TPP:条文に中小企業支援 国際化促す

毎日新聞 2015年05月07日 20時54分(最終更新 05月07日 20時55分)

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、中小企業をサポートするための取り決めが条文に盛り込まれることが固まった。これまでの通商協定にはない試みで中小企業の国際化を促すことが狙い。TPP交渉は多くの分野で協議が終結に向け前進しており、参加12カ国は15日からの首席交渉官会合で、知的財産などの難航分野で詰めの協議を行い、早期合意の道筋を付けたい考えだ。

 TPP交渉では、関税撤廃などの「物品市場アクセス」や、取引される商品がどこの国で作られたかを決める「原産地規則」など21分野が協議の対象となっている。このうち、複数の分野にまたがる「分野横断的事項」の中で、中小企業について独立した章を設ける方向となった。

 条文では「中小企業がTPPの恩恵を受けられるようサポート体制を構築する必要がある」と明記。TPP活用のための情報提供や、発効後に中小企業にとって協定が有効に機能しているか定期的にチェックする仕組みなどが盛り込まれる見通しだ。各政府が専用のホームページをつくり、情報提供を行うといった対応が想定されている。

 中小企業を巡っては、これまでの自由貿易協定(FTA)で情報提供が不十分であったり手続きが煩雑だったりして、低関税などの協定のメリットが十分に生かされていないとの指摘があった。TPPでは情報提供などと併せて、原産地証明や税関など貿易関連の手続きも簡略化、統一化することで輸出入を中小企業にも促す。

 政府関係者は「TPPは大企業への好影響ばかりクローズアップされるが、グローバル化が進んでいない中小企業へのメリットも大きい」と強調。一方で、業界内には「そもそも中小企業の海外展開の意識が希薄」という指摘もあり、グローバル化をどう促すかも課題となりそうだ。

 TPP交渉を巡っては、21分野29章のうち10章の条文が固まり、残る課題は2国間の関税交渉や知的財産などに絞られつつある。各国は15〜25日に米グアムで首席交渉官会合を開いて詰めの協議を行い、続けて閣僚会合を開催しての合意を目指す。【松倉佑輔】

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