ロシア:プーチン大統領が習近平氏と会談「戦勝国結束」
毎日新聞 2015年05月08日 20時29分(最終更新 05月08日 22時56分)
【モスクワ真野森作、西岡省二】ロシアのプーチン大統領は8日、対独戦勝70周年を祝う9日の式典出席のためモスクワを訪問した中国の習近平国家主席と会談した。インタファクス通信によると、プーチン大統領は「両国関係の水準の高さと信頼性について特筆せずにはいられない」と述べ、中露の蜜月をアピール。第二次大戦に関し「ソ連と中国は最も多くの国民が犠牲となった最大の戦争被害国だ」と強調し、「戦勝国」としての結束を確認した。
習主席は「第二次大戦での戦闘に際し、両国民の間に固い友情が結ばれた」と述べ、プーチン氏を中国・北京で9月に開かれる「抗日戦争勝利70年」式典に正式招待した。ただ習主席は同時に、「特定の国々を憎むため(の行事)ではない。同様の戦禍が二度と繰り返されないよう歴史に刻むためだ」と語った。
習主席は、ウクライナ紛争を理由に先進7カ国(G7)首脳らが式典を欠席する中で訪露し、ロシアとの協調姿勢を強調。プーチン大統領を北京での行事に招待することで、さらなる関係強化を図る姿勢を示すとともに、日本けん制のトーンは弱めようとする姿勢を示したといえる。
両首脳は、ロシア主導の経済ブロック「ユーラシア経済同盟」と、中国が新経済圏形成を目指す現代版シルクロード建設構想「一帯一路」での連携協力に関する共同声明に調印した。
プーチン氏は共同会見で「ユーラシア経済同盟とシルクロード構想の連結は(中露の)協力関係が新たなレベルへ進むことを意味し、(ユーラシア)大陸における共通経済空間になる」と意義づけた。
プーチン氏によると、中国側はモスクワとロシア西部カザン間の約800キロを結ぶロシア初の高速鉄道計画に3000億ルーブル(約7100億円)を出資すると伝えた。同計画は「一帯一路」と密接に関連し、将来的には北京まで結ぶ構想もあるという。両国は8日、エネルギーや金融など多くの分野で合意文書を結び、経済面を中心とした接近を印象づけた。