【コラム】韓国の反日ポピュリズムが招いた自縄自縛

パンとサーカスによる国家の自殺
「福祉の無償化」と「ポピュリズム」に毒された社会
ローマと同様、自壊の道に進むのは必然
民衆は福祉を願うも増税は拒否し、エリートは人気ばかりを気にするのが韓国の現状
自らの解決能力を失ったことは日本の右傾化や中国の膨張以上に深刻な問題

 「日本の安倍政権はなぜあそこまで恥知らずなのか」と他人のせいにばかりしていられない。今のわれわれが直面している「外交面での孤立」というジレンマは、その多くがわれわれ自ら招いたものだ。主犯はもちろん安倍政権の右傾化とその暴走だが、彼らに翼を与えたのはわれわれだ。この国の政治権力と外交マフィアたちは「外交」ではなく「反日ポピュリズム」に基づいて政策を進めたが、その結果、今の自縄自縛の状況を招いてしまったのだ。

 そのきっかけとなったのが、2012年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が突然日本に強硬な態度を取り始めたことだった。この見方は専門家の間でもほぼ一致している。それまで日本に対しては決して強硬とはいえなかった李大統領だが、任期の最後の年になって突然「静かな外交」をやめ、独島(日本名:竹島)に上陸した。さらに「日本の国力は昔ほどではない」などと、どう考えても外交にはそぐわない言葉も連発するようになった。このように何かあるたびに「日本に対する訓戒」ともいえるようなパフォーマンスを続けた結果、李大統領の支持率は一気に上昇し、李大統領本人も「してやったり」と思ったはずだ。ところがこれら李大統領の行動が原因で、日本国内での嫌韓感情が一気に噴出してしまった。このように日本が右傾化する状況を韓国自らつくり出す中、安倍首相が就任した。安倍首相としては李大統領に感謝の言葉でも伝えたい心境だっただろう。

 1975年、日本の月刊誌『文芸春秋』に「日本の自殺」という意味深長な題目の論文が掲載された。ある知識人のグループが共同で書いたものだが、彼らが古今東西のさまざまな文明について調べたところ、どこの国も「外敵」ではなく「内部の要因」が原因で自ら崩壊したという結論を下した。彼らはこの「国家による自殺」に共通する要因を「利己主義」と「ポピュリズム(大衆迎合)」と結論付けた。国民が目の前のわずかな利益ばかりを追い求め、国の支配層がそれに迎合したとき、その国は滅びの道を進むというのだ。この論文は数十年にわたり忘れ去られていたが、数年前に日本の朝日新聞が引用し、今あらためて話題になっている。

デジタルニュース本部=朴正薫(パク・チョンフン)本部長
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