南北の信頼醸成は交流拡大によってのみ可能=米著名学者

【ソウル聯合ニュース】著書「歴史の終わり」知られる米政治経済学者のフランシス・フクヤマ氏が6日、韓国の政府系シンクタンク、統一研究院がソウル市内で開催したフォーラムで演説し、「南北関係での信頼醸成は交流拡大を通じてのみ可能だ」と主張した。

 フクヤマ氏はマクロなアプローチよりはミクロなアプローチの方が信頼醸成に有利だとし、「南北当局間で信頼を築くのが不可能ならば、住民間の信頼醸成が代案になり得る」と強調。人の交流が統一につながったドイツの例を挙げた。

 その一方で、南北は生活の仕方が異なり、異質化が進んでいるとしながら、生物学的な血縁関係、共有する文化的な価値や政治制度は信頼醸成に役立たないとの見解を示した。フクヤマ氏は「信頼は互いの善意に頼ってはならない」「相手はいつでも自分たちの利益に忠実であるという点を認識すべきだ」と強調した。

 北朝鮮内部については、「エリート層が自身の腐敗や危険さを悟ることで変化が始まるだろうが、変化の渦中で生き残る方法を見つけられなければ大規模な改革をためらうことになる」と指摘した。

 対話や人道支援を基に南北の信頼構築を目指す朴槿恵(パク・クネ)政権の「朝鮮半島信頼プロセス」もこうした点に注目すべきだと助言した。北朝鮮が信頼に値する相手でないことは十分に経験済みだとし、信頼はあらゆる形の協力において重要ながら、信頼そのものが美徳というわけではないと説いた。

 また、「北朝鮮政権が持ちこたえてきたのは中国のおかげ」と指摘した上で、「中国と信頼を築き、統一韓国が中国に決して損にならないと説得すべきだ」と述べた。

 この日のフォーラムでは、韓国の南北問題専門家が統一のプロセスとビジョンをテーマに討論を繰り広げた。

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