スマートフォン時代、読者はコンテンツを求めている
今、「分散型コンテンツ」(distributed content)という言葉が、米国メディア業界で盛り上がりを見せている。日本ではまだ聞き慣れないが、次の台風の目となるかもしれない。
「Webメディアの時代にも、各サイトのトップページは重要だ」というのは定説とされてきた。いくらFacebookなどソーシャルメディアからの流入が多くなろうとも、たいていの場合はリンクが貼られているため、読者の最終目的地はWebサイトになる。
しかし、いま、そんな常識がひっくり返されようとしている。トップページを持たず、FacebookならFacebookに、TwitterならTwitterに、というようにそれぞれのプラットフォームに合わせてコンテンツを流すほうが良いのではないか、という説が唱えられているのだ。そこでは当然、元サイトへのリンクも貼られない。
バズフィードが昨夏の資金調達を機に、「BuzzFeed Distributed」というコンテンツ流通部門を立ち上げたことは知られているが、すでに分散型コンテンツを実践し、成功しつつあるメディアがある。それが、短い動画ニュースを発信する「NowThis」だ。
現在まで1,100万ドル以上の投資を集めている有望な新興メディアで、わずか30人あまりの社員数ながら月間500本以上の動画を制作。現在米国中を騒がせているボルチモアの暴動においては、一時的ではあるが、なんと1時間に3本以上のペースで動画を制作・更新し、現地の様子を報じている。
リンク元なしで、どのようにブランドを築くのか? マネタイズするのか? そうしたメディアに求められる人材とは?
数々の疑問をぶつけるべく、NowThisのヴァイスプレジデントで、投資元のレーラー・ヒッポウ・ベンチャーズにも所属しメディア業界の経験が豊富なアシーシュ・ペイトル氏にその秘策を伺った。
「10年前には存在しなかったスマートフォンというデバイスにおいて、読者はコンテンツを求めている。ページを読み込むのに時間がかかり、コンテンツの質より接続の速さが競われていた時代は終わった。メディアはそのことに気づいたんだ」
アシーシュ氏はそう話し始める。
「そして今まで大きなデバイスが必要だった動画も小さなスマートフォンの画面で閲覧できるようになり、無音での再生も可能になった。ここで我々はトップページを殺してみたんだ。
TwitterやFacebookでは、クリックしてリンク元に飛ぶことなく動画が再生できるから、クリック数を指標にしても本当に読者がどれだけ見たかは測れないからだ」
NowThisという、まだ3年目のメディアがこの取り組みをとったのには必然性がある。
「他のサイトは自分たちのページに広告を貼っていてそれを収益源としているが、我々にはそれがないからやれたのさ」
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