出費したことにする(経費にできる)」という考え方が減価償却の考え方です。

減価償却とはこのようにして、先ほどのような、使用し続ける資産を購入した際に起こるおかしな状況につじつまを合わせる役目を持っています。

1−2 ビルの価値は減っていく

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ではどのようにして毎年少しづつの出費にするのでしょうか。
ビルは年数が経つごとに劣化していきます。

つまり、ビルを購入した年と、購入してから2、3年後のビルの価値は同じとは言えません。
これは年数が経つごとにビルの価値が減少しているということ。
この減少していく価値を会社が消費した価値と考えて、毎年少しづつの出費とするのです。

2 減価償却は現実と経理上でギャップの問題がある

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減価償却ですが、問題もあります。
例えば、IT系の会社がパソコンを購入したとします。
減価償却では税法上、出費を分割できる年数(耐用年数)が決まっています。

パソコンの場合は耐用年数が4年。
パソコンを頻繁に使用するIT系の会社だと、パソコンの寿命は2、3年となることも珍しくはありません。
もし、2年でパソコンが壊れてしまったとしても、パソコンの耐用年数は4年です。

つまり、現実では2年間で償却してしまった(価値をすべて使い切ってしまった)のに対し、経理上では4年間で償却をしているというギャップが生じてしまうのです。

具体的にパソコンを10万円で購入し、2年で壊してしまった場合を考えます。

現実では

10万円 ÷ 2年 = 5万円

の出費となっているのですが、これが経理上では

10万円 ÷ 4年 = 2万5千円

の出費となっているので、

5万円 ー 2万5千円 = 2万5千円

が現実では損金として扱われない状況になってしまっているのです。

つまり、2万5千円多く課税されてしまうのです。

このような現実と経理上のギャップが減価償却には存在します。

3 減価償却の損金算入で節税が可能

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減価償却として毎年算出される金額(減価償却費)は経費として認められています。

つまり、減価償却を行い確定申告をすることで、節税することが可能なのです。

3−1 損金算入できる金額の上限は決まっている

減価償却費のうち、損金算入できる金額の上限は決まっています。

これを償却限度額と言います。
償却限度額を知るには、減価償却の方法である定額法と定率法という概念を知る必要があります。

まずはそれらについて説明していきます。

3−1−1 定額法と定率法

どのようにして減価償却をしていくかというのが定額法と定率法です。

簡単に説明すると、定額法は「耐用年数にわたって、毎期定額を費用計上する方法」。

減価償却費 = 取得価格 × 定額法償却率(表参照)

 

という計算式で毎年の減価償却費(定額)が算出されます。

一方、定率法は「減価償却資産の未償却残高に耐用年数に応じた一定率をかけた金額を計上する方法」。

減価償却費 = 期首未償却残高(資産の残っている価値) × 定率法償却率(表参照)

という計算式で毎年の減価償却費(変動する)が算出されます。

定額法償却率、定率法償却率はそれぞれ耐用年数により決まっており、以下の表にその値を示しておきます。

耐用年数と償却率の関係

図. 耐用年数と償却率の関係(引用:減価償却資産の法定耐用年数に応じた償却率表|川島会計事務所)

3−1−2 償却上限額の算出

さて、本題に戻り償却限度額ですが、この値は定額法、定率法どちらを選択するかで算出方法が変わってきます。

定額法をとる場合ですと、

償却限度額 = 取得価格 × 定額法償却率 × 事業供用の当期の日数 ÷ 12ヶ月

で求められ、一方定率法をとる場合ですと、

償却限度額 = 期首未償却残高(資産の残っている価値) × 定率法償却率 × 事業供用の当期の日数 ÷ 12ヶ月

で求めることができます。

具体例で見ていきましょう。

1億円のビルを購入し、その耐用年数が50年、定額法で償却していく場合だと1年間の償却限度額は、

償却限度額 = 1億円 × 0.02 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 200万円

となります。

つまり、定額法なので毎年200万円まで損金として算入できるということになります。

3−2 損金算入できる条件は3つ。損金経理の実施、償却限度額範囲内であること、明細書の添付。

減価償却費を損金算入できる条件は以下の3つです。

  • 減価償却費の損金経理を行うこと・・・・・・・・・・・・①
  • 償却限度額範囲内であること・・・・・・・・・・・・・・②
  • 償却費の計算に関する明細書を申告書に添付すること・・・③

①は減価償却費を損金として決算書に計上すること、②は3−1で計算した償却限度額を毎年の減価償却費が超えていないこと、③は国税庁の法人税申告書の記載の手引きにある別表十六の明細書を申告書に添付することを表しています。

これらの条件を満たせば、減価償却費は損金として算入することが可能で、その分節税を行うことができるのです。

4 まとめ:減価償却は購入した資産を毎年少しづつ消費していくイメージ

減価償却1

いかがでしたでしょうか?減価償却のイメージは掴めたでしょうか?
購入した資産を毎年少しづつ消費していくというのが減価償却のイメージです。

毎年少しづつ資産を消費したと考えるので、その消費した額はもちろん損金として決算書に計上することができます。

しかし、適当に資産を消費しても良いわけではなく、定額法、定率法というしっかりとした方法により、毎年決まった額を消費していかなくてはいけません。

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